「テント泊の装備は揃えたけれど、計画の立て方やテント場の選び方がわからない」「本番までに何を練習すればいい?」
初めてのテント泊登山を成功させるには、事前にしっかりと準備をすることが大切です。この記事では、テント泊登山初心者の方に向けて、山行計画のポイントやテント場の選び方などをわかりやすく解説します。
また、本番の山行までに練習しておきたいことや、練習におすすめのテント場も取り上げていますので、これからテント泊登山を始めようと思う方はぜひ最後まで読んで参考にしてください。
初めてのテント泊登山を成功させるには、事前の準備が大切です。準備には次の2つの側面があります。
ここでは「コトの準備」である山行計画を立てる上でのポイントを解説します。
【初めてのテント泊登山】必要な装備を徹底解説!重さ、費用、パッキングのコツや女性の持ち物の紹介も|テント泊装備|登山ギア|山のモノ|登山・トレラン・山スキーマガジン「山旅旅」
宿泊数が多いと食料などの荷物が増えるため、初めてのテント泊登山は1泊2日がおすすめです。その後、2泊、3泊とステップアップしていきます。
テント泊デビューは、無雪期である3シーズン(春夏秋)に行います。梅雨明け後から秋までの間の、台風や長雨の影響を受けない時期がおすすめです。降雪期のテント泊は装備が増えて重く、体力もスキルも要求されるため経験を積んでからにします。
初めてのテント泊登山は、あこがれの山よりも自分のスキルにあった山を選ぶことが大切です。重い荷物を背負って歩くため、最初はちょっと物足りないと感じるくらいのコースでちょうどいいかもしれません。
また、テント泊では想定とは異なる事態が起きる可能性があるため、行動予定は目いっぱい詰め込まず、余裕のある計画にします。
登る山もテント泊自体も初めてだと不安なら、日帰り登山や山小屋泊で行ったことがある山や登山ルートを選ぶと安心です。
行きたい山の登山道、テント場の料金や水場の有無、アクセス、天気などは、できるだけ直近の情報を集めるようにします。インターネットや本の情報の中には、登山ルートの閉鎖や開通、テント場の料金や営業期間などの情報に古いものがあったりするので注意してください。
山仲間の先輩から最新の情報を聞くのもおすすめです。実際に体験した人のコトバは、とても参考になります。交通情報や天気予報も最新の情報をチェックしましょう。
どのテント場を利用するかは、山行計画を左右する大きなポイントです。テント場の選択によっては登山ルートが変わるだけでなく、安全性や難易度も変わります。ここでは、初めてテント泊登山をする方にはどういったテント場がおすすめなのかを解説します。
樹林帯にあるテント場は、木々に守られて風の影響を受けにくく、標高も低いため安心感があります。テント場も平らなところが多いです。
重い荷物を背負って歩く時間を短くするため、テント場までのアプローチが短いところを選びます。初心者は、登山口からテント場まで1~2時間で行けるところがおすすめです。
悪天候やトラブルが起きた時などのために、山小屋が近くにあるテント場を選ぶと安心です。テント場は基本的に山小屋が管理しているため、テント場の近くには管理する山小屋があるのが普通ですが、山小屋があっても閉業期間中であったり、営業期間内であっても平日は休業だったりするところがあるので、事前に確認しておきましょう。
テント泊登山初心者は、水場が整備されているテント場を選びましょう。水は、テント場によって有料だったり量り売りだったり無料で使えたりとさまざまです。水場がないと全て自力で担ぎ上げなければならいないため、水場情報の事前チェックは必須です。
テント場が登山口の近くか、山の中腹あたりにあると、テント場をベースキャンプにして登山ができます。荷物を背負ってテント場まで登り、設営したら重い荷物をテントに置いて、軽いアタックザックで登山に向かい、山頂を踏んだらテントに戻ります。初心者にとっては、重い荷物を担いで山頂付近まで登る必要がないので負担が少なくて済みます。
山行計画を立てて装備を整えたら後は当日を待つだけ、ではありません。事前にテント泊登山の練習をしておくことで、初心者につきものの不安を解消することができます。
事前に練習が必要なのは、主に次の3つです。
初めて「山岳用マイテント」を購入したら、実際に自宅の庭や幕営が許可されている公園などを利用して設営の練習をしましょう。ぶっつけ本番はNGです。最初は説明書を見ながら、慣れたら説明書なしでスムーズにできるようになるまで繰り返し練習します。
山岳用テントは生地が薄く、風の影響をダイレクトに受けるため、強風時は設営も撤収も手間取ります。そのため敢えて風の強い日に練習してみるのもおすすめです。また、突然の降雨も予想されるため、雨の日に試してみるのもいいでしょう。
テントを買うと必要最低限のペグやガイラインなどが付いてきますが、予備のペグやガイラインがあると、強風時にテントが飛ばされないよう固定力を上げることができます。購入したテントの構造を把握し、練習の過程で必要なテントギアの見直しや確認をしましょう。
ある程度テントの設営がスムーズにできるようになったら、実際にテントに宿泊する練習をします。自宅に庭があれば庭でテント泊を、庭がない場合はテント泊が許可されている公園や河原、近場のオートキャンプ場などを利用して試してみます。
山の環境とは異なりますが、実際にシュラフやマットなどを持参し、屋外で寝ることで寒さや寝心地などを確認できます。テントの設営~宿泊~撤収が目的の練習なので、食事は外食でも構いません。
テント泊登山装備の軽量化アイデア-ガイライン&自在の見直し|装備の軽量化|ハウツー・ヒント|山のコト|登山・トレラン・山スキーマガジン「山旅旅」
『山旅 ダイニーマ製ペグサック』は、予備のペグとガイラインをまとめて収納できる便利なペグサック。撤収時に汚れたペグとガイラインを一緒に入れておけば、他のものを汚す心配がない上、ザックの中で行方不明になりません。
テント泊登山では、火器と調理器具のほかに、初日の昼食・夕食と翌日の朝食・昼食の食材、行動食、飲料などを持参しなくてはなりません。【食】の装備は、「食べたい・作りたいもの」と「重さ」との兼ね合いが難しいのですが、最初は軽量化に振り切った食材でメニューを考えるのがおすすめです。
お湯を注ぐだけでOKのアルファ米やフリーズドライ製品なら、お湯を沸かす道具さえあればいいので食材と合わせて軽量化できます。山旅のスタンドコジーやジップロックなどを使えば、後片付けもラクです。
山での食事はテント泊登山最大の楽しみなので、日帰り登山で山ごはんを作った経験がある方は、テント泊ならではの凝ったメニューを立案してみるのもおすすめです。家で試作した後、実際に日帰り登山で作ってみましょう。
これまで山ごはんを作った経験がない方は、日帰り登山でお湯を沸かして作る練習はマストです。火器の取り扱いにも慣れておきましょう。
テント泊登山のための軽量化-食料と行動食を考察|装備の軽量化|ハウツー・ヒント|山のコト|登山・トレラン・山スキーマガジン「山旅旅」
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ジップロックに入れた食材にお湯を注ぎ、ジップロックごと『山旅 X-PAC製スタンドコジー』に入れると食材が温まっておいしい料理が出来上がります。1つ持っておくと重宝するアイテムです。
テント泊登山の装備は、日帰り登山の装備より10㎏以上重くなります。重さに慣れるために、実際に10㎏以上の荷物を背負って歩きなれたホームグラウンドの山を歩いてみましょう。
テント泊用の装備をまだ持っていない、あるいはレンタルを予定している方は、荷物をペットボトルの水などで代用して構いません。まずは「重さ」を実感することが大事です。
重い荷物を背負って山を歩く練習をすることで、テント泊登山に必要な体力がついてくるだけでなく、装備計画の見直しにもつながります。
①、②、③それぞれの練習ができたら、①~③まで通しで練習します。重い荷物を背負って歩き、テントを設営し、山ごはんを作って食べてテントに泊まるフルコースの練習です。公共交通機関を使って近場のテントサイトなどに行き、一通りの流れをつかんでみるといいでしょう。
麓にキャンプ場がある低山を利用するのもおすすめです。キャンプ場に荷物を置いてアタックザックで山に登れば「テント泊+登山」ができるため、実際のテント泊登山の練習になります。
テント泊登山の練習をするのにおすすめのテント場を紹介します。
「テント泊の雰囲気を楽しみたい」、「テントを設営して食事をし、宿泊する練習がしたい」という方におすすめのテント場です。登山者に大人気の北アルプスの麓、風光明媚な上高地にあり、素晴らしい景観と充実した施設・サービスが楽しめます。
ここをベースに焼岳や蝶が岳などに登れますが、上高地の散策だけでも自然の魅力を満喫できます。
ただし、テント場までは上高地バスターミナルから徒歩10分程度のため、重い荷物を担いで歩く練習にはならないかもしれません。
東京都心から短時間でアクセスできる山岳エリア、丹沢で唯一のテント場です。秦野市が管理しており、無料で利用できるのが魅力です。
登山口からテント場まで50分程度歩くため、重い荷物を担いで歩く練習にもなり、ここをベースにすれば、通常は日帰りで行く塔ノ岳や鍋割山へ余裕を持った登山ができます。首都圏在住者のテント泊登山の練習に最適なテント場です。
初めてのテント泊登山を成功させるカギは、しっかりとした事前の準備にあります。山行計画と装備は、いわば車の両輪のようにどちらも欠かすことのできない大事な準備です。準備を整えたら、本番に向けて練習を重ねることがアクセルとなって車は走り出していきます。安全運転でテント泊登山デビューを成功させましょう。
里山歩きが好きなおばさんソロハイカーです。たどり着いた山頂でいただくコンビニの梅干しおにぎりが大好き。登りはいいけど下りがニガテで、無事に下山できるとお山の神様に「ありがとうございました」と一礼。帰りはあたりをブラブラして、プチ旅気分を満喫。運転できないので鉄道、バス利用ですが、もともと鉄分高めなのでそれもまた楽しみ。膝と足首に痛みを抱えつつ、神奈川および近郊の山をえっちらおっちら歩いています。
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