アウトドア活動には欠かせない機能的なウェア。その中でも豊富なラインナップを持ち、常に進化を続けているのが、暴風から簡易的な保温までマルチに活躍する「ウインドブレーカー」です。今回は登山におすすめなウィンドブレーカーをご紹介します。
ウインドブレーカーとは
ウインドブレーカーとは「防風」「透湿」「軽量」に優れたアウターウェアです。行動時に必要な機能をバランス良く備え、高いデザイン性と汎用性から、タウンユースとしても使われる人が多いウェアです。登山では特に春から秋の3シーズンに活躍し、天候が目まぐるしく変化する自然の中では、変化に柔軟に対応できるウインドブレーカーは必須の存在です。ウインドブレーカーといっても、超軽量モデルから着心地、防風性を重視したものなど様々で、正にアウトドアウェアを代表するアイテムです。
登山で重視するポイント
ポイント①:防風性
長時間の移動と滞在を想定する登山では、高い防風性が求められます。登る山にもよりますが、初めは樹林帯で風の弱い場所でも、森林限界を越えればを遮るものが無いため、時に体が浮いてしまう程の強風に見舞われることも。そんな風にも体力を奪われづらい性能を持つウェアを選ぶのが懸命です。私は風に非常に弱く、強風による体温低下は「ここで帰ろうかな」と思うほどのストレスです。そのため、ウインドブレーカーはやや厚めのもので防風性の高いものを選んでいます。
ポイント②:透湿性
ウェア内部で発生した水蒸気を外に通す透湿性はウインドブレーカーに必須の機能です。特に夏場は歩き出して数分で蒸れるなんていうこともあり、外からの風を防いでも、中から体温を奪われては大変です。私は汗かきなので、何よりもこの透湿性を考慮してウェアは選びます。以前、山を始めたばかりの頃は、素材や性能を知らず適当にジャケットを選び、サウナ状態で行動して干物になりかけたことがありました。濡れたウェアを着続けて体温が奪われていく絶望感は、今でも忘れません。
ポイント③:撥水性
「そろそろ着替えようかな」と思っても、着替えられない場面が登山中は多いです。ウインドブレーカーには、一度着たら天候が変わっても歩き通せるだけの機能が必要で、その中でも軽い雨なら対応できる撥水性は、ウィンドブレーカーに求められる機能のひとつです。強風ではウェアを広げた瞬間大空に舞ってしまい、雨が降っていればザックも開けられず、足場がグラついていたら、ウェアを取ろうと集中するあまりに足元に注意が向かず、滑落の可能性も。「風が弱く」「雨が避けられる」「安定した足場」といった好条件で着替えることも必要です。
ポイント④:ストレッチ性
生地が伸縮し、ストレスの無い運動を可能にするのがストレッチ性です。ちょっとした岩場の登り降りから斜面にへばりつくように移動する動作まで、登山は意外と全身を使った運動が多いです。ウェアがその運動を妨げることが無い様に、ストレッチ性がどれほどなのかを見ておくと良いです。
ポイント⑤:コンパクト性
ウインドブレーカーの汎用性の高さを象徴する機能のひとつに、手のひらサイズに収められるほどのコンパクト性があり、ザックに「忍ばせる」という表現がピッタリなほどに小さくなります。ウインドブレーカーがハイキングから高山まで広く対応しできるのは、容量の少ないデイパックにも収納できるメリットが大きく、ウインドブレーカーが登山を代表するウェアとして浸透している要因ともなっています。
ウインドブレーカーおすすめ5選
今回は防風性、撥水性を中心に、ウインドブレーカーに必要な機能をバランス良く備えた5つのモデルをご紹介します。
おすすめ①:ザ・ノース・フェイス スワローテイルフーディ
数多のウェアを展開するザ・ノース・フェイス。ウインドブレーカーのラインナップで定番モデルとなっているのが、このスワローテイルです。定番といえるほどウインドブレーカー、アウターウェアとしての機能が盛り込まれているのが大きな特徴です。
ゆとりのあるシルエットはミドルレイヤーとしても活用できる様に設計され、内側のメッシュ素材によるベタつき軽減、両脇ファスナーでベンチレーションも備えて通気性を確保。ウインドブレーカーの域を越えた充実の機能で、登山のあらゆるシーンで活躍する一着です。
おすすめ②:マウンテンハードウェア・コアプレシェルフーディ
パーテックスカンタムエアを採用した、防風性と通気性を両立し、かつ耐久性の高いウインドブレーカーです。
コアプレシェルフーディの大きな特徴は、場所を選ばずに使える優れた耐久性で、クライミングにも十分に対応できる堅牢な作りが魅力です。登山では藪こぎや倒木の中を進んだり、時にはグズグズの斜面を登るなど、ハードな状況下で行動することがあります。ウェアの損傷は行動中は命取りになることもあり、この耐久性の高さは移動中の安心感にも繋がります。
この他の機能として、収納時にはカラビナにかけられるループが付いています。「ウェアを出したいけどザックを開けて取り出すのが面倒」「ザックにしまうのもなぁ」という人には、ザックの安全なところに外付けしておくことも可能です。
おすすめ③:ミレー・ブリーザーワイルダーライトジャケット
様々なアウトドアシーンに合ったウェアを展開するミレー。ブリーザーワイルダージャケットは、ブリーザ タスランナイロンを使用した着心地の良さを保ちつつ、同素材100%で構成されたこのジャケットは、高い撥水性と通気性を両立させています。
ウインドブレーカーに限らず、着用した時に肌に馴染む感覚は、長時間行動が基本の登山においてウェアに求められる隠れた要素です。ストレスフリーな着用感なら、山頂や休憩時の着用に限定せず、長期山行や行動時に積極的に使いたくなる一着となります。
またサイドポケットが高い位置にあるのでハーネスに干渉しないのも嬉しいポイント。サイドポケットにアイテムを入れる際にストレスにならないので、ストレスフリーな着心地、使用感を実現させたモデルです。
おすすめ④:ブラックダイヤモンド・ディスタンスウィンドシェル
軽量でありながらも優れた撥水性と通気性が魅力のウインドブレーカーです。
薄く軽量な生地ですが、素材に撥水成分を浸透させることにより、ウェアに撥水スプレーを追加で使用することなく、十分な機能性を発揮してくれます。超軽量なモデルになると防風性、撥水性が不安ですが、軽量かつ広範囲の行動に対応可能な機能性を有したディスタンスウィンドシェルなら、長期山行計画時のアイテム選びにも悩まされることはありません。
ヘルメットにも対応したフードの出来も、クライミングやバックカントリーなども取り扱うブラックダイヤモンドらしい高い完成度で、ジャンルを問わず幅広い山での活動に使いたくなるウェアです。
おすすめ⑤:アークテリクス・ノディン ジャケット
高い機能性とタウンユースとしても使える秀逸なデザイン性が魅力のアークテリクスが展開するウインドブレーカーです。ウインドブレーカーに必要な機能性はしっかり押さえつつ、収納可能なフードはミドルレイヤーとして使う際にも便利です。
アウトドアユーザー以外でも人気の高いアークテリクス。見た目のデザインだけでなく、着心地やユーザーに配慮した細かな機能が、ノディンジャケットにも備えられています。
5モデル比較
紹介した5モデルを比較しました。どのモデルも登山に必要な機能を有しつつも、耐久性から着心地、汎用性の高さなど、個性が出ています。一般登山道を軽快に歩くならディスタンスウィンドシェル、オールシーズン着ていきたいならスワローテイルと、登りたい山や登山スタイルに合わせて選ぶのが良いです。
※横スクロールで表がスクロールできます。モデル | スワローテイル フーディ | コアプレシェル フーディ | ブリーザーワイルダー ライトジャケット | ディスタンス ウィンドシェル | ノディンジャケット |
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イメージ | |||||
重量 | 160g | 140g | 180g | 98g | 155g |
カラー | 4色 | 3色 | 3色 | 4色 | 4色 |
素材 | Swallowtail Nylon Doubleweave with DWR | パーテックス カンタムエア 20D ストレッチリップストップ | ブリーザー タスラン ナイロン | ライトウェイトナイロンリップストップ+DWR撥水加工 | 20Dティノ™繊維 |
価格(税込) | 17,600 | 16,500 | 18,700 | 15,400 | 24,200 |
特徴 | オールラウンドな機能性 | 高い耐久性 | 優れた着心地 | 撥水性と軽量性を両立 | タウンユースにも使えるデザイン性 |
超軽量ウインドブレーカー比較
今回ご紹介したウインドブレーカーの他にも、トレイルランニング向けのウインドブレーカーもまとめています。こちらはより軽量、コンパクトなウインドブレーカー比較となっています。合わせて読んで、より最適な一着を選んでみてください。
自分のスタイルに合ったウインドブレーカーで楽しく登山!
ウインドブレーカーはその名の通り、防風性に特化したアウトドアウェアです。山という目まぐるしく変わる自然環境で行動する登山者にとって、肌寒い時の保温からちょっとした小雨などマルチに対応できるウインドブレーカーは、今や必ず持っておきたい必須のウェアとして進化を続けています。軽量性に特化したものから堅牢なものまで、魅力的なモデルが揃っているウインドブレーカー。自分にスタイルに合わせて最適な一着を選んで、登山を楽しんでくださいね。