登山靴はハイカットかミドルカットが定番といわれていますが、最近はローカットで登山をする方が増えています。
この記事では、これまでミドルカットやハイカットの登山靴を履いてきて、ローカットは履いたことがないという「ローカット初心者」の方に向けて、おすすめのローカットシューズを紹介しています。
併せてローカットのメリット・デメリットや、縦走、捻挫の懸念についても解説していますので、2足目以降の登山靴としてローカットの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ローカットシューズのメリット

ローカットシューズは、なぜ人気があるのか。その理由をハイカットやミドルカットと比べて解説します。
①軽量である
ローカットは、ハイカットやミドルカットに比べると、足首やくるぶしが覆われていない分、重量が片足300g台からと軽いのが魅力です。軽量なので足運びしやすく、疲れが軽減できます。
②足首の自由度が高く、歩きやすい
ローカットのシューズは、スニーカーのように足首を自由に動かすことができます。ハイカットやミドルカットの登山靴に比べて軽量で可動域が広いため、歩きやすいのが魅力です。
③足の置き場を瞬時に判断する力が身に付く
ローカットは、ハイカットやミドルカットに比べて保護性が弱いため、登山者が筋力をつけて怪我を防止する必要がある上、登山中は常に安全で安定した足場を選び取って歩いていかなくてはなりません。
そのため、どこに足を置いたらいいか、頭の中で瞬時に判断しながら歩いていく力が養えます。登山が全く初めての方には難しいため、ローカットは経験者がステップアップをするのにおすすめの靴です。
④運動性が高い
ローカットは軽量で足首の可動域が広いため、トレイルランニングやファストハイクなど運動性の高いアクティビティに向いています。登山中、気持ちの良さから思わず駆け出したくなるような時でも、しっかりと対応してくれます。
⑤タウンユースもOK
ローカットは、軽量で歩きやすいため、下山後にレストランに立ち寄ったり街歩きを楽しんだりする時も、そのまま履き続けていられます。また、軽やかでスポーティなデザインが多いため、タウンユースとしても馴染みやすいです。
⑥ハイカットやミドルカットに比べて安い
ローカットはハイカットやミドルカットに比べて値段が安いため、買いやすいのも魅力です。
ローカットのデメリット

ローカットの登山靴には次のようなデメリットがあるため、理解をした上で用途やシーンに合ったモデルを選べば、登山の楽しさがグッと広がります。
①砂や小石など異物が入りやすい
ローカットシューズはくるぶしや足首が覆われていない分、砂や小石など異物が靴の中に入り込みやすいです。ザレ場が多いルートでは、ローカットは避けた方が無難です。
②怪我のリスクがある
ローカットは足首やくるぶしが布で覆われていないため、足の置き場をミスすると、足を捻ったり、岩に足をぶつけてしまったりして怪我をするリスクがあります。
ローカットは捻挫のリスクが高いのは本当か?
「ローカットシューズは足首が保護されていない分、ハイカットやミドルカットに比べて捻挫のリスクが高い」といわれています。
しかし、足を捻ってしまうのはハイカットでもミドルカットでも一緒です。ローカットだけが足を捻り、ハイカットやミドルカットでは足を捻らないというわけではありません。
ただ、足を捻った時に、ローカットは足首の可動域が広い分、ハイカットやミドルカットに比べて大きく捻ってしまいやすく、怪我になりやすいというわけです。
しかし、足を捻ったとしても、筋力がついていればすぐに戻るので大きなダメージにはなりません。山登り経験者で筋力が付いている方ならローカットでも問題ないでしょう。
③水が侵入しやすい
ローカットシューズは砂や小石などのほか、雨や水滴も侵入しやすいです。特に、沢を渡る時、水かさが増していると靴の中が濡れてしまうことが多いです。
④岩や石の突き上げを感じやすい
ローカットはソールが柔らかいものが多いため、ガレ場などを歩くとゴツゴツした石や岩の突き上げを感じやすく、長時間歩くと疲労感が増します。
⑤テント泊など荷物が重い場合、足に負担がかかる
テント泊など装備が重い場合、足に負担がかかりやすく、疲れが増します。ただし最近は装備の軽量化が進んでいるため、テント泊でも軽量な装備であればローカットシューズの選択もアリです。
⑥初めての登山靴には不向き
ローカットのトレッキングシューズは、登山者の筋力や体力、登山スキルが要求されるため、初めて登山をする方の「最初の一足」として選ぶことはおすすめできません。ある程度、登山に慣れてきてから、2足目以降のシューズとして検討するのがおすすめです。
ローカットの登山靴の種類

ローカットシューズの登山靴は、次の3つの種類に分けられます。
トレランシューズ

山道を走るためのシューズです。ロードを走るランニングシューズと異なり、凸凹や泥濘など未整備な路面を走るため、滑りにくいグリップ力や耐久性を備えています。
アプローチシューズ
出典:スポルティバ
クライミングをする人が、岩登りをする場所へアプローチするためのシューズです。岩場を歩くためソールが硬く、滑りにくいのが特徴です。また、クライミングシューズのように、つま先が保護された仕様となっています。
ハイキングシューズ

スニーカーとトレッキングシューズの中間に位置する靴といわれますが、ハイキングシューズとトレッキングシューズの違いは微妙です。一般的には、より整備された道に適しているのがハイキングシューズ、より悪路に適しているのがトレッキングシューズといわれています。
ローカットの登山靴はシーンや目的に応じて選ぶ

どういった山へ登るのか、また登る目的は何かによって、選ぶシューズは変わってきます。例えば、スピードを重視した低山歩きならトレラン寄りのシューズがおすすめですが、高所の岩稜帯で使いたいならアプローチシューズを選んだ方がいいでしょう。
また、トレランシューズでもトレッキングシューズに近い性能を持ったモデルや、アプローチシューズとトレランシューズのいいとこ取りをしたハイブリッドなモデル、どんな路面にも対応する優れたグリップ力を備えたハイキングシューズなど、さまざまなモデルがありますので、山の状況や用途に合わせて選んでください。
ローカットで縦走できる?

最近は、北アルプスなどをローカットで歩く方が増えています。ローカットで縦走登山できるかどうかは個人差が大きいため、自分の実力や筋力、体力と照らし合わせて、無事に下山できる自信がなければハイカットやミドルカットを選んだ方が無難です。
判断するには、次の条件を目安にするといいでしょう。
- 装備の重量
- コースタイム
- 天気
例えば、
- ザックの重さが10㎏以上ある
- 1日のコースタイムが10時間以上かかる
- 行程中、降雨の予報が出ている
こんな条件であれば、ハイカットやミドルカットにした方がおすすめです。ザックの重量やコースタイムの時間は、人によって基準が異なるので、登山者のレベルと山の状況を考慮して検討するようにしてください。
おすすめのローカットシューズ9選
2足目以降におすすめの人気ローカットシューズを紹介します。
【スポルティバ】TX5 ロー GTX | 大人気モデルTX5のローカットバージョン

「TX5」と呼ばれる、登山者から絶大な人気を誇るアプローチシューズです。スポルティバのTXシリーズは、「マウンテニアリング(登山)」と「クライミング」と「トレイルランニング」のテクノロジーが融合された靴のシリーズで、なかでも「TX5」は、極めて登山靴に近いアプローチシューズとして多くの登山者に支持されています。
「TX5」のローカットシューズである当モデルは、軽量性に優れ、軽快な足運びができます。アウトソールはビブラム社のメガグリップを採用し、泥や水、岩場での高いグリップ力を発揮します。筋力のある登山者が難易度の高い岩山に行く時におすすめです。
価格 | 30,800円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | ヌバックレザー |
ライニング | GORE-TEX エクステンデッド コンフォート |
ソール | Vibram MEGAGRIP |
重量(片足) | 約470g |
【スポルティバ】アカシャⅡ | スポルティバを代表する人気トレランシューズ

長距離用トレイルランニングシューズの代表モデル、「アカシャ」のアップデートバージョンです。高いクッション性や走行性、安定性はそのままに、耐久性とフィット感が向上しました。
トレラン経験者はもちろん、これからトレランを始める方、荷物を軽量化してファストパッキングやロングトレイルに挑戦しようといている方、登山靴をトレイルランニングシューズに履き替えて軽快な登山をはじめたいと思っている方におすすめのモデルです。
足幅に余裕があるので、足幅が広い方にもおすすめします。
価格 | 24,200円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | エアメッシュ+PU レザー+ダイナミックプロテション |
ライニング | ノンスリップメッシュ |
ソール | FriXion RED + トレイルロッカーシステム |
重量(片足) | メンズ:約310g ウィメンズ:約260g |
【アルトラ】ローンピーク9+ | 軽快な歩行と優れたグリップ力で人気のローンピーク最新モデル

アルトラを代表するトレランシューズ、「ローンピーク」のアップデートバージョンです。ローンピークは優れたグリップ力と快適性でトレイルランナーはもちろん、ハイカーからも絶大な支持を受けています。優れた軽量性、クッション性、耐久性、フィット感などにより足のトラブルを軽減し、快適な歩行をサポートします。
当モデルでアウトソールがビブラム社のメガグリップに変わったことでグリップ力がさらに高まり、アッパーのデザイン変更でフィット感が向上しました。足指が広がる幅広のつま先も魅力です。
価格 | 22,000円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | リップストップメッシュ |
ライニング | テキスタイル |
ソール | Vibram Megagrip |
重量(片足) | メンズ:327.7g ウィメンズ:263.7g |
【アルトラ】オリンパス5 | 高いクッション性で疲れにくい

アルトラの「オリンパス」シリーズは、33mmとボリュームたっぷりのクッション性、ビブラムメガグリップの高いグリップ力、安定性に優れ、トレイルランナーからはもちろん、多くのハイカーからも疲れにくい、足裏が痛くなりにくいシューズとして支持されています。
価格 | 20,240円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | Durable, engineered mesh |
ライニング | 不明 |
ソール | Vibram Megagrip |
重量(片足) | メンズ:350g ウィメンズ:295g |
【サロモン】X ULTRA ALPINE GORE-TEX | 高所登山の岩稜帯におすすめ

サロモンを代表するハイキングシューズ「X ULTRA(エックスウルトラ)」シリーズは、ハイキングだけでなくファストハイク、軽登山でも使用できる汎用性の高さが魅力です。
なかでも当モデルは、岩稜帯や標高差のある登山でも活用できる機能を追加したシューズで高いグリップ力を備え、長い距離を歩いても足裏が痛くなるようなことが非常に少ない歩きやすいシューズとして高く評価されています。脚の筋肉に自信がある方が高所登山を楽しむのにおすすめです。
価格 | メンズ:26,400円 ウィメンズ:18,480円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | フルグレインヌバックレザーとの合成アッパー素材 |
ライニング | GORE-TEXメンブレン、テキスタイルライニング |
ソール | Alpine Contagrip |
重量(片足) | メンズ:420g ウィメンズ:350g |
【サロモン】X ULTRA 360 GORE-TEX | どんな地形にも対応する汎用性の高いモデル

サロモンのロングセラーハイキングシューズ「X ULTRA(エックスウルトラ)」シリーズの中でも、より軽量で長距離の登山に適したシューズです。全地形対応の Contagripや GORE-TEX による防水性をはじめ必要な機能をすべて備えています。
初心者向けの低山ハイキングから中上級登山、1泊以上の登山でも安心して使える汎用性の高いシューズでありながら、他のシューズに比べ、価格がお手頃なのも魅力です。
価格 | 18,700円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | 合成素材/テキスタイル |
ライニング | テキスタイルライニング、GORE-TEXメンブレン |
ソール | All Terrain Contagrip |
重量(片足) | メンズ:372g ウィメンズ:320g |
【サロモン】XA PRO 3D V9 GORE-TEX | マルチパーパスな人気トレランシューズ

「XA PRO」シリーズは、サロモンを代表するトレランシューズです。XAは、クロスアドベンチャーを意味し、トレランだけでなく、フィールドを気にせず過酷なアドベンチャーに対応する機能を全て備えた、1足で何役もこなすハイパフォーマンスなモデルであることを表しています。
当モデルは、ラグパターンの最適化と防水メンブレンの採用により、グリップ力と長時間の保護性能が向上しています。1泊以上の縦走登山、ファーストハイクから、日帰りのハイキングや中低山登山、高所登山、雨の日の普段使いまで様々なシーンで活躍します。
初心者から上級者まで幅広い登山者におすすめです。
価格 | 22,000円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | 合成素材/テキスタイル |
ライニング | GORE-TEX メンブレン |
ソール | All Terrain Contagrip |
重量(片足) | メンズ:360g ウィメンズ:315g |
【スカルパ】リベレラン2 | スカルパの人気トレランシューズの最新作

スカルパの「リベレラン」シリーズは、登山靴の特性を受け継いだトレランシューズです。トレイルランニングだけでなく、ベースウェイトで5キロ前後の装備重量を背負ったファストハイクや、日帰り登山などでも軽快に歩くことができるため人気が高く、当モデルはその最新バージョンです。
岩場、ガレ場、泥などさまざまな路面に対してのグリップ力を備え、軽量でありながら安定して歩くことができ、安心感の高いシューズです。前モデルよりアッパー、アウトソールが進化し、フィット感が向上しました。ソックフィット構造でソックスを履くような一体感があり、ローカットでありながら小石や砂などが靴の中に入りにくいのが魅力です。
価格 | 31,900円 |
男性・女性 | 〇 |
アッパー | ファブリック+TPUプリント |
ライニング | ストレッチファブリック |
ソール | PRESA TRN-04 |
重量(片足) | メンズ:285g ウィメンズ:255g |
【ホカ】スピードゴート6 GTX | ゴアテックス搭載で天候を気にせず走れる

「スピードゴート」はホカを代表するトレランシューズで、当モデルはGORE-TEX Invisible Fit防水メンブレンを採用することで、より軽く、柔軟な構造を実現。快適性をさらに高めました。
アウトソールは柔らかい土の上でも優れたグリップ力を発揮するVibramメガグリップを搭載し、起伏の激しい路面での力強い走りが可能です。防水機能を備えたため、天候を気にすることなくランを楽しめます。
価格 | 26,400円 |
男性・女性 | 男性 |
アッパー | リサイクルポリエステル素材100% |
ライニング | GORE-TEX Invisible Fit防水メンブレン |
ソール | Vibramメガグリップ |
重量(片足) | 301g |
2足目以降はローカットシューズで軽快な登山を
そろそろ次の靴が欲しいとお思いの方は、本記事を参考にローカットシューズの選択を検討してみてはいかがでしょうか。軽快な歩行で新たな登山の世界が広がりますよ。