こんにちわ。
たかくら(@takakura3twi)です。
ニュージーランド縦断3,000㎞ テアラロア『ロングトレイルの道具学』と題しまして、ロングトレイルはじめ長期縦走時に役立つ考え方の記事です。テアラロアについてはコチラの「ニュージーランドを1000%楽しむ!ロングトレイル、テアラロアを解剖!」をご覧ください。
今回はウェア版。総合的な道具の軽量化についての考え方やギアについては、こちらのギア版をご覧ください。それでは早速いってみよう!
おすすめアイディア 上半身編
半袖シャツ+アームカバー。これはよいアイディアでした。多くのハイカーが見習いたいと言っていました。使い方は、行程開始時、少し肌寒い時にはアームカバーを伸ばして装着。体温が上がってきたらリストバンドのように手首に下ろして置いておいて、体温に合わせて細かく調節。太陽が上がったら完全に取ってしまって、稜線に出たら装着して、と行程中一日を通して細かい調整がすばやく可能になります。
いちいちシャツを脱いだり着たりという大きな動きもないので、体力の温存にも有効。ほんと疲労困憊になると「シャツを脱ぐという簡単な動作」さえしたくなくなりますのでこういうのは実は大きいです。全体的な行動の迅速化にも繋がります。
日本にいた頃は、長袖アンダーウェア+半袖シャツという組み合わせで行動するケースが多かったのですが、長袖アンダーウェアを脱ぎたくなった時、超めんどくさいんですよね。
- 半袖シャツ脱ぐ
- 長袖アンダーウェア脱ぐ
- 半袖シャツ着る
ステップ多すぎです。特に女性の場合、STEP2で周囲を気にすることもあるでしょうから、アームカバーでの細かい調節はひじょ〜におすすめです!
このアームカバーのサブ的な機能で「レインウェアに直接皮膚が触れることを防ぐ」機能が素晴らしいと感じました。いくら透湿性に優れたレインウェアでも運動量が高いときには、蒸れが出てしまいます。そのとき皮膚が直接触れてしまうとぺたついて不快であったり、皮脂がついてレインウェアに悪影響を及ぼすことがあります。アームカバーをつけることで、これらを予防できるわけです。暑いけどレインウェアを着なければならない、そんなシチュエーションの時あえてアームカバーをつけることで少しだけ快適さが増します。手拭いを首に巻くのも同様の効果を得られますね。アームカバー、日焼けも防ぐことができるので本当に重宝しました。アームカバー、ホントおすすめです。
おすすめアイディア 下半身編
上半身で半袖シャツ+アームカバーが有効であったように、下半身においても半ズボン+レッグカバーというのは有効でした。前半1,700kmほど進んで、持参のトレイルランニングショーツは穴があき、ウエストの紐が脱腸したようになってしまいました。補修が間に合わなくなってトレイルに集中できなくなってしまったので途中からpatagonia社のバギーズ・ショーツに替えました。バギーズ・ショーツは女性用(!)の丈の短いの(!!)を履いていました。
女性用のバギーズ・ショーツは股下6cmという驚異(脅威?)の短さのものを使っていました。男性用のトランクスと同じくらいの丈です。トランクス使いすることもありましたし、トレイル上の混浴温泉に入る時使ったり。これ一枚でノーパンで行程する日も多かったです。というか南島はずっとノーパンでしたね。ノーパンハイカーは一定数います。ノーパンハイクいいですよ。これからカナダとアメリカとチリの環太平洋造山帯(ROF:Ring Of Fire)を歩く計画をしているのですが多分ノーパンで歩きます。
使ったウェア(上半身編)
実際に使ったウェアの紹介です。
- 帽子
- 頭に巻く手拭い
- サングラス
- バラクラバ(トンガリロ、ルアペフ、南島の高山エリア)
- 首に巻く手拭い
- 半袖化繊シャツ
- アームカバー
- 手袋1(薄手、手のひらメッシュ)
- 手袋2(薄手のフリース)
- 手袋3(防水)
- ウールの薄手長袖シャツ
- 900FP(フィルパワー)ダウンアノラック
- 7D(デニール)ウインドアノラック
- GORE-TEX レインジャケット、ストームクルーザー(ポケットが欲しかった)
行程用のシャツですが、3,000kmで一着。匂いを気にしてウールを使う人も多いですが、動物性の脂質をとらなければそこまで体臭はでないので、速乾性重視で化繊で通しました。紫外線劣化で激しく色褪せしました。ウールの方が一般的だと思います。
日本手拭いは最高のアウトドア道具のひとつと言えると思います。濡らして頭に巻いて。首に巻いて。すぐ乾く。小さくなる。サイコー。真ん中のは先輩からいただいたふんどしです。手拭いが出払っているときは体を拭いたり頭に巻いたりすることもありました。シンプルな道具ゆえに多用途。I love シンプルな道具。
手袋はとても大切なのでこだわってください。紛失すると致命的なので単品高機能より、単機能を複数持って組み合わせたほうがいいです。
使ったウェア(下半身編)
つぎに下半身編。
- 薬草染めのふんどし(セイタカアワダチソウ×シルク)
- しゃれふん(おしゃれなふんどし)
- トレイルランニングショーツ(mont-bellの男性用)
- バギーズショーツ(patagoniaの女性用)
- レッグカバー(mont-bellの自転車用)
- メリノウール サポーテックトレッキングショートソックス(mont-bell)
- バーサライトパンツ(mont-bell)
- ダウンパンツ(mont-bell)
靴下は4足持っていって、3足寿命を迎えました。1足1,000km計算になります。結構すごいと思う。
ウェアは高機能なものより、足し引きができるシンプルな組み合わせを考えると、結果コンパクトに済むと思います。小さくなることと速乾性は一貫して重要です。
ニュージーランドの紫外線、強すぎ問題
ニュージーランドの紫外線は日本の7倍強いと言われています。サングラスと日焼け止めはとても大切です。目と皮膚の疲れはもろに体力を奪っていきます。サングラスを失って晴天に恵まれてしまったら、大変な頭痛に襲われました。
これらのトラブルを最小限に抑えられたであろう道具、それは「サングラス紐」!これはガチで重要ですね…プラプラ視界に入るのが邪魔くさくトレイル序盤で取ってしまったのが運の尽き。靴紐や細引きで対応しようとしましたがなんだかうまくいかず、これは専用品の方がいいと思いました。
ダウンの質(FP:フィルパワー)にこだわる
次にインシュレーションの話。ダウンと化繊のどちらがいいか、は一長一短ですが、私はダウン結構好きです。トレイル上でもダウンユーザーが多い。トリプルクラウンのハイカーから興味深い話を聞きました。「ダウンの質にこだわるべし。食の節約につながる」というお話です。
私達の体は体温を保つために発熱を続けています。寒いとお腹が減るのはこの発熱にエネルギーを使うから。質の良いダウンは軽く、とても小さくなり(最重要ポイント)、広げると空気をたっぷり含んで保温力抜群。体内の発熱を最小限に抑えることで食の浪費を抑えられるから、質の良いダウンはロングトレイルに最適、という話です。
私はなるべくお金をかけたくない(かけられない)貧乏ハイカーですが、インシュレーションだけには投資を惜しみませんでした。ダウンは実は結構耐久性が高い素材で、長い目で見た時食費の節約につながると考えたからです。暖房をして空間全体を温めるのは非効率で贅沢すぎるので、究極言えば皮膚から一センチでも暖かければ結構快適なものです。なので家でも暖房は使いません。ずっとダウン着てます。『遊歩大全』のコリン・フレッチャーも激オシのアイテム、ダウン。これはこだわるべきです。
800FP以上がいいと思います。できれば900以上。体感できるレベルで快適さが変わります。
繊維の細さ(D:デニール)にこだわる
繊維の細さにこだわるということは、結局、軽さと小さくなることにこだわるということ。レインウェアは丈夫なものを選んだ分、ほかは軽さを追求したものを使いました。
「レインウェアがあればウインドブレイカーは不要論」もありますが、自分の体質的にはウインドブレイカーは快適に歩ける最良アイテムのひとつなので持っていきました。アノラックタイプはジッパーが短くその分軽くなりますので好きなアイテムです。
小ささも正義
さて、繰り返し「ウェアは小さくなることが大切」を書いてきました。意外にウェアというのは嵩張り、デカくて重いものです。本記事のまとめでもう一回言います。軽さとともに重要なのが、小さくなること。
上の画像では450mlのチタンカップにウェアを2着収納しています。何が入っているのでしょうか。これを拡げてみると・・・。
正解は、ウインドブレイカーとレインパンツでした。顕著な例ですが、このように「小さくなること」をモノ選びの一つの基準に加えることで身軽な山旅の実現に繋がるかと思います。そして、組み合わせて使う。お役に立てましたら幸いです。
この記事のまとめを英語で
●I love simple wears.
●Layering is a simple mathematics.
● Compactability is as important as lightness.
ここまでスクロールしていただきありがとうございます。
おまけ。スタートが遅かったもんで、2,500km越えた後半戦は寒さとの戦いでした。毎日靴下はびちゃびちゃ。朝は凍った靴下を履く。そんな日々です。けど、楽しいんです。
表紙ページはコチラ「ニュージーランドを1000%楽しむ!ロングトレイル、テアラロアを解剖!」をご覧ください。