の山(5件)
御岳山 (標高:929m 、奥多摩)
日本武尊の危難を救ったオオカミが神となり、農作物を獣害からまもる存在として信仰される神なる山。多摩川に沿ってその神威が広まり、いまも東京や川崎の農地などで「オオカミの護符」を目にすることができる。
JR御嶽駅からバスとケーブルカーを乗り継いで一気に山上へ行ける利便性がありつつも、その奥には奥多摩や檜原へと通じる玄人好みなトレイルが多彩で、渓谷道「ロックガーデン」には東京と思えぬ大自然が広がる。麓には美術館や酒蔵などがあり、下山後の寄り道も楽しい。登山初心者のみならず熟練のハイカーからも絶大な人気を誇る東京の低山だ。
Photo&Text By:低山トラベラー大内征×山旅旅
二丈岳 (標高:711m)
福岡の低山で“海の絶景”を求めるなら、この山は絶対にハズせない。巨石が覆う山頂は見晴らし抜群で、敵の侵入を監視する山城があったことも頷ける。眼下には糸島の入り組んだ海岸線が印象的。玄界灘の壮大な眺めとともに、深く心に刻まれるだろう。
登山口は「加茂ゆらりんこ橋」を起点にするコースがポピュラーで、周辺の山々を歩き結ぶ縦走路も人気。下山後の寄り道ネタには事欠かず、特に「神在神社の神石」は圧巻の存在感。締めくくりは海の間近に佇む「またいちの塩」の甘味に舌鼓を打ちながら、堂々たる二丈岳を眺めるのがオツだ。
Photo&Text By:低山トラベラー大内征×山旅旅
金華山 (標高:444m 、北上山地)
万葉集に登場する金華山は宮城県沖に浮かぶ島で、その存在を古くから知られる東北きっての霊場だ。中腹に鎮座する黄金山神社(こがねやまじんじゃ)には鉱脈の神・金山毘古神と金山毘賣神が祀られ、三年連続してお詣りすればお金に困らないといわれるご利益を求めて、令和の現代も参拝客で賑わう。
山頂の先に広がる展望スポットからの絶景は必見。蔵王を盟主とした奥羽山脈の長大な稜線と、牡鹿半島や南三陸のリアス式海岸が描く複雑な海岸線を“海側”から眺めることができる。山中に点在する巨石や巨木も神秘的で、忘れがたい島旅になるだろう。
Photo&Text By:低山トラベラー大内征×山旅旅
王子ヶ岳 (標高:234m)
海から登り、海に下りる。手軽にSea to Summitを実現できる絶景低山なのが王子が岳のいいところ。真っ青な瀬戸内海を眺めながら無数の巨岩の間を縫い歩く、誰もが心躍る山上のトレイルが続く。とくに王子が岳を語る上ではずせないのが「にこにこ岩」だろう。一度目にしたら忘れられない愛嬌のある風貌にファンは多く、その足元には山中最強の展望スポットがある。そこから眺める夕陽はとくに印象的で、SNSで大人気だ。
下山は行者道から。かつて吉野や熊野の修験者に見初められた山だったことを忍ばせるアスレチックコースだ。浜辺に着いたら靴を脱ぎ、海につけた足が気持ちいい。
Photo&Text By:低山トラベラー大内征×山旅旅
ひき岩群 (標高:100m)
田辺の市街地からほど近い位置にありながら、丘陵地帯にむき出しの岩稜が広がる特異な景観が魅力。ミカンや梅の木々が繁る山々に周囲を囲まれ、南紀の海も見渡すことができ、とても100m程度の低山とは思えないスケール感だ。意外にも低いながら水に恵まれており、ゆえに植生が豊かで、動植物の観察も楽しい。かの南方熊楠が足しげく通ったほどの山なのだ。
下山後は紀伊田辺駅前にある「味光路」に立ち寄って一杯やりたい。いい酒と肴を楽しむことができる個人経営の飲み屋が無数にひしめき合うので、きっと一軒だけじゃ終わらないし、終われない。
Photo&Text By:低山トラベラー大内征×山旅旅