テント泊登山は山での衣食住を全て背負って歩く登山スタイルで、考えるべきポイントが多い分、様々なスタイルが存在します。この記事ではテント泊登山で必要なシーズン別の装備と選び方を紹介します。
テント泊登山で必要になる装備
テント泊登山では衣食住を全て登山装備でまかなう必要があります。日帰り登山装備と比較してテント泊登山で必要になる装備は以下の通りです。わかりやすく確認いただけるように3つのカテゴリーで必要最低限の装備をリストアップしています。
寝るための道具
装備名 | おおよその重量 |
テント本体 | 900~1200g |
テントマット | 250~600g |
シュラフ | 350~1000g |
夜を過ごすための道具
装備名 | おおよその重量 |
ヘッドライト | 100g(電池込み) |
ランタン | 60~200g |
防寒着上下 | 600~800g |
食事をするための道具
装備名 | おおよその重量 |
クッカー | 50~500g |
ガスストーブ | 100g |
ガス燃料 | 200g |
カトラリー | 10g(割りばしでもOK) |
マグカップ | 25~50g |
テント泊登山の装備の選び方・注意点
3シーズンの中でも高所の登山では気温の変化が著しく、夜中ともなると9月でマイナス気温になることも不思議ではありません。このような環境下で体を冷やさず、衣食住に困らないようにテント泊登山の装備を選ぶことが大変重要です。以下からはシーズン別で変える必要のある装備についての選び方を紹介します。
テント泊でコアとなる装備『テント本体』
3シーズン用と冬山用とでテントのモデルを分けることができます。大きな違いは外気がテント内に入り込まないよう、フライシートのサイズ、インナーテントのメッシュ地の削減、生地の厚みなどに違いがあります。
3シーズン用テントの中でも軽量性に優れたモデルを持たせたメッシュ地が多くフライシートが短いモデル、外気の侵入を防ぐ耐候性に優れたモデルと大きく2つに分けることができます。
汎用性に優れたおすすめのテント
テント泊登山をこれから始めてみようと考えている初心者の方は、3シーズンフルに使える耐候性に優れた汎用性のあるモデルがおすすめです。
『NEMO タニ 1P』
ニーモのテントの中で唯一日本の山岳シーンにデザインした3シーズン用テントです。年ごとに細かなバージョンアップが行われ結露の発生を抑えたベンチレーション構造、また耐久性の向上はなされています。インナーテントのドアにはナイロンとメッシュ生地の二重構造で換気調整ができる過ごしやすいテントに仕上がっています。
『モンベル ステラリッジ』
山岳用テントで多くの人が利用しているモンベルのステラリッジは耐久性と耐候性に優れた生地を使用しており、ハードな環境でも安心して使える山岳用テントに仕上がっています。価格も購入しやすい設定でインナーテントとフライシート併せて4万4000円です。フライシートは別売りで自分でカラーを選ぶことができます。
寝心地を左右する重要装備『テントマット』
テント泊登山で体を冷やさず寝ようと考えた時、地面からの冷え防止がとても重要です。夜中に氷点下になるようなシーズンでは断熱性が高いテントマットを選ぶようにしましょう。
コンパクト性を重視する場合はエアマットがおすすめですマットの厚みもあるため、好みにもよりますが寝心地が良いと感じる方が多いモデルです。
パンクの可能性やテントマットを膨らます手間を省きたい場合はクローズドセルマットがおすすめです。コンパクトになりづらいため、ザックの外側に取り付ける必要があります。鎖場がある危険な登山道では木々や岩場に干渉して歩きづらくなるためおすすめしません。
汎用性に優れたおすすめテントマット
軽量性、コンパクト性、扱い方の何を重視するかによって選ぶテントマットは変わります。
レギュラーサイズのエアーマットの中で最軽量なモデル『サーマレスト ネオエアーウーバーライトR』
このエアーマットはレギュラーサイズで上で紹介したスモールサイズが119cmなのに対してこちらは183cm。重さは80g追加されます。レギュラーサイズのエアーマットの中では圧倒的に軽く、テントマットの軽量化に大きなインパクトを及ぼします。
ブランド | サーマレスト |
モデル名 | ネオエアーウーバーライト |
サイズ | R |
タイプ | エアーマット |
重量(g) | 250 |
価格(税込) | ¥30,800 |
サイズ(cm) | 51×183 |
収納サイズ(cm) | 15×9 |
R値 | 2.3 |
厚み(cm) | 6.4 |
材質 | 15Dナイロン |
軽量化と寝心地の良さを両立したレギュラーサイズのテントマット『NEMO レギュラーマミー』
レギュラーマミーはミディアムマミーと比較すると23cm長くなり、重量は35g増えます。180cmの長さがあります。足元の冷え、快適な寝心地を追求する方はレギュラーサイズがおすすめです。
ブランド | NEMO |
モデル名 | レギュラーマミー |
サイズ | R |
タイプ | エアーマット |
重量(g) | 365 |
価格(税込) | ¥20,350 |
サイズ(cm) | 51×183 |
収納サイズ(cm) | 20×7.5 |
R値 | 2.5 |
厚み(cm) | 8 |
材質 | 20Dポリエステル |
紹介するテントマットの中で圧倒的な軽さを誇る『山旅 ULテントマット200』
発泡倍率が日本で扱っているポリエチレンフォームのものでは最も高く、圧倒的に軽量なクローズドセルマットです。200cmの長さで販売されており、ライターで熱したカッターで簡単にカットすることができ、自分好みの長さに切って使用することができます。200cmの長さで162gは、エアーマットで最も軽いサーマレストのネオエアウーバーライトSサイズ170gと比較すると、カットして120cmにした場合、約97gとなるので、約73gも軽くなります。
独立気泡の発砲体なので吸水せず雨に濡れた岩場や草地などに引いてもマットが重くなることがありません。
ブランド | 山旅 |
モデル名 | ULテントマット200 |
サイズ | カットして使用 |
タイプ | クローズドセル |
重量(g) | 162 |
100㎝あたりの重量(g) | 81 |
価格(税込) | ¥7,800 |
サイズ(cm) | 50×200 |
収納サイズ(cm) | 不明 |
R値 | 不明 |
厚み(cm) | 1 |
材質 | 架橋ポリエチレン |
凹凸 | なし |
暑すぎず・寒すぎずを天秤にかけて選択する『シュラフ』
テント泊登山をする方の多くがシュラフ選びに悩みます。理由は様々な視点で考察することができるためです。
- シュラフの温度域は大丈夫か
- 温度域はヨーロピアンノーム採用か
- フィルパワーは幾つか
- 軽量でコンパクト性能はいかほどか
- シュラフ内に入った時に窮屈でないか
- 撥水ダウンを使用しているか
- 寝るときにダウン上下を着用するか
上記の考察をひとつずつ紐解いていくと非常に複雑になるため、ここではシンプルにおすすめの選び方を紹介します。
シュラフの温度域はダウンを着用して寝ることを踏まえてコンフォート温度を9度前後のシュラフとします。フィルパワーは800〜850のものを選びましょう。これによって軽量なシュラフとなります。結露によるダウンの濡れはリスクとなるため、できるだけ撥水ダウンを採用したシュラフにしましょう。
安心で保温性に優れたおすすめのシュラフ
上で紹介したスペックをすべて備えたシュラフは一択で、シートゥーサミットのスパークSP1です。SOLエマージェンシーヴィヴィと併用することで、結露による濡れ軽減、保温力のアップができるので、エマージェンシーキットに加えることをおすすめします。
シートゥサミット スパークSpI
ダウンの移動によるコールドスポットを排除するために銅から上は縦型バッフルを配置しており、肩周りにゆとりを持たせた、暖かく快適な寝心地を提供してくれるシュラフです。ウルトラドライダウンを使用しているため、濡れにも安心な高品質なダウンを使用しています。
ブランド | シートゥサミット |
モデル名 | スパークSpI |
適合身長 | 最大183cm |
重量(g) | 350g |
ダウン量(g) | 180g |
価格(税込) | ¥35,750 |
収納サイズ(cm) | 11×16cm |
温度域 | EN13537採用 コンフォート温度=9度(摂氏) リミット温度=5度(摂氏) エクストリーム温度=-9度(摂氏) |
フィルパワー | 850+フィルパワー |
シェル素材 | 7Dと10D |
撥水ダウン | 〇 |
雄大な山の景色を楽しむのに重要な装備『防寒着上下』
テント泊で就寝時に使用する以外に、朝方、夕方に景色を眺めたり食事をする時に必要になるのが防寒着です。
夏山登山では軽量性に優れたダウン上下を選択し、春と秋の登山ではダウン量の多い保温性に優れたダウン上下を選ぶようにしましょう。
軽量と保温性のバランスに優れたおすすめの防寒着
マウンテンイクイップメント パウダーパンツ
厳しいダウンの検査を行うマウンテンイクイップメントのパウダーパンツは重量わずか200g 程度で非常に暖かい特徴的な作りに仕上がっています。
下半身で最も冷えを感じる内股部分には、ダウンをホールドするためのジグザグパネルが採用されており、コールドスポットをなくしています。
男性の場合は前にジッパーがついており、ダウンパンツを履いたままでも用を足すことができます。