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登山用レインウェアは素材と目的で選ぶ−おすすめモデルの比較紹介

登山用レインウェアは素材と目的で選ぶ−おすすめモデルの比較紹介

登山の三種の神器に数えられるレインウェアは、雨が降った時に体を濡らさないという目的以外にも、ウィンドブレーカー代わりにもなるし、ビバーグを強いられるような時のエマージェンシーアイテムとしても活躍する重要な登山装備のひとつです。

今回は登山におけるレインウェアの役割を改めて再認識し、その上でレインウェアで重視する機能や選び方を紹介します。季節別やメーカー別のおすすめのレインウェアも要チェックです。

レインウェアの役割

レインウェアは基本、雨が降った時のみに着用するアイテムなので、ザックの中に収納して持ち運ぶアイテムのひとつです。だからできるだけコンパクトで軽量なものが良いとされています。

しかし山の上は街とは異なり気温が低いため、雨は冷たいし、風が強いため、レインウェアに雨が当たった時に軽量で薄すぎると、雨の冷たさを身体で受け止めてしまい、体がどんどん冷えてしまいます。だから、雨で体を濡らさないこと以外にも、雨の冷たさで体を冷やさないという役割も重視する必要があります。

登山のレインウェアで重視する機能

レインウェアの役割がわかったら、次に学ぶべきことはレインウェアに備わっている機能です。レインウェアを選ぶ時に必ず出てくるキーワードに、耐水性・透湿性・撥水性があります。これらを理解することは、正しいレインウェアを選ぶことにつながるので、理解することが大事です。

耐水性

耐水とは物体に水がかかって耐える性能のことを指します。水に濡れても水を通さない性能と理解しましょう。防水は物体の内側に水が入ってこない性能を指すので、レインウェアの性能を表す時には、「耐水」という言葉を使います。

耐水性を数値で表す場合は耐水圧で表します。登山では雨で濡れると命に関わるため20,000mm以上が必要と言われています。

  • 20,000mm—嵐
  • 10,000mm—大雨
  • 2,000mm—中雨
  • 300mm—小雨

透湿性

レインウェア内にある水蒸気がレインウェア外に移動する性能の事を透湿性と言います。数値が高いほど水蒸気の移動する量が高くなります。

  • 透湿性35,000g/m²・24hrs

上のような表記で、レインウェアのスペックが表記されている時には、24時間に1㎡あたりの素材に対して35,000グラムの水蒸気を外に出す透湿性能があることを指します。

以下は大人の一般的な発汗量の目安を表したものです。

  • 大人の安静時で1時間あたり約50g
  • 登山などの激しい運動で1時間当たり約1000g

「"透湿性35,000g/m²"もあればすごく涼しくて快適じゃん!」と思われる方が多いと思います。

当然のことですが、レインウェア内部と外部の水蒸気の量が一緒の場合は、いくら透湿性が高いレインウェアでも内部から外部へ空気は移動しません。湿度が高い蒸し暑い環境は透湿性能が低くなるので、このような環境では後から説明するピットジップやダブルジッパーなどで、レインウェア内の熱気を直接外に排出する方法が最も効率的です。

撥水性

レインウェアはメンブレンと呼ばれる防水透湿素材が傷つかないように、表側にナイロンなどの化繊素材が貼られています。この表生地が保水して重くならないように撥水性を施しています。

撥水性とは水を弾く性能を指し、多くのレインウェアは表生地に耐久撥水加工を施しています。

加工なので、使い続けていくうちに撥水性能が落ちることで表生地が吸水しやすくなります。撥水性能を維持するために、一度使ったら必ず洗うこと。できればアウトドア専用洗剤で洗うこと。撥水性能がなくなったら、撥水剤を使ってメンテナンスをすることが重要です。

レインウェアの選び方

耐水性・透湿性・撥水性という言葉の意味がわかったら、レインウェアの選び方について学んでいきましょう。登山用レインウェアの多くは、登山に持っていくこと、登山で着用して行動することに着眼した沢山の特徴を備えています。

ビニール製のカッパはダメ

ビニール製のカッパは耐水性がいまいち把握しづらく、透湿性はなく、一枚のビニールなので破ける可能性もあります。すぐに下山ができる日帰りの低い山であれば、念のためのアイテムとして機能することもありますが、着用して汗をかきやすいし、冷たい雨に当たったらダイレクトに雨の冷たさを感じて体が冷えてしまうし、ザックや木の枝などと干渉して破けてしまったら、中のウエアーが濡れてしまい非常に危険です。

軽いだけで選んではダメ

レインウェアは雨が降らなければ、基本的に使用しない装備なのでできるだけコンパクトで軽量なものを選びがちです。しかし夏の低山向けの軽いレインウェアを秋の高所登山で使用したら、確実に体が冷えてしまいます。適材適所で雨の冷たさ、風の強さを想定して、環境にマッチしたスペックのレインウェアを選ぶことが重要です。

レインウェアの構造を理解してから選ぶ

登山用レインウェアは3種類の構造があります。

雨や霧などの水滴は通さず、水蒸気だけを通す無数の小さな穴が空いた多孔フィルムをメンブレンと呼びますが、このメンブレンの表と裏に生地を貼り合わせたものを3レイヤー(3層構造)と呼び、表だけに生地を貼り合わせたものを2レイヤー(2層構造)と呼びます。

この2レイヤーの裏にコーティングを施したものを2.5レイヤーと呼びます。層が少なれば軽くなり、多くなれば耐久性が高くなるのですが、表生地のデニール数(素材の厚み)によっても大きな違いが生じます。

  • 春夏の登山—10~20デニール
  • 秋の紅葉登山—30~50デニール
  • 冬の登山—60デニール以上

冬の登山ともなると、レインウェアではなくより耐候性に優れたハードシェルを選択することになります。

ゴアテックスをチョイスする

ゴアテックスは、水を通さないのに蒸れない「防水透湿素材」を専門に作るアメリカの企業です。

レインウェアに置けるゴアテックスのプロダクトは数種類あり、

  • 比較的価格を抑え慣れた汎用性に優れた『ゴアテックスファブリクス』
  • 耐候性に最も優れた『ゴアテックスプロ』
  • ハードなアクティビティで持続する透湿性を備えた『ゴアテックスパフォーマンス』、
  • 軽量で持ち運びしやすくしなやかな『ゴアテックスパックライト』
  • ゴアテックスパックライトに怠慢もう性と耐久性をプラスした『ゴアテックスパックライトプラス』

は登山用レインウェアとしておすすめのメンブレン素材です。

メンブレン開発は他を圧倒する規模と、技術力の高さで、様々なメーカーがゴアテックスプロダクトを採用しています。安心感と信頼性が高い分、価格もメーカーオリジナル素材のレインウェアと比較すると高い傾向があります。

ディテールを必ずチェック

基本的にはここまでの情報を理解すれば正しいレインウェアを購入することができると思います。しかしより快適に、失敗しないレインウェアを選ぶためには、レインウェアの機能やディテールをチェックすることが重要になります。

フィット感をチェック

軽量なレインウェアほどドローコードや面ファスナー(マジックテープ)を排除し、簡易的な伸縮性素材のテープのみで裾や袖のフィット感を高めています。軽量でシンプルな構造なので使いやすいメリットがありますが、冷気が侵入しやすいため耐候性が劣ります。寒いことが予想される登山では冷気が侵入しないフィット性能をチェックしましょう。

ヘルメット対応フード

ヘルメットが必要になる岩稜帯の登山で雨が降ってしまったら、ヘルメットをした状態でレインジャケットのフードを被ることになります。この時ヘルメット対応フードでないと非常に危険です。基本的に雨が降ったらこのような岩稜帯歩きはとても危ないので撤退することがおすすめですが、そのようなことができない環境においては、ヘルメット対応フードが備わったレインジャケットが必要になります。

ピットジップのあるなし

レインウェアで使用されている部材の中で、最も重いのがジッパーです。なので軽量なレインウェアほど、ジッパー箇所を削ぎ落とすのですが、ピットジップも除外対象のひとつです。

ピットジップとは脇に配されたジッパーのことで、脇にこもった熱を外に放出することができるため、汗をかきづらく通気性を確保するのに便利な機能です。

特に夏山登山では、軽さを取るか、ピットジップ付きの通気性の高いレインジャケットを取るかに悩ませられます。汗っかきの人は、ぜひピットジップ付きのレインジャケットを選びましょう。

ポケットの数と場所

レインジャケットを着用すると、サコッシュが使えなくなり、すぐに取り出したいものが取りづらくなります。代表的なものとしてスマホ、紙地図、行動食などで、これらをレインジャケットのポケットに入れ替えることを想定することができます。

ザックのウエストポケットや、ショルダーハーネスに追加でポケットを備えるなどで対応することもできるので、雨が降った時にどのようなアイテムをポケットに収納したいかを想定して、レインジャケットに備わっているポケットの数や場所をチェックしましょう。

おすすめのレインウェアを季節別で紹介

春夏の暖かい季節における登山で使用なのか、秋冬の寒い季節における登山での使用なのかで、おすすめのレインウェアが異なります。

春夏の登山におすすめのレインウェア

モンベル『トレントフライヤー』

モンベル トレントフライヤー ジャケット
出典:モンベル

ゴアテックスのパックライトプラスを採用した軽量でしなやかで、通気性に優れたレインウェアです。モンベルは同じ素材で上下で販売しているので、選びやすさが魅力のひとつです。ポケットの数は少ないですが、ピットジップ付きなので、暖かな季節の登山に快適性をもたらします。

ザ・ノースフェイス『ストライクトレイルフーディ』

トレイルランニング向けの軽量防水シェルジャケットです。ノースフェイス独自のメンブレン『10DHYVENTFlyweight』を使用しており、非常にしなやかでウインドブレーカー代わりにもなります。重量はわずか115gで、夏山登山のレインジャケットとしても活用できます。

パタゴニア『ストーム・レーサー・ジャケット』

トレイルランニング用に開発されたレインジャケットで、首下から胸元まで大きく開閉することができるデザインに特徴があります。この特徴は暑い季節におけるレインジャケットに効果があり、小雨程度であれば、暑い熱気を一気に外に排出することができ、汗によるウェアの濡れを抑えることができます。

アークテリクス『ノーバンLTフーディー』

アークテリクスのレインジャケットの中でも耐久性と軽量性を両立させたトレイルランニングから登山にまで使用できるゴアテックスCニットバッカーを採用したモデルです。走っていても風にばたつかないトリムフィットで、わずか190gで持ち運びしやすく、コンパクトにして持ち歩くことができるレインジャケットです。

秋冬の登山におすすめのレインウェア

ザ・ノースフェイス『マウンテンレインテックスジャケット』

ゴアテックス3層構造を使用したオールシーズン活用することができるレインジャケットです。70デニールで、裏地にはトリコットバッカーを採用きているため、汗をかいても肌触りがよく快適に行動することができます。大きなハンドウォーマーポケット付きです。

モンベル『レインダンサー』

モンベル レインダンサー ジャケット-ゴアテックスファブリックのレインジャケット

ゴアテックス3層構造のレインウェアで、50デニールの厚手の生地で耐候性に優れています。価格もゴアテックスファブリクスを使用したモデルの中では最もリーズナブルで、購入のしやすさが魅力のひとつです。

パタゴニア『カルサイト・ジャケット』

パタゴニアのレインジャケット-カルサイト・ジャケット

パタゴニアの中でもゴアテックスを採用したレインジャケットは数少なく、その中の1つに数えられるのがカルサイト・ジャケットです。パックライトプラスを採用していますが、75デニールという安心感のある厚みでしっかりと体を冷たい雨風から守ってくれる耐候性に優れたレインジャケットです。

アークテリクス『レイルジャケット』

40デニールのゴアテックス素材を使用した汎用性に優れたモデルです。フードをかぶった時のフードデザインや、手を挙げるなどの行動のしやすさは、アークテリクスが得意とする立体裁断で、細身ながらも動きやすいデザインに落とし込んでいます。

メーカー別おすすめのレインウェア

登山向けのメーカーは様々ありますが、レインウェアに力を入れているメーカーを絞り込むことができます。以下ではメーカー別のおすすめレインウェアを紹介します。

モンベル『ストームクルーザー』

モンベル ストームクルーザー ジャケット-ゴアテックスファブリックのレインジャケット

ゴアテックスのCニットバッカーテクノロジーを採用した、モンベルで最も人気のあるレインウェアです。ゴアテックス製レインウェアなのにも関わらず、2万円台で購入できる価格の安さも魅力ですが、モンベルオリジナルの軽量でしなやかなバリスティックナイロンの採用や、独自のカットパターンによる動きやすさが特徴です。

ザ・ノースフェイス『クライムライトジャケット』

クライムライトジャケット-ノースフェイスのレインジャケット-ゴアテックスファブリックのレインジャケット

定番のレインジャケットに位置づけられる毎年人気のあるモデルです。その際にはゴアテックス3層

構造を採用し、裏地には最も高級なマイクログリッドバッカーで透湿性と軽量性のバランスに優れたモデルです。重量は約310gで3シーズンの登山で活用することができます。

パタゴニア『ストーム10』

パタゴニアのレインジャケット-ストーム10・ジャケット

登山向けに軽量で汎用性に優れたレインジャケットです。ヘルメット着用時にも被ることができるフード、ポケットの数、独自素材による透湿性、平均重量約235gという持ち歩きやすさなど、パタゴニアで毎年人気のレインジャケットです。

アークテリクス『ベータジャケット』

アークテリクス BETA ジャケット

オールラウンドに使用できるモデルでゴアテックスCニットバッカーを採用しています。雪山から夏の縦走登山まで、安心して使えるレインジャケットで300gです。

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