これからテント泊を始めようとしている方へ、何を考えてテントを選べば良いのか分かりやすく解説していきます。
登山をはじめると、より遠くの景色を見に長い行程を歩きたくなったり、大自然の夜空を見に行きたくなったり、テント泊に憧れを抱く方も多いのではないでしょうか。決して安くはないテントですが、数多くの種類から最適なテントを選ぶのは至難の業です。ここでは、初心者の方が考えるべきポイントやおすすめのテントを紹介します。
特に、おすすめテントは初心者の方でも扱いやすいモデルに限ってご紹介します。ぜひ参考にしてみてください!
初心者がテント選びで失敗しないための9つのポイント!
登山テントを選ぶ際に考慮すべきポイントはたくさんあります。中でも登山スタイルや技量によって重要な選択となる9つのポイントをご紹介します。分かりやすく丁寧に解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
1, 『ダブルウォール』or『シングルウォール』
まず初めに登山テントは、ダブルウォールとシングルウォールの2種類の構造に分類することができます。この2種類の構造の違いによって、大きく特徴が異なります。
構造 | ダブルウォール | シングルウォール |
イメージ | ![]() | ![]() |
前室 | 【ある】 | 【なし】 |
結露 | 生じづらい | 生じやすい |
設営&撤収 | 若干時間がかかる | 早くできる |
ダブルウォール(二重構造)は結露しにくく、前室があるため荷物置きや煮炊きスペースを確保できます。初心者には扱いやすくおすすめです。
シングルウォールは軽量ですが、結露しやすく前室がありません。軽量化重視の上級者向けです。
テント泊初心者の方にとっては、前室のメリットや結露リスクなどから、一般的なダブルウォールテントをおすすめします!
2, 自立式か非自立式か
登山テントにはもう一つ、自立式か非自立式かの2種類のタイプがあります。この2種類のタイプの違いによっても特徴が大きく異なります。
構造 | 自立式 | 非自立式 |
イメージ | ![]() | ![]() |
設営&撤収 | 非自立式よりも早い | 時間がかかる |
スペース | 少ないスペースでも可 | ペグを打つため検討が必要 |
自立式は設営が簡単で、初心者でも短時間で組み立て可能。スペースが限られた場所でも設営しやすいのが特徴です。
非自立式は軽量ですが、設営にコツが必要で初心者には不向きです。
テント泊初心者であれば、ここは迷うことなく自立式のテントを選ぶようにしましょう。
3, 収容人数

1人用(ソロ)、2人用、3人用などサイズ展開があります。荷物を多めに置く場合やゆったり使いたい場合は、定員よりやや大きめを選ぶのがコツです。
ソロテントはパーソナルスペースを確保できます。仲間と分担して装備を軽くしたい場合は2人用もおすすめです。
4, 使用している素材と厚み

登山テントで使用している素材はナイロンやポリエステルなどの化繊素材です。この素材の厚みを表すのに多くのメーカーが「D(デニール)」という単位を用いています。
最も薄い素材が7デニール、厚いものだと40デニール前後と覚えておくとよいでしょう。薄いと軽いですが耐久性が劣り、素材価格が高いため販売価格も高くなります。
初心者の方におすすめするのは、極端に薄くなくフロア部分のみ素材を厚くしている耐久性も兼ね備えた登山テントです。10~30Dほどを目安にしてみてください。
5, ポールのブランドと強度

登山テントの骨組みで使用しているポールは強い風に煽られても柔軟でしなやかなアルミニウムを使用しているため折れにくい特徴があります。登山テントで最も多く使用されているのが韓国のDAC社のポールで軽く丈夫で適度なしなやかさがあります。DAC社など信頼のあるメーカーのポールだと安心です。
6, メッシュ素材の範囲を確認

海外モデルに多いのがインナーテント全体がメッシュ素材になっている軽量なテントです。日本は月毎で気温が変わるため、全てメッシュだと軽いのですが使用できる期間が限定されます。
日本モデル用に開発されたテントはメッシュ部分が少なく、二重構造によってメッシュをなくすことができ、暑くても寒くても利用しやすくなっています。
3シーズンフルで、特に高所におけるテント泊を楽しみたい方は、インナーテントがオールメッシュだと就寝中に寒くなりやすいことを覚えておきましょう。
7, 『スリーブ式』or『吊り下げ式』

登山テントには、インナーテントの筒状部にポールを通すスリーブ式とポールにフックでインナーテントを吊るす吊り下げ式の2種類の設営方法があります。
スリーブ式は強度がありますが、テントの重量が重くなります。 吊り下げ式は引掛けるだけなので設営が簡単です。余程の暴風でなければ強度に問題はないので、初心者の方には吊り下げ式をおすすめします。
8, 『3シーズン』or『雪山モデル』

初心者は「3シーズン用」一択。春~秋に快適で軽量。雪山用は重くなりがちなので、まずは3シーズン用を選びましょう。
将来的に雪山まで考えている方は、日本メーカーを中心に雪山用フライが別売りされているモデルを選べば、将来の汎用性が広がります。
9, 『日本メーカー』or『海外メーカー』

為替の影響で海外メーカーのテントは価格が高騰している傾向にあります。また、日本メーカーのテントは、日本の季節に応じて使用ができるようにインナーテントのメッシュの使われ方などに工夫が凝らされています。
物価高や円高によって、他の登山用品も値上がりがすごいです。初めてのテントは、モンベルやゼインアーツなど日本メーカーでコスパ良くそろえられると良いですね。
【初心者必見】初めてのテントにおすすめモデル8選!
初心者の方におススメするのは、設営と撤収が簡単で結露リスクの低い「ダブルウォール構造で自立式であること」と、「安価で軽量であること」です。そこで数あるダブルウォール自立式テントの中でも、比較的安価で軽量なものに限定してピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください!
ブランド | NEMO | ゼインアーツ | シートゥサミット | アライテント | THE NORTH FACE | モンベル | MOBI GARDEN | ファイントラック |
モデル名(テント名称) | ホーネットオズモ 1P | ヤール1 | アルトTR1 | エアライズ1 | マウンテンショット1 | ステラリッジテント1 | LIGHT WINGS 1 JPN | カミナドーム |
最小重量(g) | 820g | 890g | 938g | 1360g | 1340g | 1140g | 1195g | 1130g |
価格(税込) | ¥68,200 | ¥37,800 | ¥57,640 | ¥50,600 | ¥58,300 | ¥35,200 | ¥28,800 | ¥71,610 |
収容人数 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 221×108×98cm | 210×90×95cm | 215×107×105㎝ | 205×100×100cm | 217×90×106cm | 210×90×105cm | 205×65×105cm | 205×90×100cm |
前室の奥行き | 61cm | 45cm | 58cm | 不明 | 不明 | 55cm | 60㎝ | 50cm |
フライシート | OSMO リップストップ | 15D | 15D | 30D | 20D | 20D | 15Dリップストップナイロン | ナイロン100%(PUコーティング) |
フロア部分 | OSMO™ リップストップ | グラウンドシート付属 | 15D | 40D | 15D | 30D | 20D | ナイロン100% |
ポール | DAC | DAC フェザーライトNFL | DAC NSL/NFL | NSL9フェザーライト | 不明 | アルミニウム合金(ポール径)∅8.5mm | A7001アルミ合金 Φ8.5mm | ジュラルミン |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | スリーブ式 | 吊り下げ式(一部スリーブ) | 吊り下げ式 | 吊り下げ式 | スリーブ式 |
メイドイン | アメリカ | 日本 | オーストラリア | 日本 | 日本 | 日本 | 中国 | 日本 |
~軽さと快適性の両立!王道のダブルウォールテント~『NEMO ホーネットオズモ 1P』

重量約850gと、今回ご紹介する中で最軽量のモデルです。広々とした居住空間と大きな前室が特徴で、快適性も抜群。価格は68,200円とやや高めですが、NEMOならではの高い耐久性と防水性能を備えており、初心者でも安心して使えます。
長い目で見ればコストパフォーマンスも高く、軽量な装備を重視するテント泊初心者に特におすすめの一張りです。
最小重量(g) | 820g |
価格(税込) | ¥68,200 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 221×108×98cm |
入口 | 長辺 |
フライシート | OSMO リップストップ |
フロア部分 | OSMO™ リップストップ |
ポール | DAC |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 |
メイドイン | アメリカ |
~超軽量×高強度!日本の山岳に最適化されたテント~『ゼインアーツ ヤール1』

ゼインアーツ「ヤール1」は、2024年に登場した日本発の超軽量山岳テントです。重量は約890gと非常に軽く、3万円台という手頃な価格で購入できる高コスパモデル。シンプルなクロスフレーム構造と吊り下げ式で設営が簡単、初心者でも扱いやすい設計です。
日本の山岳環境に合わせた耐風性・耐久性を確保し、居住空間も広々。フットプリントやペグなど必要な付属品も揃い、初めてのテント泊にも安心しておすすめできる一張りです。
最小重量(g) | 890g |
価格(税込) | ¥37,800 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 210×90×95cm |
前室の奥行き | 45cm |
フライシート | 15D |
フロア部分 | グラウンドシート付属 |
ポール | DAC フェザーライトNFL |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 |
メイドイン | 日本 |
~天井高と換気性に優れた次世代ソロテント~『シートゥサミット アルトTR1』

重量わずか938gと1kgを切る超軽量設計で、収納時も11×11×44cmと非常にコンパクトになるソロテントです。価格は約6万円と高めですが、軽量化を重視する初心者にもおすすめのモデル。
独自のテンションリッジポール構造により天井が高く、居住空間が広々として快適です。通気性に優れたメッシュ素材を採用し、結露を防ぎつつ日本の高温多湿な環境でも快適に過ごせます。山岳テントの定番として、ぜひ検討したい一張りです。
最小重量(g) | 938g |
価格(税込) | ¥57,640 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 215×107×105㎝ |
前室の奥行き | 58cm |
フライシート | 15D |
フロア部分 | 15D |
ポール | DAC NSL/NFL |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 |
メイドイン | オーストラリア |
~軽量・コンパクト・高耐久、信頼のアライテント~『アライテント エアライズ1』

初心者に人気の高い日本メーカーの定番ソロテントです。重量は約1.36kgとやや重めですが、その分しっかりとした耐久性と快適な居住性が魅力。設営もシンプルで、初めてでも短時間で組み立てられます。
3シーズン対応を基本に、豊富なオプションパーツで冬山など幅広いシーンにも対応可能。価格は約5万円と手ごろで、高品質な素材と丁寧な作り込みから長く愛用できる一張りです。これから本格的にテント泊を始めたい方にもおすすめです。
最小重量(g) | 1360g |
価格(税込) | ¥50,600 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×100×100cm |
前室の奥行き | 不明 |
フライシート | 30D |
フロア部分 | 40D |
ポール | NSL9フェザーライト |
吊り下げorスリーブ | スリーブ式 |
メイドイン | 日本 |
~広々快適、簡単設営!高居住性テント~『THE NORTH FACE マウンテンショット1』

THE NORTH FACEのStormbreak 1は、コンパクトで使いやすい初心者向けのソロテントです。重量は約1.4kgとやや軽量で、設営が簡単なイージーピッチ設計。片側スリーブ式・片側吊り下げ式のハイブリッド構造で、直感的に一人でも素早く設営できます。
大きなドアと高い天井で出入りや居住性も快適。耐久性・耐候性も高く、雨や風にも安心して使えます。ブランド信頼性や高品質素材を考慮すると、コストパフォーマンスに優れたおすすめの一張りです。
最小重量(g) | 1340g |
価格(税込) | ¥58,300 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 217×90×106cm |
前室の奥行き | 不明 |
フライシート | 20D |
フロア部分 | 15D |
ポール | 不明 |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式(一部スリーブ) |
メイドイン | 日本 |
~世界トップクラスの軽量性と耐風性の高コスパテント~『モンベル ステラリッジテント1』

モンベル ステラリッジテントは、軽量性と耐久性、設営のしやすさを兼ね備えた日本の定番ソロテントです。重量は約1.14kgと十分軽量で、吊り下げ式構造により初心者でも短時間で簡単に設営できます。耐風性・防水性が高く、台風や強風、豪雨といった悪天候下でも安心して使える強度を誇ります。
価格は約35,000円と手頃で、コストパフォーマンスの高さも魅力。ただし、2千円差でさらに250g軽いゼインアーツ ヤール1も選択肢となるため、軽量性を重視する方は比較検討するとよいでしょう。
最小重量(g) | 1140g |
価格(税込) | ¥35,200 ※フライシート別売(¥16,500) |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 210×90×105cm |
前室の奥行き | 55cm |
フライシート | 20D |
フロア部分 | 30D |
ポール | アルミニウム合金(ポール径)∅8.5mm |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 |
メイドイン | 日本 |
~圧倒的に安い!コスパ特化型テント~『MOBI GARDEN LIGHT WINGS 1 JPN』

MOBI GARDENは中国を代表するアウトドアブランドで、コストパフォーマンスの高さが魅力の初心者向けソロテントを展開しています。重量は約1.2kgと軽量で、設営も簡単なので初めての方でも安心して使えます。
最大の特徴は3万円を切るリーズナブルな価格設定。予算を抑えつつ、しっかりとした品質のテントを探している初心者にぴったりの一張りです。
最小重量(g) | 1195g |
価格(税込) | ¥28,800 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×65×105cm |
前室の奥行き | 60㎝ |
フライシート | 15Dリップストップナイロン |
フロア部分 | 20D |
ポール | A7001アルミ合金 Φ8.5mm |
吊り下げorスリーブ | 吊り下げ式 |
メイドイン | 中国 |
~日本の山岳環境に挑む、オールシーズン対応の本格ドームテント~『ファイントラック カミナドーム』

本の山岳環境に最適化された自立式・ダブルウォールの本格山岳テントです。極細繊維による軽量性と高い耐久性を両立し、広々とした居住空間と大きな前室で快適に過ごせます。
設営はスリーブ式でやや慣れが必要ですが、強風や悪天候にも強く、初心者でも安心して使えます。豊富なオプションで冬季にも対応でき、長く愛用できる一張り。これからテント泊を始める方にも自信を持っておすすめできる高品質モデルです。
最小重量(g) | 1130g |
価格(税込) | ¥71,610 |
収容人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×90×100cm |
前室の奥行き | 50㎝ |
フライシート | ナイロン100%(PUコーティング) |
フロア部分 | ナイロン100%(PUコーティング) |
ポール | ジュラルミン |
吊り下げorスリーブ | スリーブ式 |
メイドイン | 日本 |