ダウンパンツは、テント泊や山小屋泊では欠かせない防寒アイテムです。寒さが厳しい時期はもちろん、高所登山のテント泊では夏でも活躍します。
この記事では、登山におすすめのダウンパンツを、軽量で持ち運びしやすく保温力の高いモデルを中心に厳選紹介しています。
宿泊登山を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ダウンパンツの着用シーン
登山でダウンパンツはどういう時に着用するのかを紹介します。
テント泊では必需品
テント泊登山では、ダウンパンツは基本的に1年中必要です。
春秋冬はもちろん、夏でも高所登山の夜は冷え込みます。テント場で食事をする時や寝る時、朝のご来光を拝むときなど、あまり体を動かさないシーンでは冷えを感じやすく、保温力に優れたダウンパンツを着用することで、冷えから下半身を守ります。
特にテント泊では就寝時の寒さが強く、ダウンパンツを着用してシュラフに入ってもまだ寒く、シュラフごとザックに足を突っ込む方もいるほど。ダウンパンツはテント泊の必須装備といえます。
山小屋での保温用に
ダウンパンツは山小屋で寒さを感じる時に、アウターとして着用します。小屋によっては深夜でも十分温かいですが、窓際などでは寒さを感じる場合があるため、ダウンパンツを着用して就寝します。
日帰り登山では必要なし
ダウンパンツは保温力が抜群のため、登山では体を動かさない時や寝る時に着用します。ダウンパンツを着用したまま行動しているとオーバーヒートになる恐れがあるため、行動中は着用しないのが基本です。
そのため、ほとんどの時間を行動している日帰り登山では、ダウンパンツは必要ありません。荷物になるので持参しなくても大丈夫です。
極寒な環境下でのインナーダウンとして着用
基本的にダウンパンツは休憩中に着用しますが、厳冬期の高所登山など極寒の環境下では行動中も着用します。
ダウンパンツをアウターパンツの下に履くインナーダウンとしてレイヤリングに加えることで、強烈な寒気から下半身を守ります。
保温力が強いダウンパンツは、極寒の環境下でこそ活躍するアイテムです。
登山向けダウンパンツの選び方
登山向けダウンパンツを選ぶには、①休憩中に着るのか、②行動中も着るのか、着用シーンを考えてから選ぶことおすすめします。
①休憩中に着る場合
下半身を冷えから守るダウンパンツは、休憩中に着ることが多く、テント場や山小屋に到着するまでは、ザックの中に入れて持ち運ぶ装備となるため、次の2点がポイントになります。
- 軽量で持ち運びしやすい
- 保温力に優れている
1.【軽量で持ち運びしやすい】重量とコンパクト性に着目
ダウンパンツに限らず、登山の装備は持ち運びの負担にならないよう、できるだけ軽量であることがおすすめです。しかし、防寒着は軽いと保温力が下がり、保温力を上げようとすると重くなってしまうのが一般的です。
登山にダウンパンツを持っていくなら、保温性と軽量性のバランスがとれた、重量300g以内を目安にするといいでしょう。登山に使用するダウンパンツの平均重量は、約230gです。
軽量化は、ダウンパンツに使用している表面の生地の厚みを薄くすることでも図れますが、生地が薄くなると保温力が下がるため、難しいところです。
また、パッカブル仕様であるなど、コンパクトにまとまって収納しやすいものが持ち運びしやすく、おすすめです。付属のスタッフバッグに入れれば小さくまとまり、ザックの中で隙間なく収納できます。
テント泊ではあえて付属のスタッフバッグを使わず、山旅ダイニーマ製ドライバッグに入れて、結露や雨などの濡れからダウンパンツを守るのもおすすめです。
2.【保温力に優れている】フィルパワーとダウンの封入量、表地の厚さに着目
出典:ウエスタンマウンテニアリング
ダウンパンツの保温力を判断する目安の1つに、フィルパワー(FP)があります。フィルパワーとは、1オンスあたりのダウンの体積、かさ高を表した数値で、フィルパワーの数値が大きいほど空気を多く含んでいるため、軽くて温かい高品質なダウンといえます。
本来、保温性と軽量性は相反する機能ですが、フィルパワーの数値が高いモデルを選べば、軽量でありながら保温性の高いダウンパンツを得られます。
登山に適したダウンパンツを選ぶなら、700フィルパワー以上がおすすめです。
フィルパワーのほかに、ダウンパンツに封入されているダウンの量も保温力に影響します。ダウンの封入量は多いほど温かいため、購入時にチェックするといいでしょう。
また、登山では風が強いことが多く、ダウンを封入しているシェル地が薄いと風を通しやすいため、保温力が低下する可能性があります。
登山に適したダウンパンツを選ぶなら、ある程度シェル地が厚い方がいいでしょう。生地の厚みが20デニールくらいあった方が保温性を落とさず維持できる上、ダウンの抜けが抑えられます。
②行動中も着る場合
ダウン製品は濡れ、蒸れに弱く、水分を含むと保温能力が大幅に下がってしまうのが弱点です。
極寒の環境下でダウンパンツを行動中に着用するなら、この弱点を克服する次のタイプのものがおすすめです。
- 濡れても保温力が落ちない撥水加工
- 行動を妨げない工夫
3.【濡れても保温力が落ちない】撥水加工に着目
撥水加工を施したダウンが封入されているモデルなら、行動中の熱で蒸れてもダウンがつぶれず、保温力を維持できます。撥水加工をしたダウンかどうかチェックしてみるといいでしょう。
表地も撥水加工が施されていれば、しっかりと水を弾いてくれるのでおすすめです。
4.【行動を妨げない工夫】両脇フルオープン、動きやすさなどに着目
両脇にウエストから裾まで全開できるファスナーが付いているモデルなら、靴やアイゼンを履いたまままで着脱できて、とても便利です。
また、ダウンパンツは休憩着として着用することが多いため、足を動かしにくいことがありますが、立体裁断の採用など、大きな足の動きにも対応できるモデルがあります。
行動着として着用する場合は、ストレスなく着られる工夫が施されたタイプを選ぶといいでしょう。
おすすめダウンパンツ10選
ここでは、温かくて持ち運びしやすい軽量コンパクトなダウンパンツを紹介します。
おすすめダウンパンツ一覧表
ブランド | ナンガ | ナンガ | マウンテンイクイップメント | ネイチャーハイク | モンベル | モンベル | ウエスタンマウンテニアリング | ティートンブロス | ミズノ | アクシーズクイン |
商品名 | マウンテンロッジダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ) | ミニマリスムダウンパンツ(メンズ) | パウダーパンツ(メンズ/ウィメンズ) | ダウンパンツ(ユニセックス) | スペリオダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ) | ライトアルパインダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ) | フラッシュパンツ(ユニセックス) | べリングパンツ(ユニセックス) | 【発熱素材】ブレスサーモリフレクションギアダウンパンツ(ユニセックス) | ベーシックダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ) |
特徴 | 軽量コンパクトで保温性を備えたダウンパンツ | 山岳ガイドが監修したテクニカルなウルトラライトダウンパンツ | 保温性に優れた薄手ダウンパンツの代名詞 | 保温性に優れ、高品質なコスパ最強のダウンパンツ | 軽量性と保温性を両立させたモンベルの定番ダウンパンツ | テント泊や山小屋での着用に最適な、ダウン量の多い暖かなモデル | 最軽量で保温力が高く、耐久性・防風透湿性を備えたハイスペックなモデル | 撥水ダウン+動きやすさで着用したままの行動も可能なダウンパンツ | ミズノの発熱技術を用いて保温力を高めた冬におすすめのダウンパンツ | ミニマリストのためのシンプルで軽量コンパクトなダウンパンツ |
価格 | メンズ 30,800円 ウィメンズ 28,600円 | 49,500円 | メンズ 19,250円 ウィメンズ 19,250円 | ポケットなし7,192円 ポケット付き7,992円 | メンズ 15,950円 ウィメンズ 15,620円 | メンズ 17,050円 ウィメンズ 15,950円 | 46,200円 | 38,500円 | 18,150円 | メンズ 24,200円 ウィメンズ 24,200円 |
重量 | メンズ 275g ウィメンズ 264g | 不明 | メンズ 210g ウィメンズ 197g | 244g | メンズ 226g ウィメンズ 195g | メンズ 316g ウィメンズ 282g | 180g | 270g | 不明 | メンズ 194g ウィメンズ 176g |
ダウンの量 | メンズ 50g ウィメンズ40g | 50g | メンズ 70g ウィメンズ 77g | 98g | 不明 | 不明 | 57g | 不明 | 不明 | メンズ 70g ウィメンズ 70g |
ダウンの質 | 860フィルパワー | 770フィルパワー超撥水加工 | 700+フィルパワー | 800フィルパワー | 800フィルパワー | 800フィルパワー | 850+フィルパワー | 850フィルパワー | 650フィルパワー(ダウン90%、フェザー10%) | 700フィルパワー |
表地の厚み | 10デニール | 7デニール | 20デニール | 20デニール | 20デニール | 20デニール(尻・膝は40デニール) | 不明 | 12デニール | 不明 | 20デニール×10デニール |
ナンガ | マウンテンロッジダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ)
マウンテンロッジダウンパンツは、高品質なダウン製品を製造する国内ブランド、ナンガの大人気ダウンパンツです。非常に薄い10デニールのリサイクルナイロンをシェルに採用し、ポーランド産グースダウンを封入。860フィルパワーと高い保温力と軽量性を誇ります。
膝部分にはストレッチ性のある生地を貼り付け、大きな動きにも対応。裾口は伸縮性を持たせた仕様で足元からの冷気の侵入を防ぎます。
登山では山小屋やテント場での保温着として、キャンプではオーバーパンツと合わせたミドルレイヤーとして、あるいは1枚でアウターとしても着用できます。
特徴 | 軽量コンパクトで保温性を備えたダウンパンツ |
価格 | メンズ 30,800円 ウィメンズ 28,600円 |
重量 | メンズ 275g ウィメンズ 264g |
ダウンの量 | メンズ 50g ウィメンズ 40g |
ダウンの質 | 860フィルパワー |
表地の厚み | 10デニール |
ナンガ | ミニマリスムダウンパンツ(メンズ)
山岳ガイドをアンバサダーに迎え、プロ目線で作られたテクニカルなウルトラライトダウンパンツです。超軽量で携行性が高く、両サイドにはフルオープンできるファスナーが付いているため、登山靴やアイゼンを付けたままで着脱できます。
封入されているダウンは超撥水加工が施されているため、濡れや湿気に強く、両サイドにはフルオープンファスナーとは別にベンチレーションが設けられているため、細かな体温調節が可能。行動中も着用できるテクニカルなモデルです。
特徴 | 山岳ガイドが監修したテクニカルなウルトラライトダウンパンツ |
価格 | 49,500円 |
重量 | 不明 |
ダウンの量 | 50g |
ダウンの質 | 770フィルパワー超撥水加工 |
表地の厚み | 7デニール |
マウンテンイクイップメント | パウダーパンツ(メンズ/ウィメンズ)
高所用ダウン製品のパイオニアとしてスタートしたイギリスのブランド、マウンテンイクイップメントを代表するアイテムです。
軽量ながら厳冬期のテント泊でも耐えうる優れた保温力を備えているため、多くのハイカーに支持されています。表地は水をはじき、強い風もシャットアウト。股下にはジグザグのパネルを配置してダウンの偏りをなくし、コールドスポットをなくしています。
メンズの製品は、前にジッパーが付いているため、ダウンパンツをはいたまま用が足せるのも魅力。小さくコンパクトにまとまるので携行するのにも便利です。
秋から残雪期の登山までカバーできる、シンプルで使い勝手の良いダウンパンツです。
特徴 | 保温性に優れた薄手ダウンパンツの代名詞 |
価格 | メンズ 19,250円 ウィメンズ 19,250円 |
重量 | メンズ 210g ウィメンズ 197g |
ダウンの量 | メンズ 70g ウィメンズ 77g |
ダウンの質 | 700+フィルパワー |
表地の厚み | 20デニール |
ネイチャーハイク | ダウンパンツ(ユニセックス)
中国のアウトドアブランドであるネイチャーハイクのダウンパンツは、800フィルパワーと保温力が高く、軽量性、コンパクト性に優れている上、シェル素材には程よい厚みと耐久撥水加工が施されているため、防風性、耐水性も備えています。
シルエットがやや大きめのため、さまざまなサイズのパンツの上から履いてもきつさを感じさせません。
これほど高品質でありながら値段は10,000円を切る、コスパ最強のダウンパンツです。
特徴 | 高品質で保温性に優れたコスパ最強のダウンパンツ |
価格 | ポケットなし 7,192円 ポケット付き 7,992円 |
重量 | 244g |
ダウンの量 | 98g |
ダウンの質 | 800フィルパワー |
表地の厚み | 20デニール |
モンベル | スペリオダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ)
モンベルの定番ダウンパンツです。非常に軽量でありながら優れた保温力を備え、コールドスポットができにくい独自のキルティングパターンを採用しています。ダウンの質も800フィルパワーと高く、高いレベルで保温性と軽量性を両立させています。
表地は帯電防止加工されているため、指先にバチンとくることはありません。値段もモンベルらしく手頃です。
特徴 | 軽量性と保温性を両立させたモンベルの定番ダウンパンツ |
価格 | メンズ 15,950円 ウィメンズ 15,620円 |
重量 | メンズ 226g ウィメンズ 195g |
ダウンの量 | 不明 |
ダウンの質 | 800フィルパワー |
表地の厚み | 20デニール |
モンベル | ライトアルパインダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ)
寒い時季のテント泊や山小屋での着用に最適な、ダウン量の多い暖かなパンツです。こすれてダメージを受けやすい尻・膝部分は生地を二重にして補強しているため、アウターとしても使用できます。帯電防止加工が施されているため、指先にバチンとくることもありません。
特徴 | テント泊や山小屋での着用に最適な、ダウン量の多い暖かなモデル |
価格 | メンズ 17,050円 ウィメンズ 15,950円 |
重量 | メンズ 316g ウィメンズ 282g |
ダウンの量 | 不明 |
ダウンの質 | 800フィルパワー |
表地の厚み | 20デニール(尻・膝は40デニール) |
ウエスタンマウンテニアリング | フラッシュパンツ(ユニセックス)
カリフォルニアのダウンメーカー、ウエスタンマウンテニアリングのフラッシュパンツは、この記事で紹介している商品の中で、最も軽量なダウンパンツです。
850+フィルパワーと高品質で十分な保温力を備えながら、コンパクトに圧縮できるため、山小屋やテントでの保温着に最適です。また、寒冷な環境下では、シェルパンツのインナーとしてレイヤリングできます。
表地には軽量で引き裂き強度に優れたリップストップナイロンを使用し、濡れやすいヒップ部分は、防風透湿性に優れたゴアウィンドストッパーで補強されているので、雪山でも安心して着用できます。
特徴 | 最軽量で保温力が高く、耐久性・防風透湿性を備えたハイスペックなモデル |
価格 | 46,200円 |
重量 | 180g |
ダウンの量 | 57g |
ダウンの質 | 850+フィルパワー |
表地の厚み | 不明 |
ティートンブロス | べリングパンツ(ユニセックス)
日本発のアウトドアブランドであるティートンブロスのべリングパンツは、表地に撥水加工済みの軽量リップストップナイロンを使用し、湿気に強く復元力の高い850フィルパワーの撥水ダウンを封入しているため、極寒の環境下で着用したまま行動しても、ダウンがつぶれず保温力を保ってくれます。
また、立体裁断で動きやすく、股下にはガセットを配置することでダウンパンツ特有の足の動きにくさを解消。開脚からあぐらまで、思いのままに動けます。夏のテント泊から雪山登山、スノーキャンプまで幅広いシーンで使えるダウンパンツです。
特徴 | 撥水ダウン+動きやすさで着用したままの行動も可能なダウンパンツ |
価格 | 38,500円 |
重量 | 270g |
ダウンの量 | 不明 |
ダウンの質 | 850フィルパワー |
表地の厚み | 12デニール |
ミズノ | 【発熱素材】ブレスサーモリフレクションギアダウンパンツ(ユニセックス)
ミズノの技術である、体から出る水分を吸収して発熱する合成繊維ブレスサーモと、体温を反射して保温効果を高めるリフレクションギアを使用することで、650フィルパワーであっても優れた保温力を備えています。
ヒップはゆとりがあり、裾はゴムシャーリングで絞ったシルエットで、登山の小屋泊やキャンプ、釣りなど冬のアウトドアシーンで活躍します。値段もお手頃です。
特徴 | ミズノの発熱技術を用いて保温力を高めた冬におすすめのダウンパンツ |
価格 | 18,150円 |
重量 | 不明 |
ダウンの量 | 不明 |
ダウンの質 | 650フィルパワー(ダウン90%、フェザー10%) |
表地の厚み | 不明 |
アクシーズクイン | ベーシックダウンパンツ(メンズ/ウィメンズ)
1988年設立の日本のアウトドアブランド、アクシーズクインのベーシックダウンパンツは、非常に軽量で持ち運びしやすいミニマリストのためのダウンパンツです。撥水性、防風性、透湿性に優れ、秋冬登山の休憩時のインサレーション、テント泊でのインサレーションとして、幅広く使えます。
なお、行動着として使用すると内側が汗で結露することがあるのであまりおすすめしません。ベーシックな素材を使用したシンプルなデザインのため、旅行や普段使いにもOKです。
特徴 | ミニマリストのためのシンプルで軽量コンパクトなダウンパンツ |
価格 | メンズ 24,200円 ウィメンズ 24,200円 |
重量 | メンズ 194g ウィメンズ 176g |
ダウンの量 | メンズ 70g ウィメンズ 70g |
ダウンの質 | 700フィルパワー |
表地の厚み | 20デニール×10デニール |
ダウンパンツで寒さ知らずの宿泊登山を
寒風吹きすさぶ稜線でのテント泊、冷え込んできた山小屋での夜など、寒冷な環境下では、ダウンパンツの圧倒的な保温力が寒さから身を守ってくれます。本記事を参考にお気に入りのダウンパンツを見つけて、テント泊や山小屋泊登山を温かく過ごしましょう。