山や川などアウトドアに出る際、セットで考えるのが虫よけ対策です。日常でも馴染みのある蚊よけの対策であればさほど難しく考える必要はないのですが、山や川には厄介な吸血する虫、刺す虫などが多くいて、蚊よけスプレーでは刃がたたないことが殆どです。今回は山旅旅のコントリビューターの皆さんに紹介いただいた情報を元に、おすすめの虫よけスプレー、また虫よけスプレーの使い方を紹介します。

虫よけの原理を知ろう

虫よけの種類

忌避剤、いわゆる害虫が嫌う匂いや成分をさしますが、世界でもっともよく知られ、効き目が高いのがDEET(ディート)です。ディートは第二次世界大戦中のジャングル戦の経験に基づいて、アメリカ陸軍で開発されました。マラリア予防が発端と聞きました。

日本では長い間ディート10%以下の製品しか存在しなかったのですが、2016年にディート30%の販売が認可され市販されるようになったのは記憶に新しく、アウトドア仲間と驚嘆したのを覚えています。世界を見渡すと濃度80%以上、100%のものがあり、プラスチックやレーヨン、合皮を溶かすなど影響がでると文献で紹介されています。

虫よけに効くディート

ディートの何を昆虫が嫌うのかを調べてみると、昆虫がディートの処理面に触れたときに異常を感じて、塗布された面を避けるという性質があるようです。多くの吸血昆虫(蚊、ブヨ、アブ、ダニなど)が人から吸血する場合、まず皮膚に着地した後に、口針を刺す箇所を探すという行動をとります。ここにディートがあると、着地を嫌がるか、口針を刺す箇所を探すときにディートに触れて口針を刺すまでには至らないという効き方の特徴があるようです。いわゆる殺虫効果はなく、虫よけスプレーを自分の周りにスプレーするのは全く効果がないことが、この効き方の特徴からわかります。

虫よけ効果を狙った殺虫の原理を知ろう

では殺虫にはどのようなものが存在するのでしょうか?虫よけ効果を狙ったものと、そうでないもので大きく分かれますが、虫よけ効果を狙ったものとしてピレスロイド系の成分が知られています。有名なものでは蚊取り線香、エアゾールなどがピレスロイドを主成分とした虫よけです。

このピレスロイド成分は害虫が処理面に触れるとディートと同じように忌避して居つく状態を阻止するのですが、ディートと違うのは空間にピレスロイド成分が漂っている中を害虫が通るとノックダウンし結果的に吸血されないという特徴をもつそうです。

キャンプ場で虫よけ

空気中の成分濃度、風向きが大きく影響するので、例えばキャンプなどでは四隅に蚊取り線香を炊いて置いておくとブユの飛来を大きく防ぐことができると実感しています。夏場だと涼しい朝と夕方にブユが活性するので、時間帯に応じて殺虫製剤による虫よけ対策が効果的と感じています。

ちなみに殺虫スプレーを体に処理する人をみかけますが、これはよくありません。ディート成分による虫よけ、殺虫効果を狙った虫よけとでその使い方をしっかり学んでおくことが重要です。

ディートを配合した虫よけ剤の正しい使い方

ディート濃度が高いと効き目が高いと思われる方が多いですが、これは誤りで、濃度の違いは効力の持続時間に違いがあるということのようです。例えばディート濃度12%と30%の虫よけスプレーがあったとして、ディート濃度12%の虫除けスプレーは6時間程度、ディート濃度30%の虫除けスプレーは8時間程度という違いがあるということです。

登山で虫よけ

登山では汗や雨などで成分が流れてしまいがちなので、塗り直しが必要になることが多いので、そういう意味ではディート濃度が濃い虫よけのほうが良いという考え方はあると思います。

これは今後変更があるのかもしれませんが、ディート濃度12%以上の虫よけは「医薬品」、10%以下は「医薬部外品」と医薬品医療機器等法(旧薬事法)上の分類が異なることを知っておくと薬局やネットで購入する際に役立つと思います。

子供に虫よけ

ディート配合の虫よけは、その濃度によって塗りなおしを行えば効果は持続します。だから登山にでかけるときは、自宅で処理せずに持参して登山口で虫よけを使ったほうが使用回数を少なくでき、登山開始時間を目安に塗りなおしのタイミングを計ることができます。

この際に注意すべき点は樹脂バンドの時計に虫よけスプレーを吹き付けたり、塗り延ばした直後の手で触れると溶けてベトベトしてしまう可能性があります。また衣類の上から吹き付けると、繊維を傷めて変色変形が生じることがあるので注意が必要です。原則的には肌につけて使用するものなので、衣類の上から吹き付けることは避けたほうがよいと思っています。

虫よけ剤別の正しい使い方

虫よけ剤別の正しい使い方

虫よけには高圧ガス充填の「エアゾルタイプ」、霧状ミストの「スプレータイプ」、「液体・ジェルタイプ」、「シートタイプ」とあります。「エアゾルタイプ」「スプレータイプ」は吹き付けることで体に万遍なくいきわたらせますが、どうしてもムラができてしまい、蚊やブユは塗りムラを感知して、虫よけのかかっていないわずかな隙間を刺してくるので注意が必要です。だから吹き付けた直後に手のひらで塗り広げると効果が高いのと、顔や首筋、耳には一度手のひらに吹き付けてから塗り広げるようにしています。

「液体・ジェルタイプ」、「シートタイプ」はその分肌にムラなく塗り広げることができます。しかしディート濃度が低い傾向があるので、1~2時間ごとに塗りなおすなど注意が必要です。

ディート配合の虫よけで気をつけること

ディート配合の虫よけで気をつけること

ディート配合の虫よけを12歳未満の子供に使用する場合は、使用回数と顔への使用をしないということが決められています。デューク大学の研究で子供に対する健康被害が報告されたことで、規制が設けられ安全性が考慮されています。規制の内容は、生後6ヶ月未満の子供への使用禁止、生後6ヶ月以上2歳未満の子供は1日1回、2歳以上12歳未満の子供には1日1~3回と決められています。しかしながらデューク大学の試験方法や再現性などの不備が指摘されている事実もあり、厚生労働省による検討会の検証でも事実が確認されていないなど、実態に不確実性があることも知っておくと良いと思います。

ディート以外の虫よけイカリジン

イカリジンの虫よけ

ディート使用に不安を持つ方は多いと思います。そこでおすすめなのがイカリジンです。イカリジンはディートと同等の効果があり、皮膚刺激性がないと報告されています。(A New Insect Repellent Journal of Drugs and Dermatology (Jan-Feb 2004) )

コンシューマー・レポート

アメリカの月刊誌「コンシューマー・レポート(独自の試験施設で行う消費財の比較検討調査の結果をレポートしている)」では、イカリジンを20%の濃度で用いると「最も効果的な虫よけである」としていることから、ディートとは異なった忌避原理なのかは不明です。しかし2015年の厚生労働省の議事録では「昆虫の触覚の感覚子上に存在する受容体に作用し、ヒトなどの吸血源の認知を阻害することで忌避効果を発揮すると考えられている」とイカリジンの効果について記載があります。

使用方法はディート同じように用いており、今のところは濃度の違いは持続時間の違いと考えており使用しています。またイカリジンは繊維を痛めるなどの影響がないと言われているので、生地の薄いウェアの上から害虫に刺されないように、衣類の上からもスプレーをしています。

ディート配合の虫よけ

登山に持ち歩くことを前提に、コンパクトで軽量な虫よけを紹介します。

ディート30% ミストタイプ

ディート30% ノンガススプレータイプ

ディート12% ノンガススプレータイプ

ディート10% ミストタイプ

ディート5% ジェルタイプ

ディート7% シートタイプ

イカリジン配合の虫よけ

イカリジン15% ミストタイプ

イカリジン15% ジェルタイプ

イカリジン15% シートタイプ

イカリジン5% ジェルタイプ

手作りできる虫よけスプレー

虫よけに関する正しい使い方や原理法則を紹介しました。市販で購入する以外に手作りで虫よけを作る方法もあります。こちらの記事では実際に登山や沢のぼりをしている方が最終的に「虫よけとして大変よく効く」という実感をもとにレシピを教えてもらい紹介した記事となっています。子供にも安心なイカリジン同様、こちらの手作り虫よけスプレーも子供にも安心して使用できるものとなっています。

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