冬山登山をはじめとして、これからの寒くなる時期に登山を計画するのならまず考えなければいけないのが防寒対策になります。過酷な条件下での防寒防風防雪と透湿性による快適さを両立するハードシェルジャケットは、まさに寒い時期の登山者に必須の装備です。
最新の技術を駆使したハードシェルジャケットは、防水性、透湿性、耐久性を高いレベルで兼ね備えています。この記事では、2024年最新版のおすすめハードシェルジャケットを紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
登山におけるアウターについて
ハードシェルとレインジャケットの違い
ハードシェルとレインジャケットを全く別物として考えるとわけがわからなくなるでしょう。色々な見解がネット上にあふれていますが、ハードシェルの中にレインジャケットがあると考えるとわかりやすいでしょう。
シェル=殻のことで、ハードと付くことから『硬い殻』が直訳となりますが、この硬い殻によって冷たい風や、雪、雨から体を守ります。
この中で雨に特化して作られたのがレインジャケットと考えるとわかりやすいと思います。雪にならず雨なので、それなりに温かいことが予想されます。そんなシーンにおいて着用するハードシェル(レインジャケット)ですから、透湿性や軽量性に重点を置き、汗をかかないように作られています。
ハードシェルとソフトシェルの違い
登山におけるハードシェルとソフトシェルの違いは、主に素材の特性と用途にあります。
ハードシェルは、防水性と防風性が高く、ゴアテックスなどの防水透湿素材を使用しているため、雪山や雨天時の登山に適しています。耐久性が高く、アイゼンやピッケルなどの鋭利な装備にも対応できる頑丈さが特徴です。ただし、生地が硬く動きにくいことがあり、価格も高めです。
一方、ソフトシェルは、撥水性や防風性を持ちながらも、防水性は限定的です。ストレッチ性や通気性に優れ、動きやすさを重視した設計で、行動中の快適さを提供します。軽量で柔らかい素材を使用しており、春秋のトレッキングやクライミングなど、多様なアウトドア活動で活躍します。ソフトシェルはミドルレイヤーとしても使用可能で、多用途性が魅力です。
ハードシェルの素材と機能を整理
ハードシェルの素材
登山で使用するアウターは防水透湿素材という、雨を遮断し、アウター内の湿気を外に排出する働きのある素材を使用したものが大半です。
代表的なものにゴアテックス素材があります。ゴアテックス以外の防水透湿素材では、非常に軽量なパーテックスやポーラテックのネオシェル、また各メーカーが独自で開発した素材があります。以下に比較表があるのでチェックしてみましょう。
ゴアテックス製の防水透湿素材の種類
※横スクロールで表がスクロールできます。
テクノロジー名 | ゴアテックスプロ | ゴアテックスファブリクス | ゴアテックスアクティブ | ゴアテックスパックライト | シェイクドライ |
構造 | 3層構造 | 3層構造 | 3層構造 | 2.5層構造 | 2層構造 |
裏地 | マイクログリッドバッカー | マイクログリッドバッカー/トリコットバッカー/C-KNITバッカー | 薄い素材を使用 | コーティング | フィルム |
使用シーン | 冬山登山、スキー | ALLシーズン | 夏山登山、トレイルランニング | 3シーズン登山 | トレイルランニング |
特徴 | 軽量性に優れている | 価格抑えめ、C-KNITバッカーの方が高価 | 透湿性に優れている | 軽量でしなやか | 表にゴアテックスメンブレン |
防水能力は耐水圧で数値化でき、透湿性も数字で表すことができます。以下の表は、ゴアテックスを含めた防水透湿素材のスペック表です。
ゴアテックスを含めた主要な防水透湿素材の比較表
※横スクロールで表がスクロールできます。
生地 | ゴアテックス | パーテックスシールド | パーテックスシールド・プロ | パーテックスシールド・エア | eVent | ネオシェル | Kamleika | ドライテック(R) | エバーブレス(R) |
透湿性(独自調べ) | 4,800 | 3,600 | 9,450 | 10,000(公表値) | 6,420 | 9,800 | 20,000(公表値) | 8,000~20,000(公表値) | -- |
耐水圧(独自調べ) | 20,000~ | 20,000(公表値) | 20,000(公表値) | 10,000以上(公表値) | 14,000 | 5,000~20,000(公表値) | 20,000(公表値) | 20,000㎜以上 | 20,000㎜以上 |
メーカー | 素材メーカー | 素材メーカー | 素材メーカー | 素材メーカー | 素材メーカー | 素材メーカー | OMM | モンベル | ファイントラック |
ゴアテックスを含めたメーカーオリジナル防水透湿素材の比較表
※横スクロールで表がスクロールできます。
防水透湿素材 | ゴアテックス3レイヤー | ゴアテックス2レイヤー | H2No | ドライテック | エバーブレス | FUTURE LIGHT | Hyvent | TYPHON 50000 | ベルグテック | ブリザテック |
メーカー | -- | -- | パタゴニア | モンベル | ファイントラック | ザ・ノース・フェイス | ザ・ノース・フェイス | ミレー | ミズノ | 東レ |
耐水圧 | 45,000mm以上 | 30,000mm以上 | 20,000mm | 25,000mm | 20,000mm | 非公開 | 非公開 | 20,000mm | 30,000mm以上 | 10,000mm |
透湿性能(/㎡・24hrs) | 13,500g以上 | 15,000g | 非公開 | 15,000g | 10,000g | 非公開 | 非公開 | 50,000g | 16,000g | 7,500g |
夏の低い登山でレインジャケットを着用すると汗をかいてしまうので、このようなシーンでは透湿性に優れたレインジャケットがおすすめです。
高所登山で冷たい雨、風、雪に叩かれる可能性が高い場合は、3層構造のゴアテックスジャケットがおすすめです。
ハードシェルに求める機能
ピットジップ
登山で最も気を使わなくてはいけないのが発汗です。汗をかいてしまうと気化熱によって体温が奪われます。汗をかくほどに体が温まっていると思えば、その後すぐに勢いよく冷え込むようなシーンが多いのが冬の登山です。
だからいつでもウェアをドライにしておくことが大変重要です。このためにハードシェルにはベンチレーションとも呼ばれるピットジップが最も熱がこもりやすく、外気温の影響を受けにくい脇に備わっており、ここにあるジッパーを開閉することで温度調整を可能にします。
グローブをしたままピットジップの開閉がしやすいか、ダブルジッパーで上からも下からも開閉する機構になっているかなどをチェックすると良いでしょう。
ヘルメット対応フード
冬山登山では登山道が雪に覆われていたり凍っていたりして転倒する可能性が非常に高いです。そのためにヘルメットは必須装備として考えます。
ヘルメットをした状態で激しい雪や風からハードシェルで身体を守るためにヘルメット対応フードであることが重要です。
ヘルメットをした状態でフードを被りやすいか、かぶった後にフードの中に冷たい風が入らないようフィットさせる機構が備わっているかなどをチェックすると良いでしょう。フィット感を出すドローコードがある場合、グローブをしたままストラップを握ることができるかも重要なポイントです。
ハードシェルの内側に施された大型ポケット
冬山登山に限らず登山口から頂上に向かう山の中では、樹林帯で風が少なく、運動量が多いため汗をかきやすいシーンです。このときグローブはインナーグローブのみで行動することも多いでしょう。
この時メインのグローブをザックに入れておくとグローブそのものが冷たくなってしまいます。手にグローブをはめても逆に手を冷やす事になってしまっては意味がありません。
そんな時に役立つのがハードシェルの内側に施された大型ポケットです。この大型ポケットにグローブを収納しておけば、体の熱でグローブを暖めることができ、暖かなグローブを手にはめることができます。
GoreTexProのおすすめハードシェル
ブランド | ミレー | Rab | アークテリクス | ホグロフス | モンチュラ |
商品名 | トリロジー ジョラス ゴアテックス プロ 3L フーディ | ラトック マウンテン GTX | ベータ AR | スピッツ ゴアテックスプロ | ライン ジャケット |
イメージ | |||||
重量 | 450g | 505g | 461g | 510g | 520g |
価格 | \165,000 | \74,800 | \101,200 | \104,500 | \121,000 |
素材 | GoreTex Pro | GoreTex Pro | GoreTex Pro | GoreTex Pro | GoreTex Pro |
ピットジップ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ | ○ | ○ | ○ | |
大型ポケット | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
【ミレー】トリロジー ジョラス ゴアテックス プロ 3L フーディ
厳しい山岳環境に対応する高性能ハードシェルジャケットです。ゴアテックスプロの3層構造により、優れた防水性と透湿性を実現。耐久性が高く、岩や枝に引っかかっても破れにくいのが特徴です。また、フィット感が良く、重ね着しやすいデザインで、冬山登山に最適です。
ブランド | ミレー |
商品名 | トリロジー ジョラス ゴアテックス プロ 3L フーディ |
重量 | 450g |
価格 | \165,000 |
素材 | GoreTex Pro |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【Rab】ラトック マウンテン GTX
GORE-TEX Pro Most BreathableとMost Ruggedを組み合わせたハードシェルジャケットです。80デニールと40デニールの生地を使用し、耐久性と透湿性を両立。防水性が高く、風雨からの保護に優れています。動きやすさを考慮したデザインで、長時間の着用でも快適です。
ブランド | Rab |
商品名 | ラトック マウンテン GTX |
重量 | 505g |
価格 | \74,800 |
素材 | GoreTex Pro |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | |
大型ポケット | ○ |
【アークテリクス】ベータ AR
ゴアテックスプロ素材を使用し、高い防水性と透湿性を備えたオールラウンドなハードシェルジャケットです。耐久性に優れたMost Ruggedテクノロジーを採用し、厳しい環境でも安心して使用可能。ヘルメット対応のフードや快適な内襟が特徴で、雪山登山からスキーまで幅広いアウトドア活動に向いています。
ブランド | アークテリクス |
商品名 | ベータ AR |
重量 | 461g |
価格 | \101,200 |
素材 | GoreTex Pro |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【ホグロフス】スピッツ ゴアテックスプロ
厳しい山岳環境に対応する高性能ジャケットです。3層構造のゴアテックスプロ素材を使用し、防水性と透湿性に優れています。耐久性の高い70デニール生地と40デニール生地を組み合わせ、動きやすさを確保。ヘルメット対応のフードや脇下のベンチレーションジッパーなど、技術的な特徴が豊富で、冬山登山やクライミングに最適です
ブランド | ホグロフス |
商品名 | スピッツ ゴアテックスプロ |
重量 | 510g |
価格 | \104,500 |
素材 | GoreTex Pro |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【モンチュラ】ライン ジャケット
テクニカルなデザインを維持しつつ、より多くの登山者が手に取りやすいカジュアルなアウトドアウェアとして登場しました。ストレッチ性やフィット感、撥水性、透湿性などの機能が充実しており、山から街まで幅広く活用できます。
ブランド | モンチュラ |
商品名 | ライン ジャケット |
重量 | 520g |
価格 | \121,000 |
素材 | GoreTex Pro |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
GoreTexPro以外のおすすめハードシェル
ブランド | パタゴニア | THE NORTH FACE | マウンテンハードウェア | ブラックダイヤモンド | クレッタルムーセン | ファイントラック |
商品名 | トリオレット | フューチャーライト バーチカルシューター | スノーストーム | ハイラインストレッチ | アルグロン2.0 | エバープレス スノーライン |
イメージ | ||||||
重量 | 510g | 390g | 630g | 410g | 620g | 570g |
価格 | \61,600 | \71,500 | \46,200 | \59,620 | \115,500 | \67,100 |
素材 | Gore Performance | FUTURELIGHT | メカニカルストレッチウーブン多孔ラミネート | BD.dry3レイヤー40Dストレッチナイロン | 3LCutan®,Ultramid | エバーブレス |
ピットジップ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ヘルメット対応フード | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
大型ポケット | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
【パタゴニア】トリオレット ジャケット
3層構造のゴアテックスファブリクスを採用し、高い防水性、透湿性、防風性を備えたハードシェルジャケットです。ポリエステル製で耐久性があり、厳しい環境下でも快適に使用可能です。ヘルメット対応のフードやRECCO雪崩救助反射板を内蔵し、多用途に活躍するでしょう。
ブランド | パタゴニア |
商品名 | トリオレット |
重量 | 510g |
価格 | \61,600 |
素材 | Gore Performance |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【THE NORTH FACE】フューチャーライト バーチカルシューター
革新的なFUTURELIGHT™技術を採用したハードシェルジャケットです。この技術により、防水性を保ちながらも優れた通気性を実現しています。軽量で耐久性が高く、アルパインクライミングやスキーなどのアクティビティに最適です。ヘルメット対応のフードや多機能ポケットが装備されており、実用性も兼ね備えています。
ブランド | THE NORTH FACE |
商品名 | フューチャーライト バーチカルシューター |
重量 | 390g |
価格 | \71,500 |
素材 | FUTURELIGHT |
ピットジップ | |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【マウンテンハードウェア】スノーストーム
独自の3層構造を持つ防水透湿素材を採用し、優れた防水性と透湿性を提供します。肩や腕周りは立体裁断で運動性が高く、ニット素材の裏地により快適な着心地を実現。保温性もあり、雪山初心者にも最適な一着です。
ブランド | マウンテンハードウェア |
商品名 | スノーストーム |
重量 | 630g |
価格 | \46,200 |
素材 | メカニカルストレッチウーブン多孔ラミネート |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【ブラックダイヤモンド】ハイラインストレッチ
優れた防水性と透湿性を兼ね備えたハードシェルです。ストレッチ素材を使用しており、動きやすさが特徴です。軽量でありながら耐久性も高く、バックカントリーや雪山登山に最適です。シンプルなデザインで、街中でも違和感なく着用できます。
ブランド | ブラックダイヤモンド |
商品名 | ハイラインストレッチ |
重量 | 410g |
価格 | \59,620 |
素材 | BD.dry3レイヤー40Dストレッチナイロン |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【クレッタルムーセン】アルグロン2.0
独自開発のクータン®3層素材を使用し、防水性と透湿性を両立したハードシェルです。ストレッチ性が高く、快適なフィット感を提供。環境に配慮したリサイクル素材を使用し、耐久性も兼ね備えています。デザインはアウトドアから日常まで幅広く対応可能なオシャレな一着です。
ブランド | クレッタルムーセン |
商品名 | アルグロン2.0 |
重量 | 620g |
価格 | \115,500 |
素材 | 3LCutan®,Ultramid |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |
【ファイントラック】エバープレス スノーライン
雪山での多様なアクティビティに対応する高性能ハードシェルジャケットです。独自のエバーブレス素材により、防水性と透湿性を両立し、蒸れを軽減します。ストレッチ性のあるリップストップ生地とカッティングが動きやすさを提供し、パウダースカートやヘルメット対応フードなど、雪山での快適性を追求したデザインが魅力的です。
ブランド | ファイントラック |
商品名 | エバープレス スノーライン |
重量 | 570g |
価格 | \67,100 |
素材 | エバーブレス |
ピットジップ | ○ |
ヘルメット対応フード | ○ |
大型ポケット | ○ |