この記事の要点:気象庁は10月9日、春から続くエルニーニョ現象が観測史上もっとも強くなり、冬にかけて続く見込みだと発表しました(確率100%)。10月20日に出た3か月予報(11月〜1月)では、全国的に気温が平年より高く、日本海側の雪は平年より少ない見込みです。ただ、暖かい冬は「楽な冬」ではありません。雪の付き方が不安定になり、急な寒波との落差も大きくなります。この記事では、発表の中身と、登山者がこの冬に気をつけたいことをまとめます。
何が起きているのか:過去最強のエルニーニョ
エルニーニョ現象は、南米ペルー沖から太平洋の赤道付近の海面水温が、平年より高い状態が続く現象です。気象庁の「エルニーニョ監視速報」(10月9日発表)によると、監視している海域の9月の海面水温は基準値より4.0℃高く、これまで最高だった1997年12月の3.6℃を上回りました。気象庁は、冬にかけて海面水温はさらに高い値で推移すると予測しています。
エルニーニョ現象が起きている冬は、日本付近では冬型の気圧配置が続きにくく、暖冬になりやすいとされています。
この冬の天気の見通し(気象庁の3か月予報)
気象庁が10月20日に発表した11月〜1月の3か月予報のポイントです。
- 気温:全国的に平年より高い見込み。北海道は平年並みか高い見込みです。
- 雨・雪の量:西日本と東日本の太平洋側、沖縄・奄美で平年より多い見込み。北日本の日本海側は平年並みです。
- 日本海側の雪:平年より少ない見込みです。
地方ごとの予報も出ています。たとえば九州北部地方の12月〜2月の予報(寒候期予報)では、平均気温が「高い」確率が60%です。一方で、1月は一時的に強い寒気が流れ込み、気温の変動が大きくなるとしています。
登山者にとって何が変わるか
雪山シーズンの始まりがずれる・雪の付き方が不安定になる
雪が少ない・遅い冬は、例年なら雪に覆われる斜面にササや岩が出たままになったり、薄い雪の下で登山道が凍ったりします。深い雪よりも、うっすら積もった雪や凍った道のほうが、滑って転ぶ・滑落するきっかけになりやすい場面があります。「今年は雪が少ないから」と、いつもより軽い装備で出かけないことが大切です。低山でも、凍結に備えてチェーンスパイクや軽アイゼンを持っていきましょう。
暖かい日と寒波の日の落差が大きい
日本気象協会の解説では、冬の終わりほど寒暖差が大きくなり、一時的な寒波に注意が必要とされています。強い寒気が南下すると、海面水温が高い日本海で雪雲が発達し、局地的な大雪になる可能性もあります。「暖冬だから大丈夫」と考えず、出発の直前まで山の天気予報を確認し、寒波が来る日は計画を変える判断が必要です。
太平洋側は雨や湿った雪に注意
3か月予報では、太平洋側で雨や雪の量が多い見込みです。関東の低山でも、南の海上を通る低気圧によって雨や湿った雪が降ることがあります。冬の雨は体を一気に冷やします。防水のレインウェアと、濡れたときの替えの手袋を持っていくと安心です。
この冬の山行で気をつけたいこと
- 「暖冬」の予報は冬全体の平均の話です。山行の日の天気・気温・風は、直前の予報で必ず確かめる
- 雪が少なくても、凍結に備えてチェーンスパイクや軽アイゼンを持つ(低山でも)
- 雨と湿った雪に備えて、防水のレインウェアと替えの手袋を用意する
- 行動中は汗をかきすぎない服装にし、休憩でダウンなどの保温着を足す
- スキー場・山小屋・登山口までの道路の冬の営業や通行止めは、雪の量で変わることがあるので公式の情報を確かめる
この冬の装備選びに
次の発表の予定
気象庁の次の3か月予報は11月24日(火)に発表される予定です。エルニーニョ監視速報も毎月出ています。山旅旅のニュースでも、新しい発表があればお知らせします。
出典:気象庁 エルニーニョ監視速報(No.409、2026年10月9日)/福岡管区気象台 九州北部地方3か月予報(2026年10月20日)/ウェザーニュース「気象庁3か月予報 暖冬の可能性高い」/日本気象協会 tenki.jp「今冬は暖冬に?」(2026年10月27日確認)

