登山する山といえば、日本アルプスの山々を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、日本アルプスの山以外にも魅力的な山がたくさんあります。ここでは、東北地方民がおすすめする東北の山を10座、テーマ別に分けてご紹介します。遠方でも思わず登りたくなるような、お気に入りの山が見つかることでしょう。
東北の山の特徴
東北の山の特徴は、人の手があまり入っていない「秘境感」があることです。登山道に標識はありますが、木の階段や石畳は比較的少ない。そのため、ありのままに近い自然を体感できます。
また、関東や日本アルプスの山と比べて登山者が少ないため、東北の山は静かな山歩きを楽しめるのも魅力です。
大パノラマを望める東北の山3選
登山の一番の醍醐味といえば、「山頂から眺める景色」といっても過言ではないでしょう。以下では、山頂から大パノラマを望める山を3つに絞ってご紹介します。
【八甲田山|青森県】岩木山や陸奥湾を望む大展望
八甲田山は青森市の南側にそびえる火山群の総称です。八甲田山の主峰は八甲田大岳で、山頂からは八甲田の峰々や風格ある岩木山、陸奥湾などを望める大展望。また、毛無岱(けなしたい)と呼ばれる高層湿原があり、なだらかな湿原歩きも楽しめます。
山名 | 八甲田山(はっこうださん) |
場所 | 青森県青森市 |
標高 | 1,585m |
難易度 | 初級~中級者向け |
八甲田山のおすすめ登山コースは「八甲田大岳周回コース」。酸ヶ湯温泉にある登山口から、高層湿原をめぐりながら山頂へ登るコースです。
山頂から毛無岱側に下ると展望ポイントがあり、広大な湿原を見下ろせる素晴らしい景観が見られます。そのため、酸ヶ湯温泉から反時計回りに登るとよいでしょう。
※総所要時間は休憩時間28分を含む
【飯豊山|福島・山形・新潟県】東北の名峰を臨む好展望の山稜
『東北のアルプス』とも呼ばれる飯豊山は、東北きっての大山塊。約20㎞にもおよぶ飯豊連峰の山稜からは、朝日連峰や蔵王連峰、西吾妻山や磐梯山など、東北の名峰が望めます。また、新緑と残雪と美しいコントラストや豊富な高山植物など、飯豊山の魅力に魅了される登山客は数多くいます。
山名 | 飯豊山(いいでさん) |
場所 | 福島県、山形県、新潟県の3県にまたがる |
標高 | 2,105m |
難易度 | 中級~上級者向け |
飯豊山のおすすめ登山コースは「飯豊連峰東西縦走コース」。大日杉登山口から登り、飯豊本山と大日岳に渡る縦走路を歩く、2泊3日の行程です。縦走路は好展望が続き、楽しい稜線歩きを満喫できます。
【燧ヶ岳|福島県】東北最高峰から見渡す絶景
燧ヶ岳は、東北地方における最高峰の山です。燧ヶ岳の山頂からは、谷川連峰から越後三山、眼下には広大な湿原が広がる尾瀬ヶ原と尾瀬沼を見渡せます。また、天気が良い日には富士山が見えることも。
山名 | 燧ヶ岳(ひうちがたけ) |
場所 | 福島県南会津郡檜枝岐村 |
標高 | 2,356m |
難易度 | 中級者向け |
燧ヶ岳のおすすめ登山コースは「御池口コース」。御池登山口から燧ヶ岳を往復する、日帰りで登れるコースです。道中では、広沢田代と熊沢田代の湿原歩きが楽しめます。また、熊沢田代では、燧ヶ岳や日光連山が望める好展望です。
お花畑を堪能できる東北の山3選
春夏は高山植物が咲き誇るベストシーズン。以下では、高山植物のお花畑が堪能できる東北の山を3つに絞ってご紹介します。
【鳥海山|山形・秋田県】色とりどりの高山植物が咲き乱れる楽園
鳥海山は、高山植物の宝庫であり、チョウカイフスマやチョウカイアザミなど、鳥海の冠がつく固有種の高山植物が咲きます。鳥海山でお花畑が見られるのは、鳥海湖の御浜小屋付近で、ニッコウキスゲやハクサンシャジン、ヨツバシオガマなど、色とりどりの高山植物が咲き乱れます。
山名 | 鳥海山(ちょうかいさん) |
場所 | 山形県と秋田県にまたがる |
標高 | 2,236m |
難易度 | 中級~上級者向け |
鳥海山のおすすめ登山コースは「鉾立コース」。比較的登山道が整備されている、多くの登山者が利用するコースです。
夏季には、道中に色とりどりの高山植物が咲き乱れるので、お花見登山が楽しめます。また、御浜小屋付近は人気のある展望ポイントです。鳥海湖と高山植物、そして残雪のコントラストが美しく、見事な景色が広がります。
※総所要時間は休憩時間の1時間39分を含む
【早池峰山|岩手県】特異な地質に育つ珍しい高山植物
早池峰山の山域は、植物が育ちにくい特異な地質ではありますが、そのなかで高山植物が力強く芽吹きます。ハヤチネウスユキソウをはじめ、ナンブトラノオ、ナンブトウウチソウなど、早池峰山固有の高山植物も多い。中腹から山頂付近まで、山腹のいたるところに高山植物が咲きます。
山名 | 早池峰山(はやちねさん) |
場所 | 岩手県宮古市、遠野市、花巻市の境 |
標高 | 1,917m |
難易度 | 中級者向け |
早池峰山のおすすめ登山コースは「小田越コース」。標高差が比較的少なく、短時間で登れるコースです。登山道の周りは巨岩が多く、登りごたえのある岩場登りが楽しめます。また、珍しい高山植物が多いので、お花を調べながら歩くとより楽しめるでしょう。
※総所要時間は休憩時間の1時間18分を含む
【焼石岳|岩手県】一面に咲き誇るハクサンイチゲのお花畑
焼石岳で見られる高山植物のお花畑は、東北の山のなかで指折りの名所です。お花畑が見られる場所は「姥石平」と呼ばれるポイント。一面にハクサンイチゲが咲く様子は、まさに山上の花園です。
山名 | 焼石岳(やけいしだけ) |
場所 | 岩手県南西部 |
標高 | 1,547m |
難易度 | 中級者向け |
焼石岳のおすすめ登山コースは「中沼コース」。中沼登山口から、いくつかの湖沼を通り、焼石岳・東焼石へ登るコースです。道中の中沼や上沼では、ミズバショウやリュウキンカが見られます。また、姥石平の分岐から東焼石山にかけて、ハクサンイチゲやイワカガミ、ミヤマシオガマなどが一面に咲くお花畑になります。
※総所要時間は休憩時間の1時間15分を含む
【初心者向け】登りやすい東北の百名山2選
日本百名山に選ばれている山で、登山初心者でも登りやすい東北の山を2つに絞ってご紹介します。
【蔵王山|山形・宮城県】エメラルドグリーンに染まる蔵王のお釜
蔵王山は、「蔵王のお釜」や蔵王連峰の美しい稜線を手軽に見られるのが魅力です。蔵王のお釜とは、火口湖のことで、エメラルドグリーンに染まった美しいの湖面が見れます。蔵王のお釜が見られる場所は、登山口から近い場所のため、多くの観光客が訪れます。
山名 | 蔵王山(ざおうさん・ざおうざん) |
場所 | 宮城県と山形県の両県南部の県境 |
標高 | 1,841m |
難易度 | 初心者向け |
蔵王山のおすすめ登山コースは「刈田岳~熊野岳往復コース」。蔵王山頂レストハウス付近の登山口から、刈田岳へは約10分、主峰の熊野岳へは約1時間ほどで登れます。各ピークや稜線上は好展望で、お手軽に絶景を楽しめます。
【八幡平|岩手・秋田県】なだらかな湿原歩きが楽しめる
壮大な湿原に高山植物が咲き誇る八幡平。遊歩道が整備され、散策しやすいことから多くのハイカーに親しまれています。また、雪解けの時期には「ドラゴンアイ」と呼ばれる神秘的な光景を見れます。
山名 | 八幡平(はちまんたい) |
場所 | 岩手県と秋田県にまたがる |
標高 | 1,613m |
難易度 | 初心者向け |
八幡平のおすすめ登山コースは「八幡平~源太森コース」。八幡沼のハイキングコースをめぐり、展望のよい源太森へ登頂するコースです。なだらかな湿原歩きと、広大な湿原を見渡す眺望が楽しめます。体力に余裕があれば、八幡平三大展望地である畚岳や茶臼岳へも登頂するとよいでしょう。
※総所要時間は休憩時間30分を含む
紅葉がキレイな東北の山2選
東北の山は早くて9月頃から紅葉し、色鮮やかに山肌を彩ります。以下では、紅葉シーズンにおすすめな東北の山を2つに絞ってご紹介します。
【栗駒山|宮城・岩手・秋田県】神の絨毯と称される紅葉地
宮城・岩手・秋田の3県にまたがる栗駒山。全山が真っ赤に染まる栗駒山の紅葉は、「神の絨毯」と称されるほど。紅葉シーズンは毎年、栗駒山の紅葉を見に、多くの登山客が訪れます。
山名 | 栗駒山(くりこまやま) |
場所 | 宮城・岩手・秋田の3県にまたがる |
標高 | 1,626m |
難易度 | 初級~上級者向け |
栗駒山のおすすめ登山コースは「東栗駒~中央コース」。比較的整備された王道のルートで、多くの登山者が利用します。紅葉の見頃は、例年9月下旬から10月上旬頃。
紅葉の絶景ポイントは、中央コースの中間あたり。展望が開け、栗駒山の山容が真っ赤に染まる景色が見れます。
【安達太良山|福島県】紅葉のグラデーションは圧巻
『二本松の火山』として、福島県民に親しまれている安達太良山。ミズナラやブナやイタヤカエデなど多種多様な木々が紅葉し、山肌が鮮やかに色づく景色が見られます。ロープウェイに乗って、紅葉の移ろいを間近に眺めるのもおすすめです。
山名 | 安達太良山(あだたらやま) |
場所 | 福島県二本松市 |
標高 | 1,700m |
難易度 | 初級~中級者向け |
安達太良山のおすすめ登山コースは「山頂駅往復コース」。奥岳登山口からロープウェイを利用して山頂まで登るコースです。
紅葉の見頃は、例年10月上旬~中旬頃。紅葉の絶景ポイントは、ロープウェイを降りて少し歩いた先の「薬師岳展望台」。安達太良山の山容が一望でき、紅葉のグラデーションに染まる山肌が見れます。
東北地方民がおすすめする東北の山を10座、テーマ別にご紹介しました。東北の山の特徴は、ありのままに近い自然を体感できる「秘境感」があることです。山によっても、展望が良かったり、高山植物が豊富だったり、紅葉がキレイといったような、異なる魅力があります。自分の好みに合わせて、お気に入りの東北の山を見つけてみてくださいね。