登山を始めようと思ってもどのような服装で行けば良いか悩む方も多いと思います。そんな悩みを解決するため、服装別11のポイントで、登山服装の着用テクニック、選び方、知っておくと便利な素材や機能性について紹介します。
登山用服装の選び方11ポイント解説
登山では汗をかかないようにするために、レイヤリング(重ね着)を基本とします。だから登山の服装(行動着)は必然と多くなります。
登山をするときに着用するアイテムの主なものを挙げると11種類あります。この11種類の服装とギア類を身につける際にどのようなポイントを抑えればよいのかを紹介します。以下の表は各服装の役割です。
※横スクロールで表がスクロールできます。服装 | 役割 |
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ベースレイヤー | 速乾性・保温性 |
ミドルレイヤー | 軽量性・保温性 |
アウターレイヤー | 耐候性 |
防寒着 | 保温性・コンパクト性 |
パンツ | 歩きやすさ |
ソックス | クッション性・通気性 |
登山靴 | グリップ性・防水性 |
ザック | 容量・フィット感 |
サングラス | 偏光・UVカット |
グローブ | 保温性・耐久性 |
帽子 | 透湿性・通気性 |
ベースレイヤーは速乾性と保温性で選ぶ

肌に汗が付着していると乾く際に一緒に熱を奪われてしまいます。肌に一番近いベースレイヤーは汗をかいたら素早く吸収して汗離れの良いウェアを選ぶと良いでしょう。
ベースレイヤーの選び方のポイントは吸湿と速乾スピードです。暑い季節におけるベースレイヤーは汗の量が多いため汗を吸収した後素早く拡散して乾きが早い化繊がおすすめです。肌寒い季節におけるベースレイヤーは乾きが早いものは同時に体温を奪うスピードも早いため寒くなりがちです。汗の量も少ないことが想定できるためゆっくりと乾くメリノウールがおすすめです。
暑い季節でも高所に移動することで風が強く気温も下がります。標高差のある登山では肌寒くなることを想定したベースレイヤーを着用するようにしましょう。おすすめはメリノウール製のベースレイヤーです。
ミドルレイヤーは軽量性と保温性で選ぶ

ミドルレイヤーの役割は保温です。行動中暑ければバックパックの中にしまっておくことになるのでできるだけ軽量なものを選びましょう。軽量であることで保温力が失われてしまって寒い思いをしては意味がありません。この点には注意が必要です。
寒い季節にはミドルレイヤーを着用して行動することを想定しておきましょう。この場合のミドルレイヤーは、吸湿速乾性が備わっていて体温調整がしやすいジッパーやボタンのついたウェアを選びましょう。
アウターレイヤーは耐候性で選ぶ

アウターレイヤーは雨や雪が降った時に体を濡らさずに行動ができる役割を担うため、防水透湿性が備わっているハードシェルを選びましょう。行動を伴って着用が必要なため汗をかかずに行動ができる通気性と透湿性を備えたウェアがおすすめです。
レインジャケットであればピットジップや透湿性の高い素材を使ったシェルがおすすめです。雨や雪ではなく風をしのぐことができるウインドブレーカーは軽量かつコンパクトになるシェルが多いため休憩時、風が強くなる稜線歩きなど多くのシーンで役立ちます。
レインウェアに採用される素材として認知の高いゴアテックス・eVent・パーテックスシールド・ポーラテックネオシェル・各メーカー独自素材の違い、またレインウェアを選ぶ際に必要な防水性・透湿性について、そしてレインウェアを特徴づけるピットジップやフード形状など、登山だからこそ重視すべきレインウェアの特徴について以下の記事では紹介しています。雨が降って寒い、暑い思いをしないように正しいレインウェアを選べる知識をみにつけましょう。
防寒着は保温性とコンパクト性で選ぶ

山小屋やテント泊を行う登山では夜と朝を山の上で過ごすことになるため保温力のある防寒着が必要になります。行動中はバックパックの中に入れておくことになるため軽量かつコンパクトな防寒着がおすすめです。保温力が高く軽量なダウンウェアを選ぶ際はフィルパワーが高いダウンを使用しているものがおすすめです。
ダウンウェアや化繊中綿のジャケットやパンツは軽量かつコンパクトになるため活用している人も多く、ダウンは濡れに弱いですが軽量なものが多く、化繊は濡れに強い特徴があります。
パンツは歩きやすさで選ぶ

トレッキングパンツやショーツはストレッチがあり足上げがしやすいものを選びましょう。登山では岩場を登ったり鎖場がある登山道があります。足上げがしづらいことで思ったように行動ができない、ということがないように選びましょう。
登山初心者の方は運動効率のアップが期待できるコンプレッションタイツを取り入れるのもオススメです。運動時の余分な筋肉の振動を抑え筋肉の疲れを軽減することができます。
ソックスはクッション性と通気性で選ぶ

登山では足の汗によるスレやマメに気を配る必要があります。汗で足が蒸れることでマメができやすくなりますので通気性のあるソックスで蒸れを効果的に逃がしましょう。
またソックスが厚手であることでクッション性を補え、登山靴とソックスで足裏への衝撃を緩和することができます。足が疲れやすい人はクッション性の高いソックスも選択肢に入れると良いでしょう。
登山靴はグリップ性と防水性で選ぶ

整備されている登山道を歩くだけなら歩きやすく低山向け登山靴を選びましょう。ソールは比較的柔らかくアッパーは通気性が施され軽量な為に無理なく歩行することができます。
ガレ場や鎖場などがあるテクニカルな登山道ではソールは固めで防水性が施された登山靴を選ぶと、体力に自信がない方でも柔らかなソールと比較して足ブレが少なく安定した歩行を行えます。
このような登山道がある山は高所であることが多く急な天候変化も多いことでしょう。ゴアテックス性の登山靴であれば足を濡らさず安心して登山を行えます。
ザックは容量とフィット感で選ぶ

どのような登山スタイルを楽しむかによって持ち歩く装備が異なります。日帰り登山で山ごはんを楽しむだけの登山であれば、必須装備となるエマージェンシーキット、ファーストエイド、防寒着、レインウェア、山ごはん道具をパッキングすれば良いので容量は20リッター以下の小さなサイズのザックを選びましょう。
山小屋泊やテント泊になれば必要な装備が増えます。必要な装備を知って、これらを無理なくパッキングできる容量のザックを選びましょう。しっかりと背中にフィットさせることで疲れ方が異なりますので、背面長を測り自分の身体合ったザックを選ぶことも重要です。
サングラスは偏光とUVカットで選ぶ

高度1000メートルで紫外線は約10%強くなります。目に紫外線が入ると身体全体が日焼けをし疲れやすくなります。また登山道を目視するのにも偏光サングラスがあると凹凸が見やすく安全に登山ができます。
また登山道では木々に覆われている場所も多く、サングラスがあることで目を保護し安全性を保ちます。
グローブは保温性と耐久性で選ぶ

グローブはオールシーズン、登山では必要なアイテムです。体が冷えて最初に冷たくなるのが指先や足先です。手が冷たくなると登山の集中力がなくなるのでグローブはサブグローブも準備するぐらいの気持ちで重要視しましょう。
岩場やロープ、木々などを握る場面が多いのも登山の特徴です。不用意に触って手を傷つけないように耐久性のあるグローブで手を守りましょう。
帽子は透湿性と通気性で選ぶ

帽子があることで登山時の強い紫外線から頭と首、顔全体をある程度守ることができます。登山中は頭から汗をかいてもしっかりと熱を逃がし、発汗を促すさ無いよう、被る帽子は通気性のある素材がおすすめです。
また汗や雨で保水してもすぐに乾く素材であることで重くなりづらく快適に登山を行うことができます。ハットタイプは日差しを360度避けることができ、バンドが付いていることで強風に帽子が飛ばされずに済みます。バンドが付いていなくとも風飛び防止のキャップキーパーを取り付けるのもおすすめです。
手始めは持っているウェアを活用しよう
登山で使用する服装は機能性ウェアな為に高価なものが多いです。最初から全てを買い揃えるのはコスト的にもなかなか難しいはずです。初心者の方はまず普段着用している服装から登山でも使えるアイテムを探してみましょう。
運動する時に着用していたジャージ素材のウェアや、ポリエステル素材が混紡されている雨や汗に濡れた時に乾きやすいものなどを着用するのがおすすめです。
このような服がなくても低山であれば普段着として着用しているチノパンやコットン製のTシャツでも問題ありません。経験を積みながらより登山に適したアイテムを少しずつ揃えていくというのがおすすめです。
着用テクニック①-着脱をコマ目に行い汗をかかないように

暑くなった時に服を脱いで涼しい風を取り入れ発汗を抑え、寒くなった時に体温低下が起こらないように服を着る必要があります。汗をかくことで気温が下がった時体温が奪われ、それによって体力を消耗してしまいます。汗をかくことも、体温が奪われることも、いづれも体力消耗に繋がるのでウェアの着脱を頻繁に行って体温調整を行いましょう。
着用テクニック②-重ね着(レイヤリング)で温度調整を可能に

登山の服装は着脱がしやすいように重ね着をすることが基本とされています。
ベースレイヤーと呼ばれるものは肌に直接触れる下着の役割を担います。ミドルレイヤーは中間着とも呼ばれ保温の役割を担います。アウターレイヤーは耐風・耐水性で雨風に対して体を守るための役割を担います。
必ず3層構造で登山をしなければいけないというわけではなく、あくまで基本形であって、暑い時期に低山登山をする際はベースレイヤーで行動して寒くなった場合にアウターレイヤーを着用するなど季節に応じて変化を加えることも重要です。
まとめ
登山で必要な服装として最低限のアイテムを選び方のポイント交えて紹介してきました。登山中に周りと比較して汗っかきなのか?寒がりなのかなどパーソナルな部分が分かってきたら自分にとって快適な服装を考慮し購入していくことでより快適な登山を楽しむことができるでしょう。
登山の服装は日々技術の進化とともに変化してきています。新しい服装を取り入れることで、より快適になるので、登山ウェア、登山靴、ザックなどは日頃からチェックしておきましょう。