マウンテンカラ

テンカラを満喫した僕らは木道を足早に歩き、あたりをつけていた野営場所へ日没前に無事戻ってきた。『このあたりは熊が出没するよ』と大瀬くんから釘をさされていた僕らは、片手に熊よけスプレーを持ち、大きな声を出してドキドキしながら歩いていた。

 

王滝村 テンカラ

野営場所についたからといってこの心配から解放されたわけではない。今回は深い深い山の中で一夜を明かすわけだから、熊の心配しかり、天気が不安定だから増水の心配、虫たちの心配、色々な心配を抱えているわけだ。

それでも深い渓での野営という僕らにとっての試みは、未知数が多く、それが刺激となって楽しみに変わっていく。

 

マウンテンカラ

まずは寝床の設営。僕は木曽駒ヶ岳でファストパッキングで使用していた、nemoのテント『ブレイズ1p』。高橋くんは既にマウンテンカラではおなじみとなったファイントラックのツェルト2ロング。ナミネムくんはビッグアグネス フライクリーク。テント場ではないので石ころや岩をどけて平らな場所を確保し設営する。

 

王滝村 テンカラ

時間は17時。この時間は夕まづめといって魚がエサを摂る時間とされていて好漁の潮時。僕とナミネムくんはまだ釣果がなかったので辺りで挑戦してみるものの、残念な結果に終わった。

 

王滝村 マウンテンカラ 野営

渓流での野営生活

『暗くなる前に薪を確保』という鉄則にしたがい周辺を散策。前日に雨が降っていた為か、落ちている木の多くは湿っていたものの、乾いた枯れ木を必死に探して野営場所に運ぶ。

 

ライトマイファイヤーの『ティンダーオンアロープ』

渓流での野営生活

細かな枝を着火の火種として徐々に太さのある枝を上に。まるでミルフィーユのように重ねていく。『着火剤にいいもの持ってきたよ~!』と高橋くん。取り出したのは天然油分を浸みこませたライトマイファイヤーの『ティンダーオンアロープ』

これ木片そのものに油分がしみ込んでいるので着火剤になる。

 

渓流での野営生活

まな板を団扇代わりに使い火を起こす。僕たちマウンテンカラチームでは「火を素早く起こせるのがカッコいい男」という信念がある。火を起こした瞬間に野営感がグンと上がった。火は男のロマン。狩を行っていた原始の血が騒ぐと、アウトドアで楽しむ晩餐会に心が躍る。

野営スタイルで楽しむ山ごはん

渓流での野営生活

「この時間になるとブヨが活性化するんだよなあ~」と虫除けスプレーを吹きかけようとした瞬間に僕はやられる。すぐにポイズンリムバーで毒を抜き、自作の虫除けスプレーをして難を逃れる。ポイズンリムバーは本当によく効く。この次の日からの苦しい痒みと痛みと腫れには、ほとんど悩まされることがなかった。
見れば高橋くんが新アイテムを導入していた。防虫素材「スコーロン」を使ったフォックスファイヤーのスコーロンガイドフーディーと就寝用にスコーロンシーツ。聞けば耳のウラ1箇所以外どこも虫刺されはないらしい。うーん、とっても気になる!

 

渓流での野営生活

マウンテンカラに行くと毎度お決まりのギアの1つに焚火缶がある。焚き火にもかけられれば揚げものもできる。もちろん米炊きだって!ガンガン使って凹んで味がでる最強のクッカー。僕は大中小のセットのうち中を持参。高橋くんも中を持ってきていて、それぞれ分担して晩御飯をこしらえる。

僕は前から服部文祥氏の『サバイバル登山入門』で書かれていた美味しいご飯の炊き方を実践してみたくて、それが今日ようやく叶う喜びに心満ちていた。この書籍ではサバイバル登山家らしく、焚火の火で炊くもので、「始めチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、赤子泣くとも蓋とるな、最後にワラを一握りパッと燃え立ちゃ出来上がり。」を忠実に守りながらも、ひと味加えた炊き方が服部文祥氏のミソ。上手く炊けるか火の強さと置き場を考えながら思考する。

 

渓流での野営生活

対して高橋くんはザックに忍ばせてきた野菜やキノコ類を鍋たっぷりに押し込んで、川の水をソーヤー浄水器を通して鍋に入れ煮込む。『ご飯にばっちりな料理をお楽しみに!』とニヤニヤしながら仕込みを始めた。

 

渓流での野営生活

渓流での野営生活

ナミネムくんは高橋くんが釣り上げてくれたイワナとヤマメを天ぷらに。『天ぷら粉と山椒持ってきたんだよね~』と毎度僕たちを楽しませてくれる調味料や材料を持ってきてくれる高橋くんに感謝感激。

 

イワナとヤマメを天ぷら

このあたりで既に日が沈む時間帯に。ビールで乾杯をし、釣った岩魚をあり難く頂く。毎度アウトドアで食す岩魚には感動する。『うまいねえ~』と一同顔を合わせながらゴクゴクとビールを流し込む。

 

渓流での野営生活

次にこの暖かな気候でも腐りにくい肉として魚肉ソーセージを持ってきたのだけど、これも天ぷら粉を絡めて余った油で炒める。

周りはサクサク中は魚肉!というB級グルメ度の高いおつまみは、見た目以上の感動を与えてくれた。そしてビールからジム・ビームに変えてお酒を楽しむ。
チームメイトで今は米国にいるジローくんに教えてもらったプラボトルのジムビーム、ファストパッキング仕様。(笑)
これも僕たちの定番だ!!

 

渓流での野営生活

もうあたりは真っ暗。『星が見えたら綺麗だろうに』と空を見上げるも、暑い雲に覆われている為か月も星も何も見えない。そんな空の下目を森に向けると、不安しか感じない暗闇に慄く。しかしながら焚火の火を見ることで安心を補い、再び酒を流し込む。

野営生活だからこそ感じる贅沢時間

王滝村 マウンテンカラ 野営

なんとも言えない贅沢な時間。『これが本物の夜なんだよ』と毎日流れているはずの時間を改めて考え直せるのもこの時間あってのこと。

星野道夫の『旅をする木』に書かれていた言葉をふと思い出した。
『ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が確実に、ゆったりと流れている』
今この瞬間もあの時にいた、あの川では同じように水が流れ、魚たちは泳いでいるのだろう事を想像できるのは、心を豊かにしてくれる。

 

渓流での野営生活

夜もふけ、炊きあがったお米をチェック!こんもりとした光り輝く米たちは立ちに立っていた。これには一同誰もいない事をいいことに大音量で感嘆の声を挙げる。

『じゃあ~僕も~』と高橋くんの焚火缶中の蓋をあけると、そこにはカレーが!「うひょ~旨そうだね~」と喜びに満ちる。

 

渓流での野営生活

焚火缶の蓋を利用したお皿に、これでもか!というお米とカレーをついでもらって食べる。やっぱりアウトドアで食べるカレーは格別だ。ショウガがピリッと効いた味付けのカレーに、甘みをぎゅっと詰め込んだ1粒1粒の主張を感じるホクホクのご飯。自然と元気が漲る。

相変わらず真っ暗な空間に焚火が提供してくれる暖かな空気。そこに満腹感を掛け算したら待っているのは眠気だった。

 

渓流での野営生活

『これなんだか凄いフィットするんだよね。僕用に作られたベットだよ、オットマンまでついている!』と変な事を言い出して岩の上で眠りに落ちるナミネムくん。

 

渓流での野営生活

『俺も見つけちゃった~』と酔っ払いモードで眠りにつこうとする高橋くん。

この焚火の近くというのがなんとも気持ちよく、このまま外で眠りたい気持ちを我慢して、みんな各々のテント、ツエルトにもぐりこむ。

 

王滝村 マウンテンカラ 野営

こうしていつの間にか皆眠りにつき、野営の怖さはどこへやら…。外も明るくなり、バラバラとテントに落ちる雨音を聞きげんなりする。「みんな起きて!このまま増水したら渡渉できないよ!」ナミネムくんのひと声で目を覚ます。

 

渓流での野営生活
これ以上増水したら怖いね。といそいそと片づけ、自然にインパクトを与えないように前日のゴミなどが落ちていないかのチェックも済ませ、帰りの道を歩いていく。

 

王滝村 マウンテンカラ 野営

僕らが目指すのは王滝村の役場。そこから木曽福島駅のバスが出ている。歩いているとサンショウウオが道端を歩いている。

 

王滝村 マウンテンカラ 野営

「この道、OSJのおんたけウルトラトレイル100Kでも走った場所だよ。ここきついんだよね~」とコースの辛さと、デッドヒートして3位に食いこんだ昨年のレース話を聞かせてくれた。「総合3位ってすげーなー…それに比べて僕は…」口には出さないが高橋くんもそう思っていたに違いない(笑)

雨脚はだんだんと弱まり、役場に着くころにはやんでいた。ここで再び休みにも関わらず役場近くで精を出していた大瀬くんと遭遇。釣りの結果、熊に遭遇しなかった安堵などなど情報共有。

『こんなに色とりどりのアウトドアフィールドにいると、色々なアクティビティに挑戦してみたくなるんだよね。これからはテントをもってファストパッキングに出かけたり、皆が楽しんでいるようにテンカラをしたり、とっても素敵なキャンプ場もあるから、そこでアウトドアの食事を楽しんだり、色々としてみたいことが盛り沢山なんだよね。』とこれからの夢を語ってくれた。

「また遊びに来てね!」と元気な大瀬くんの声に送られてバスに乗りこみ、木曽福島へ。

今回のマウンテンカラを通じて、木曽谷の魅力、強いては御嶽山の魅力、王滝村での渓流遊びには大きな発見を感じた。アウトドアフィールドとしての、この地の魅力はまだまだ皆知らないことが沢山あるのだろう。気になる人は是非とも足を運んでみて欲しい。

僕らが楽しんだテンカラやトレラン、ファストパッキングはもちろん、キャンプやカヤック、様々なアクティビティを楽しめる地であり、強くおすすめしたい。


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