様々な種類があり、まさに群雄割拠と言える山岳テント界ですが、多くの登山者がスタンダードに使用しているのが自立式のダブルウォールテントになります。
非自立式やシングルウォールテントとは異なり、結露が生じにくく設営と撤収が容易で扱いやすいメリットがあります。しかし、その分重量も重くなりがちではあります。
今回は、そんな自立式のダブルウォールテントの特徴や選び方のポイント、そして1kg以下の軽量モデルに限定しておすすめテントの紹介をしています。ぜひテント選びの参考にしてみてください。
登山テント選びのポイント9つ
1, ダブルウォールかシングルウォールか
登山テントには、ダブルウォールとシングルウォールの2種類の構造があります。この2種類の構造の違いによって特徴が大きく異なります。
構造 | ダブルウォール | シングルウォール |
イメージ | ||
前室 | 【ある】 | 【なし】 |
結露 | 生じづらい | 生じやすい |
設営&撤収 | 若干時間がかかる | 早くできる |
一般的に想像されるテントは、ダブルウォールのものが多いでしょう。ダブルウォールは、インナーテントにフライシートをかけた二重構造なので、前室を作ることができ荷物置き場、煮炊きスペースなどを確保することができます。
また、二重構造なのでインナーテント内に湿気がこもりにくく、インナーテントとフライシートの間に空間ができ結露がしにくいためテント内に置いた荷物が濡れづらいです。
シングルウォールに比べて重くかさばるダブルウォールテントですが、メリットも多いため一般的に広く用いられています。この記事では、そんなダブルウォールテントの中でも1kg以下のモデルに限定して紹介していきます。
2, 自立式か非自立式か
登山テントにはもう一つ、自立式か非自立式かの2種類のタイプがあります。この2種類のタイプの違いによっても特徴が大きく異なります。
構造 | 自立式 | 非自立式 |
イメージ | ||
設営&撤収 | 非自立式よりも早い | 時間がかかる |
スペース | 少ないスペースでも可 | ペグを打つため検討が必要 |
自立式とは、その名の通りでインナーテントにポールを取り付ければテントを立てることができます。このため非自立式と比較すると設営を早く済ますことができるため初心者にも扱いやすいタイプです。
一方で、500gを切るようなモデルもある非自立式と比べると重量面で劣るのは明らかです。しかし、先にお伝えしたようにダブルウォールの自立式テントでも重量が抑えられたモデルはたくさんあります。
この記事では、ダブルウォールの自立式テントに限ってご紹介していきます。
3, 収容人数
登山テントの収容人数は1人用(ソロテント)、2人用、3人用と収容人数でテントの大きさを選ぶことになります。またソロテントには1.5人用と呼ばれる居住空間が広いモデルもあります。
パーティーで登山を楽しむときにそれぞれソロテントを持ち歩くのではなく、2人用のテントを2人で手分けして持ち歩くことで装備の軽量化を行うことができます。
テント泊登山に仲間と行くことが多いのか?1人で行くことが多いのか?また1人でテントを使いたいのかを考えて選びましょう。
4, 使用している素材と厚み
登山テントで使用している素材はナイロンやポリエステルなどの化繊素材です。この素材の厚みを表すのに多くのメーカーが「D(デニール)」という単位を用いています。
最も薄い素材が7デニール、厚いものだと40デニール前後と覚えておくとよいでしょう。薄いと軽いですが耐久性が劣り素材価格が高いため販売価格も高くなります。
登山テントで最も破れやすいのがフロア部分なので、フロア部分のみ素材を厚くしている登山テントもあります。素材に耐久性があることで破けるリスクが少なくなるため目安にしてみてください。
5, ポールのブランドと強度
登山テントで使用しているポールは強い風に煽られても柔軟でしなやかなアルミニウムを使用しているため折れにくい特徴があります。登山テントで最も多く使用されているのが韓国のDAC社のポールで軽く丈夫で適度なしなやかさがあります。
DACのポールにはNFLフェザーライトポールとNSLフェザーライトポールの2種類があります。NSLフェザーライトポールには8.05,9,10.25mmの3種類の径があり安定性に優れています。対してNFLフェザーライトポールには8.7、9.3mmがありNSLフェザーライトポールよりも安定性を維持しながらも軽量なポールに仕上げています。
その他にはMSRだけが採用している航空機にも使われているサイクロンポールなどが有名です。
北アルプスなど高所登山でテント泊を考えている方は信頼のあるメーカーのポールを使用している登山テントを選ぶと安心です。
6, メッシュ素材の範囲を確認
海外モデルに多いのがインナーテント全体がメッシュ素材になっている軽量なテントです。日本は月毎で気温が変わるため、全てメッシュだと軽いのですが使用できる期間が限定されます。
日本メーカーや海外メーカーでも日本モデル用に開発されたテントはメッシュ部分が少なく、二重構造によってメッシュをなくすことができ、暑くても寒くても利用しやすいテントです。
3シーズンフルで高所におけるテント泊を楽しみたい方はインナーテントがオールメッシュだと就寝中に寒くなりやすいことを覚えておきましょう。
7, スリーブ式か吊り下げ式か
登山テントには、インナーテントの筒状部にポールを通すスリーブ式とポールにフックでインナーテントを吊るす吊り下げ式の2種類の設営方法があります。
スリーブ式はインナーテントの生地全体でポールを支える構造なので、強い風に吹かれた時にポールにかかる負荷が分散され強度があります。ただしスリーブ部分の素材が多く使用されていること、スリーブ式はポールをクロスにして使用するためにポールが長くなるためテントの重量が重くなります。
吊り下げ式でも天井を高く保つために天井部分のみに短いポールを追加して空間を広げるタイプもあります。設営方法は、インナーテントの角にポールの先端をさしてペグダウンをした後にポールに引っ掛けていくので強風の中テント設営している場合はテントが飛ばされづらいです。
8, 3シーズンか雪山モデルかで選ぶ
3シーズン用テントは、暑い日でも風が循環するようにフライシートと地面との間に空間があり快適性を確保しています。また必要最低限の素材の使用で軽量性に優れています。
対して雪山モデルは冷気がテント内に入りづらいこと、降雪時にインナーテントを押しつぶさないようにフライシートと地面に空間がなく寒くても雪が降っても安心して就寝ができるように作られています。
雪山でも使えるテントを3シーズンで使うと、テントの重量が重くなってしまい持ち歩くのが大変なので、使う季節によってテントを選ぶようにしましょう。
9, 日本メーカーか海外メーカーかで選ぶ
日本のメーカーのテントは為替の影響が少ないため海外メーカーのテントに比べるとテント価格が安く設定されています。また季節に応じて使用ができるようにインナーテントのメッシュの使われ方などに工夫が凝らされています。
また、3シーズン用のテントを冬用のテントに変えることができるオプションが準備されているのも日本メーカーのテントならではです。もしもテントが破けるなどして故障してしまっても、日本のメーカーの場合は修理を出して戻ってくるまでの期間が海外メーカーのテントよりも早いことが多いです。
海外メーカーは、アメリカであればウルトラライト思考が強いため軽量なモデルが多く、デザイン性に優れている特徴があります。
総重量1kg以下!おすすめの軽量ダブルウォール自立式テント11選!
ブランド | NEMO | MSR | テラノヴァ | NEMO | ゼインアーツ | ブランド | アライテント | ビッグアグネス | シートゥサミット | MSR | ヘリテイジ | ヒルバーグ | ブランド |
モデル名(テント名称) | ホーネットエリート オズモ 1P | フリーライト1 | ソーラーフォトン2 | ホーネットオズモ 1P | ヤール1 | モデル名(テント名称) | SLソロ | フライクリーク HV UL1 EX ソリューションダイ | アルトTR1 | ハバハバシールド1 | ハイレヴォ1 | エナン | モデル名(テント名称) |
シングルorダブル | ダブルウォール | ダブルウォール | ダブルウォール | ダブルウォール | ダブルウォール | シングルorダブル | ダブルウォール | ダブルウォール | ダブルウォール | ダブルウォール | ダブルウォール | ダブルウォール | シングルorダブル |
自立or非自立 | 自立式 | 自立式 | 自立式 | 自立式 | 自立式 | 自立or非自立 | 自立式 | 自立式 | 自立式 | 自立式 | 自立式 | 自立式 | 自立or非自立 |
最小重量(g) | 657g | 740g | 814g | 820g | 890g | 最小重量(g) | 900g | 907g | 938g | 950g | 960g(総重量) | 970g | 最小重量(g) |
価格(税込) | ¥70,400 | ¥63,800 | ¥86,900 | ¥56,000 | ¥37,950 | 価格(税込) | ¥63,800 | ¥74,800 | ¥57,640 | ¥77,000 | ¥62,700 | ¥138,600 | 価格(税込) |
収容人数 | 1人 | 1人 | 2人 | 1人 | 1人 | 収容人数 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 収容人数 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 221×102×99cm | 221×84×100cm | 225×85×130cm | 221×108×98cm | 210×90×95cm | テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×90×95cm | 218×97×102cm | 215×107×105㎝ | 216×76×94cm | 203×93×100cm | 215×95×93cm | テント内サイズ(縦×横×深さ) |
前室の奥行き | 58㎝ | 66cm | 65cm | 61cm | 45cm | 前室の奥行き | 38cm | 56cm | 58cm | 66cm | 不明(狭め) | 75cm | 前室の奥行き |
前室の数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 前室の数 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 前室の数 |
入口 | 長辺 | 長辺 | 短辺 | 長辺 | 長辺 | 入口 | 長辺 | 短辺 | 長辺 | 長辺 | 長辺 | 長辺 | 入口 |
フライシート | OSMO™ リップストップ | 15D | Watershed R/S Si2 | OSMO™ リップストップ | 15D | フライシート | 15D | ソリューションダイ リップストップナイロン | 15D | 20D | 15D | Kerlon 1000 | フライシート |
インナーテントの素材とドア部分の状態 | 15Dナイロンリップストップ&No-See-Umメッシュ | 10D | Watershed R/S Si2 | メッシュ&15D(ドア部は二重構造) | 7D | インナーテントの素材とドア部分の状態 | 12D | ソリューションダイ 通気加工リップストップナイロン | メッシュ+ファブリック | 10D&20D | 15D | Kerlon 600(フルメッシュ・インナーテント・ドア) | インナーテントの素材とドア部分の状態 |
フロア部分 | OSMO™ リップストップ | 15D | Watershed R/S Si2 | OSMO™ リップストップ | グラウンドシート付属 | フロア部分 | 30D | ソリューションダイ リップストップナイロン | 15D | 20D | 30D | Kerlon 1000 | フロア部分 |
ポール | DAC | DAC NFL8.7mm | DAC NFL 8.7mm | DAC | DAC フェザーライトNFL | ポール | DAC NSL9 | DAC NFL | DAC NSL/NFL | サイクロンポール | アルミ合金中空ポール | ポール | |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | 吊り下げorスリーブ | スリーブ式 | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | スリーブ式 | 吊り下げorスリーブ | |
使用できる季節 | 3シーズン | 3シーズン | 3シーズン | 3シーズン | 3シーズン | 使用できる季節 | 3シーズン | 3シーズン | 3シーズン | 3シーズン | 3シーズン | 使用できる季節 | |
メイドイン | アメリカ | アメリカ | イギリス | アメリカ | 日本 | メイドイン | 日本 | アメリカ | オーストラリア | アメリカ | 日本 | エストニア | メイドイン |
1位 657g 『NEMO ホーネットエリート オズモ』
今回ご紹介する中で最も軽い657gという超軽量で高性能なダブルウォール自立テントです。独自開発のオズモ素材を使用し、耐久性と耐水性を確保しながらも、重量を最小限に抑えています。
無駄をそぎ落としたフレームワークで、広々とした内部空間を確保しており、快適な室内環境となっています。テント本体とポールともにザックのボトムポケットに入れられるほどの収納性で、山岳テントとして最高峰の性能を誇っています。
ブランド | NEMO |
モデル名(テント名称) | ホーネットエリート オズモ 1P |
シングルorダブル | ダブルウォール |
自立or非自立 | 自立式 |
最小重量(g) | 657g |
価格(税込) | ¥70,400 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 221×102×99cm |
前室の奥行き | 58㎝ |
前室の数 | 1 |
入口 | 長辺 |
フライシート | OSMO™ リップストップ |
インナーテントの素材とドア部分の状態 | 15Dナイロンリップストップ&No-See-Umメッシュ |
フロア部分 | OSMO™ リップストップ |
ポール | DAC |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 |
使用できる季節 | 3シーズン |
メイドイン | アメリカ |
2位 740g 『MSR フリーライト1』
「ホーネットエリート オズモ」に負けず劣らない軽量性と快適性を兼ね備えたダブルウォール自立テントです。わずか740gという重量でありながら、独自のポール構造により、設営が迅速かつ容易で、広々とした内部空間を確保しています。
インナーテントに