一人で雪山を登るというのは非常に危険が伴います。家族や友人に登山届を共有しておくことや、もしも遭難した時に家族に迷惑をかけないようにココヘリなどのサービスに登録しておくことなどは忘れないようにしましょう。

    また2月から5月にかけて雪崩が多くなる季節となります。一人で雪山を登るということは助けてくれる人がいないということイコールですので、特に気をつける必要があります。

    ここ数年マイブームになっている「雪山低山登山」を説明します。「低山」の定義はいろいろあると思いますが、僕的には2000m以下で国土地理院地図に○○山と明記してある山と考えています。なぜ2000m以下なのかというとそういう山でないと冬季、物理的にアクセスできないからです。私の住んでいる富山では、2000mをこえる山は山奥に行かなければなりません。

    冬の登山

    2000m級の山を登り始める取り付き付近は、人が住んでいないので除雪されないし、冬期通行止めなのです。

    あと、このあたりの北アルプスでは、だいたいそのぐらいの標高が森林限界です。このボーダーを超えると装備が全く異なってきます。雪崩のリスクも増えます。それと「記名されている山をなぜ登るか?」は、ただ単に「達成感」が高いからです。

    冬の登山 ルート

    今はやりのGPSアプリで、現在地ポインターがしめす画面のスクショを撮っておけば、証拠写真も見栄えがするというものです。

    冬の登山

    もうひとつ縛りをもうけているのが、「登山道」が無い山です。そういう山は、めったにヒトが来ません。そして、そういう山を独りでのぼるのです。三密回避にもいいです。行列つくって「映え写真」撮りに有名山をのぼるよりも感染リスクが低いです。だいいち、気分がいい。登頂したときの「征服感」とか「独占欲」が満たされます。

    冬の登山 頂上

    そして、登山道がない山の多くは夏のあいだ藪で覆われていますが、降雪する冬には忌々しいヤブや灌木も押しつぶされ、雪上を歩くことができます。真っさらの雪の山を、ルートファインディングで登る爽快さはこの時期だけの楽しみです。そして、なんといってもこの時期の山は「神々しさ」が増します。山頂は、「来てはいけない所」感であふれています。時間がある時に地図をみながら山を選定し、「地図読み」して机上ルートを作成します。GoogleEarth等で「仮想登山」してイメージをつかみ、実戦で答え合わせ。

    企画・立案・実行全て自己判断。事前にガイド本を読んでみんなが登る「登山道・登山」から、自分独自のルートで登山を創る「じぶん登山」ができるワケです。

    山の探し方・計画立案

    名前があって、登山道がない山というのは、地図上で探してみるとそんなに多くはないはずです。しかし、そういう未知の山を机上で探して想像するのは、ワクワクします。未知な山に登ることは、いつの時代も探検です。でも、まぁこのご時世、Googleで山名を検索するとヤマレコの記事がザクザクでてくるのがオチです。ご自分の発見・独自性を維持されたいかたは、なるべく読まないほうがいいです。

    ルート 冬の登山

    「あっ、登れるんだ。この山」程度の認識でとどめておかれるのがおすすめです。読んでしまってネガティブなコトが書いてあると一気に萎えますし、ネタバレ感はんぱないです。

    選定するうえで一番重要なのは、自分の力量をわきまえるコト。地図を眺めていると、イマジネーションが広がって、「ここも行けそう!あっ、もうちょっと頑張れば、ここも可能かも」なんて無責任に妄想が肥大しがちです。過去に登った登山実績から乖離しない登山を想定しましょう。

    冬の登山

    例えば夏に近くの山頂に行ったことがあるとか、薄く雪が積もったとき付近の山に行ったことがあるとかです。ただ、確実にいえるのは、同じ山でも夏と冬では「別の山」とみた方がいいです。難易度は2.5増です。通常、300m登るのに1時間とすれば1.5~2はかかります。だいたい夏山所要時間プラス2時間で考えていいでしょう。行程にのびしろがあるという前提です。

    そして、登山道がないので、机上では想定外のヤブに阻まれ時間がかかることもあります。カンジキ等を履いて雪の上を歩くのは、登山の雑誌でみるほど、爽快・快活なものでなく、束縛・苦行に近いです。また、雪斜面は思った以上に手強く消耗することを念頭におきましょう。

    言い忘れましたが、僕の山登りは、日帰り登山がほとんどです。冷え性なのでテント泊ができないからです。なので、歩行距離も往復5~6km前後で考えています。実際、登ってみて14:00までに山頂に到達できなければ、戻ったほうがよいです。下りで自分のトレース踏むだけでも、登りの7割の体力と時間を要すると思います。

    冬の登山

    実登山の行程の次に大切なのが、アプローチです。登りたい山が決まっても、色々調べていくと取り付まで車で行けなかったりするからです。国土地理院の地図では、車道になっていても実際、廃道同然の道もあります。あらかじめ、GoogleMapの航空写真で道のありようを確認しておきましょう。近くに村落があれば、定期的に道路のメンテナンスがされている可能性が高いです。

    もし、ストリートビューが使えるなら見ておいたほうがいいです。そして、冬期は、除雪してないとアプローチが長くなります。ヒトが住んでいる集落であれば、除雪してあるとみていいです。JARTIC(日本道路交通情報センター)で目的地の地域をみれば、県道レベルの通行止め(冬期閉鎖)情報もわかります。あと、直前まで目的地周辺のライブカメラ(国土交通省等の道路状況サイト)をチェックしておくこともお勧めします。だいたいの積雪状況はわかります。

    装備

    まず、足まわり。低山といっても登山靴は保温素材をつかったモノを履きます。革とGORE-TEXの組み合わさった丈夫なものがいいです。保温も大切ですが、わりと足も発汗しますので。

    冬の登山 装備

    必須なのがスノーシュー。ワカンジキでもいいですが、パウダースノーで強烈に積雪していると役に立ちません。山スキーという選択肢もありますが、低山という特質上、藪や密な灌木地帯が想定されるため、ターンするスペースが確保できないことが多いです。スノーシューならキックステップで直登も可能です。

    アイゼンはチェーンのものを携行します。10爪以下で充分です。ルートファインディングですので、岩場や急斜面はなるべく避けるようにしています。なので、ピッケルも持っていきません。

    スパッツは、ロング丈のもの。トレッキングポールは、バスケットを雪山用のものに交換しておきます。グローブはアウターとインナーに分離するもの。リーシュもつけておきます。予備も忘れずに。グローブは外すと途端に手が悴むので、なるべくはずさずに行動できるように練習しておいたほうがいいです。

    冬の登山 装備

    スノーシューの装着やGPS機器、スマホの操作など。スマホはタッチペンとモバイルバッテリーが必須です。低温下で電池消耗は激しいです。ミドルレイヤーのポケットに入れて温めておいたほうがいいです。あと、むやみに写真撮らない。一気に残量が減ります。写真はカメラで撮りましょう。

    アウターシェルの上下は、やはりGORE-TEX。インシュレーションの入ったものがいいです。雪山は相当運動量が多いので、かなり汗をかきます。汗冷えしないためにも、シェル内の蒸気を放出できるベンチレート機能があるものがいいです。

    偏光グラスは、雪目になるのを防ぐとともに雪で真っ白になった斜面の高低差を際立たせるのにいいです。雪面は白く均一で平坦にみえるので、微妙なギャップがわからずクラックやギャップに嵌りがちです。ホワイトアウトして山端と空があいまいになったときも、少しは見えます。

    日帰り登山を想定していますが、テントは持っていきます。緊急用ですが、ツエルトではなく自立式のテントで。避難をしなければならない状況でツエルトは、設置場所を選ぶうえに設営するのに時間がかかりすぎます。耐風性の高い、軽量一人用のテントがいいです。

    あと重要なのが行動食。昼食は持っていきますが、状況次第でのんびり弁当ひろげていられないことが多いです。暴風とかブリザードで。なので、歩きながらでも食べれるものが必要です。好みもありますが塩飴とかは、塩分補給とすぐにエネルギーになる糖質チャージのために。カルパスやサラミは、強烈に酷使して消耗した筋肉にタンパク質を補給するために食べています。魚肉ソーセージは、水分があって油脂が少ないので凍ります。

    冬の登山

    そして、強力なヘッドライト。日が落ちたからといってパニくらず、冷静にヘッドライト点けて下山しましょう。たとえ吹雪いていても確実に戻れます。予備も持っていきますが、故障の少なさからバッテリー部分がLEDと分離して後方に付いているやつがいいです。

    メンタルなど

    登山に根性論を持ち出すことほど不毛なことはありません。そうではなく、行動指針のようなもの、気づきみたいなことを少し。

    先に述べたように取りつきに至るまでのアプローチは重要です。林道を歩いたり、無理して急斜面登ったりすると、序盤で消耗してしまい最後まで体力がもたなかったりするからです。雪斜面はルートの自由度が増すため、「おーし!この斜面も直登だー!」とがんばってしまいがちです。ペース配分を考え、「とりあえず、あのピークまで登ってみよう」ぐらいの、数百メートル先の目標を決め、スモール・ステップで登ることをお勧めします。

    当然、登山道がないのでルートファインディングで登ることになります。基本は尾根登りなのですが、実際行ってみると目の前に分派峰があったりして、「あっちのほうが楽かな?(傾斜がゆるくみえたりする)」なんて逡巡することがあります。でも、対岸の峰に行くのに峪おりてまた登るとかなり消耗します。だいたい、分派峰も頂上にいたる主幹峰に合流することがほとんどなので、無駄に体力をロスしないようにしたほうがいいです。

    冬の登山 メンタル

    慣れてくると、そういうのも含めて地図を手掛かりにカラダを使ったパズルを解くようで楽しめるようになります。

    実は、初めて登る山を登ることが多いので、登頂率は50%ぐらいです。敗退することがほとんどです。自分なりに原因を考えるとこの「メンタル」が要因であることが多いようです。まず「雪質」です。

    関係なさそうですが、前夜冷えてうずたかくパウダースノーが積もったりすると最悪です。ポールのグリップまで埋まったり、体も胸まで沈んだりするともうやる気がしません。踏み抜きはせいぜい膝までが限界です。やるだけはやりますが、たいていメゲて帰ります。雪質は意外に雨後のほうが良かったりします。雨降って雪も固まるのです。重くはなりますが、パウダーでも「胸までラッセル」は当然消耗するのです。

    冬の登山 メンタル

    残雪期の寒い日に登れば、雪質も良く、なんの問題もなく登頂できるのですが、それでは冬山登山になりません。あと、厄介なのが灌木と深雪のコンポジット。峰沿いに低木がびっしり生えていると、迂回するのに疲れます。危険な急斜面もトラバースしなければなりません。そして、この低木の先端が垂れた状態で(ループ状)になって埋まっていると、ちょっとしたトラップ(落とし穴)になって踏み抜くと、出るのに相当苦労します。

    そういう迂回やどハマりを繰り返すとだんだん疲弊して、心が折れることが多々あります。しかし、そういった末梢な現実を凌駕するのが、闘争心です。さきに、根性主義はいかんといっておいてなんですが、気持ちを上げていくということです。アグレッシブに斜面と対峙することが肝要だからです。

    それと関連して大切なのが、装備の不安要因をなくすということです。忘れ物はちろん、山靴の保温性に問題があるとか、バッテリーの残量が少ないとか些細なことでも、攻撃的な登山ができない要因になりえます。体調はもちろん、万全の態勢でないなら引き帰したほうが良いです。

    冬の登山 メンタル

    単独冬山登山で不安は確実にパフォーマンスに影響します。そういった、雪山登攀を通じて自分や山と対話すること(できるのか?やれるのか?どうやったら、目の前の斜面をクリアできるのか?)それらはすべて自分の判断です。そうやって登頂に成功したときの達成感は、友人と登ったとき、あるいはヒトのトレースを踏んでなんとなく登頂したときと違って、質の高い満足を得ることができるハズです。コロナ禍の今だからこそ、そうやって自分だけの山、自分だけの登山を探してみませんか?

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