イギリスのフットパスを歩いてみようと思った一番大きなきっかけは、去年の夏に読んだANAの機内誌「翼の王国」での特集。
『遊歩英国 歩く歩くイングランド』という見出しでイギリスのフットパス文化が紹介されていた。
歩く権利のこと、老若男女問わず多くの人が歩くことを楽しんでいること、イギリスの国土に地球6周するほどのフットパスがあるということ、青空の下に広がる丘と牧場に繋がるゲートの写真と「フットパスはすべての人に開かれた道」という言葉に惹かれた。
ちょうど同じタイミングで福岡に住むよく一緒に山を登る友人がこの特集を読んでいて、「今度はどこの山に行こうか」という話のとき、イギリスの話題になった。
彼女のいとこも、私の高校時代の友人もイギリスに住んでいて、この特集を読んでお互い「いつか行きたい国 イギリス」が、「山を楽しめる国 すぐに行きたい国 イギリス」に変わっていたのだ。
行く時期を決めてからはまずチケットをとって、互いに友人といとこに連絡をとって。
詳細はその後決めようとなったけど、それがなかなか大変だった。
「翼の王国」を読んでイギリスにはフットパスが沢山あることは知ってはいたものの、この特集の「イングランドの背骨 Panine way」は 429キロあって踏破するには 日にちがかかるし、「初めてのヨーロッパ、ロンドンにも行きたいよね、友達のとこやいとこのお家にも滞在できたらいいよね」とどんどん欲張りになり、歩く場所や登る場所探しに苦労した。
クライミングでイギリスに行ったことある人は周りにいたがフットパスを歩いたことがある人はいなかったし、トレイルを定めていなかったこともあり、日本語サイトで探すのは無理があって、イギリスのサイトを探した。すると沢山のサイトがあり、これもまた特定するのが難しく、結局「地球の歩き方」に載っていたイギリス最高峰のベンネヴィス山に登ろうということで落ち着いた。
ただ、場所がスコットランドだったので、これまたロンドンからの移動手段はどうしようとなり、ベンネヴィス山にアプローチできるフォートウィリアムまで寝台列車が出ていることを知って、せっかくならとチケットをとった。ヨーロッパで寝台列車旅なんていいなあなんて思いながら。
出発までに決めたことは、大まかな予定と滞在場所。かなりおおまかで、きっと変更するのだろうなと思いながらも、それぞれ、友人といとこが何かとサポートしてくれたこともありやや呑気に構えていた。
そして、出発。
一足早くロンドンについた私は、友人宅に泊まり、ロンドン郊外でクラフトビールやアフタヌーンティー、ファーマーズマーケットを楽しんだ。のどかで古い建物が残り、自然も多いとてもよい街だった。
翌日一緒に旅をする友人と待ち合わせし、今度は彼女のいとこの住むハンプシャーへ。
からっとした気候でどこか肌寒かったけれど天気も良く、のんびりと楽しんだ。
ウィンチェスター大聖堂にも行き、その歴史ある建物と今でも人々の集う場所であることにとても感動し、ロンドン市街観光もしていないし、フットパスも歩いていないけど、数日ですっかりイギリスが好きになった。
ただ、心配もあった。旅の初日に寝台列車の会社から「予定していた新型車両から旧型車両に変更になるお知らせ」がきていて、「まあ、仕方ないよな、でも乗れればいいのだから」と特に新型へのこだわりなくいたのだけれど、いよいよ明日乗るというときに今度は「寝台列車は都合により一部期間しか運航しないので、そこまではバスでの振りかえ輸送のお知らせ」がきた。
さすがに、長距離バスやあっという間の飛行機よりは寝台列車を選んでいたので、慌てて予定を変更して、友人のおすすめやアドバイスもあり、まずはスコットランドのエディンバラに行くことにした。
急遽行くことになったエディンバラ。行って大正解。ここがもう、とても良かったのだ。