登山では汗をかかないように頻繁に行動着の脱ぎ着を行うことが重要です。登山開始から頂上までは森の中で風が少なく、標高をあげて樹木が少なくなると強い風にあたることもしばしばで、登山で汗をかかないことって可能なの?と思います。この記事では、春・夏・秋の登山でおすすめの服装とレイヤリングの基本について紹介し、可能なかぎり汗をかかない方法をお伝えします。
登山におけるレイヤリングについて
登山では標高によって気温が変わり、風の強さが変わり、それによって体温が上がったり下がったりして、汗をかかないようにすることが難しい環境です。
だからレイヤリングと言って重ね着を適切に行うことで、体温調整をしやすくして、一定の体温を維持しやすくします。こうすることで発汗を抑えることができます。
レイヤリングは重ね着することで、服の着脱やジッパーの開閉で涼しい風を取り込んだり、冷たい風から身を守ることができます。
基本的には3層レイヤリングです。ファイントラックのドライレイヤーを追加すると4層レイヤーで更に肌をドライに保つことができます
- ドライレイヤー:ファイントラックが提唱するレイヤー。メッシュ地によって汗離れを促進。
- ベースレイヤー:肌に汗を残さないように、素早く汗を吸収して肌をドライに保つ。
- ミドルレイヤー:ベースレイヤーの汗を吸収し外に逃がす。また、空気の層を作り体の熱を保つ。
- アウター:雨や風から体を守る。
このレイヤリングを基本にして、登山中の体温調整を行います。暑ければ脱ぐ寒ければ着るを繰り返して、発汗量を抑えて登山をすることができます。
!ポイント
重要なのはウェアの着脱を面倒と感じないことです。『暑いけどそのまま歩いてしまおう』などと考えて登山をし続けていると必ず汗をかきます。汗をかくことで疲れが生じ、ベースレイヤーが濡れて、さらには水分補給が多くなり、水の消費量が増えてしまいます。暑い・寒いと感じたら(暑く・寒くなりそうだと感じたら)立ち止まってザックを下ろしてウェアの着脱を繰り返すようにしましょう。
登山服の素材について考える
登山の服装で使用されている素材は実に様々で、何を選んでよいか分からない方も多いと思います。
べースレイヤーは主にメリノウールかポリエステルなどの化繊素材の二択です。メリノウールは汗を吸収したらゆっくりと渇き、気化熱による体温が奪われづらい一方、乾きが遅いです。だから夏山登山以外でおすすめの素材です。最近では薄手のメリノウールがあり、夏山登山などでも活用できます。
ウェアが渇くときは一緒に体の熱を奪う為、汗の渇きが早い化繊素材は、体温が下がりやすい特徴があります。なので夏山登山向けのべースレイヤーとして人気があります。
夏山登山の服装
ここからは季節別の登山の服装について紹介していきます。夏山登山では大きく2つのスタイルがありそれぞれにメリットとデメリットがあります。
半袖短パンで涼しく登山を楽しむ
半袖Tシャツに短パンスタイルは涼しく快適です。涼しい一方、肌が露出するため日焼け、虫刺され、植物や岩などによる擦り傷がデメリットポイントです。
このスタイルで夏山登山を楽しむ時には、日焼け止め、虫除けスプレー、ファーストエイドが重要です。アームカバーやタイツを活用するとこれらのリスクを回避することができます。
ロングスリーブにロングパンツで安心な登山
登山で気にしなければいけない日焼け、虫刺され、植物や岩などによる擦り傷の危険を回避したスタイルと言えます。王道スタイルで、夏でもこの服装で登山をしている方々が多いです。
ロングスリーブは腕まくりができるように、少しタイトなモデルを選ぶと体温調整がしやすいです。
夏山登山のレインウェア
夏山登山は雨が降った際にレインウェアを着用すると熱がこもりやすく汗をかきやすくなります。この季節のレインウェアは、軽量で通気性に優れたレインウェアがおすすめです。
春と秋の登山の服装
次に、春と秋の登山の服装の基本を紹介します。夏山登山と比較すると気温が下がり、風が冷たい季節です。
肌の露出を避けミドルレイヤーを追加する
5月、9月、10月の登山では、場所によっては一桁台の気温になります。夏山登山では汗をかかないようにするレイヤリングが重要でしたが、この季節の登山では更に寒くならないことの重要度も高くなります。
そこで重要なのがミドルレイヤーの存在です。ミドルレイヤーを追加することで、細かな体温調整ができるようになります。
ミドルレイヤーで大変人気のあるアイテムの1つにパタゴニアのR1シリーズがあります。薄手、中厚手、厚手と3種類あり、寒さに応じて使い分けることができます。
春と秋の登山用レインウェア
この季節の登山は冷たい雨に叩かれることを想定することが重要です。だから3層構造のゴアテックスを採用したレインウェアを取り入れるようにしましょう。耐候性に優れているため冷たい雨や風に叩かれても、安心して登山をすることができます。
登山靴とソックスについて
季節に応じて登山靴とソックスを変えるというよりも、装備重量の重さや、どんな山に行くのかで、登山靴とソックスを変えるようにしましょう。
例えば高所登山で、岩稜帯が多い場所では、岩の上に足を置いても安定しやすい硬めのソールで、くるぶしを守るミドルからハイカット、雨の心配がある場合は、ゴアテックス製の登山靴が良いでしょう。ソックスは足裏の負担が少ない厚手のソックスがおすすめです。
低山登山で危険な登山道が少ない場所では、ローカットで柔らかいソールを採用した歩きやすいハイキングシューズや、トレイルランニングシューズでも良いかもしれません。暑い季節であれば、通気性の高い薄手のソックスを履いて、足をドライに保つのもおすすめです。