「テント場に着いたらまず何をすればいい?」「テント泊は暇だって聞いたので、おすすめの過ごし方を知りたい」
この記事では、初めてテント泊登山にチャレンジする方に向けて、テント場でやるべきことを時系列にまとめ、ポイントを解説しています。
また、テント場での必須行動以外の自由な時間を、山の先輩たちはどう楽しんでいるか、おすすめの過ごし方を紹介していますので、興味のある方はぜひ最後まで読んで参考にしてください。
テント泊登山は山小屋泊と異なり、テント場に着いてからやるべきことがいろいろあります。何をどういった順番で行えばいいか、ポイントを解説します。
「テント場に着いたら既にテントがいっぱい並んでいて、自分のテントを張る余地がない!」、ということがないよう、テント場にはできるだけ早く着くようにします。
テント場に到着したら、すぐにテントの設営を始めたいところですが、まず受付をするのが先です。ザックを降ろしたら財布と空のウォーターバッグを持って管理している山小屋へ行き、受付を行って料金を支払います。
その際、山小屋のスタッフから水場やトイレ、テントの設営可能なエリアなどの案内と注意事項の説明があるので、よく聞いておきます。わからないことは、質問するといいでしょう。
受付で教えてもらった水場やトイレは、テント場に戻る前に場所を確認しておきます。トイレは受付時や初回にお金を払うシステムのところもあるので、小銭の用意を忘れないようにします。
テント場に戻る前に立ち寄った水場で、持参した空のウォーターバッグなどに水を汲んでおけば二度手間にならずに済みます。炊事用の水と飲み水とが必要なので、たっぷり汲みましょう。水が購入制のところではお金を支払ってください。
テント場に戻ったら、テントを張る場所を決めます。どこにテントを張るかによって安眠できるかどうかが決まるため、テントの設営では最も重要なポイントです。テントを張るのに最適な場所の選び方を解説します。
まず、平坦な場所を選びます。傾斜があると寝返りも打てず安眠できません。どうしても傾斜が避けられないなら、傾斜と並行に頭を上にして寝るといいでしょう。
おすすめなのは、誰かが使った痕跡がある場所。平らで寝心地が良い証拠なので、歩きまわって見つけてみてください。
地面に石や木の根があると、マットがあっても背中に違和感を覚え、寝心地が良くありません。テントはできるだけ平らで凸凹のない場所に張りましょう。地面の石が動かせるなら、できるだけ取り除いてからテントを張ります。石が動かせないなら、テントの角が石の位置に来るように張ります。
山では風が強く吹きます。特に稜線のテント場は風を遮るものがないため、テント場に遅く到着すると、吹きさらしの場所しか空いていないなんてことも。テント場へはできるだけ早く着いて、風の当たらない場所を確保しましょう。
また、テント設営時は風向きを把握して、テントの短辺を風が来る方向になるように設置すると、風の影響を受けにくくすることができます。
テント場のように平坦で地面がむき出しになっているところは、雨が降ると水がまるで川のように流れるところがあるため、地形や地面をよく見て、水たまりになりやすい場所は避けて選びます。
テント場には、通路が設けられているのが一般的です。テントは通路を邪魔しない場所に張ります。
またテント場と山小屋、テント場とトイレのルート上にテントを張ると、就寝中に自分のテントの近くを人が通って安眠しづらいため、できるだけこのルートから離れた位置にテントを張った方がいいでしょう。
テントを張る場所が決まったら、いよいよテントを設営します。事前に設営の練習をしてきてはいるものの、山で実際にテントを張るとなると想定以上に手間取るかもしれません。余裕をもって設営するためにも、早めにテント場に着くことが大切です。
【テント泊登山】テントの設営&撤収の手順とポイントを徹底解説|ハウツー・ヒント|山のコト|登山・トレラン・山スキーマガジン「山旅旅」
テントを設営したら荷物をテントの中に入れ、過ごしやすい「マイホーム」を作ります。まず、エアマットをテントの外で膨らませ、テント内にマットとシュラフを敷いて、寝場所を作ります。
寝場所を作ったら、空いているスペースのどこに何を置くか、寝場所を起点にレイアウトします。枕元には地図やスマホ、ヘッドランプ、貴重品などを配置し、上半身のあたりに洗面用具などよく使う小物類や食料を、中央部には濡れては困る着替えを防水袋に入れたまま配置します。それ以外は手が届きにくい下半身側にまとめて置いておきます。
ザックはシュラフの足の先の方に横倒しにしておくと、テントの内部が結露した時にシュラフが濡れるのを防いでくれます。
また、テント入口の前室と呼ばれるスペースは、家の玄関先のようなもので、登山靴やサンダル、クッカーなどを置きます。
ただし登山靴に関しては、夜も前室に置きっぱなしだと雨が降った時に濡れてしまう可能性があります。また、雨が降らなくても靴の湿気が冷えて翌朝不快に感じるため、寝る前にテントの中に入れてビニール袋の上に置いておくという方もいます。
テント内が整理整頓できていると撤収がラクです。経験を重ねるうち、自分にとっての快適な住環境が完成されていきます。
『山旅フックシステム』は、テント上部の空間に細引きを張ってさまざまなモノを吊るすことでテント内の環境をかしこく整理整頓することができる画期的なシステムです。ランタンを自由な位置につるしたり、失くしがちな小物を吊るしたり、濡れた帽子やタオルなどを乾かすのに吊るしたりと、使い方はさまざま。テントの上部空間を有効に活用することで、狭いテントの床にモノがごちゃごちゃ散らばることを防ぎます。
テントを整えたら、いよいよ山ごはんの支度にとりかかります。グループでの登山か、ソロ登山かによってメニューも調理方法も道具も異なりますが、テント泊登山最大のイベントであることに変わりありません。
調理はすべてテントの外で行います。そのため、明るいうちに済ませる必要があり、夕方4~5時台には夕食にしたいです。テントは火に弱いので火器の取り扱いには十分注意してください。
また、山で出たごみはすべて持ち帰ります。食べ残しのスープやパスタのゆで汁などを山に捨てるのはNG。すべて食べきる、使い切る、を心がけましょう。
調理に使ったクッカーなどは、周りに付着した具材をパンでぬぐい取って食べたりティッシュペーパーで拭き取ったりするだけで、洗剤で洗ったりしません。
汚れたティッシュや残飯などのゴミは、食材を入れて持ってきたジップロックなどに詰めることで、においを気にせずに持ち帰れます。
また、鍋料理やスープ類が残ったら敢えてゴミにせず、翌朝ごはんや麺を入れて雑炊風の朝食にするのがおすすめです。
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食事の後片付けが済んだら寝る準備をします。山では歯磨きや洗顔にすすぎを必要としないタイプのものを使うのがおすすめです。
水にぬらして拭くだけで古い角質や体の脂分が驚くほどスッキリ落ちる清拭タオル。綿100%なのでお肌に優しいのもうれしいです。寝る前にサッパリすれば気持ちよく眠りにつけます。
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山タイムは街より早めです。遅くとも20時までには就寝しましょう。はじめのうちは風の音や動物の声などが気なってなかなか寝付けないかもしれませんが、それもテント泊登山ならではの魅力の1つ。短い睡眠時間を有効に使ってしっかり体を休ませましょう。
眠れないからと、いつまでも明るかったり話し込んでいたりすると周囲に迷惑がかかるので注意してください。
また、夜は想定より冷え込むことがあります。寒くて眠れない時は衣類の全てを着込み、空っぽになったザックに寝袋ごと足を突っ込んだり、ナルゲンボトルにお湯を入れて即席の湯たんぽにしてみたりするのがおすすめです。
起床時間は翌日の行動計画によって異なりますが、ご来光が拝めるよう日の出の少し前くらいに起きる方が多いようです。洗顔シートなどでスッキリして簡単に身支度を整えます。
朝食は前夜の残りにご飯を入れた雑炊、おいしいコーヒーなど、1日の英気を養えるようなメニューで。日の出を見ながらいただくコーヒーはテント泊登山ならではの贅沢かもしれません。
朝食が済んだら、テントを撤収して2日目の行動を開始しますが、その前に、テント内に広げた荷物を片付け、ザックに収納します。荷物の片づけの手順を紹介します。
まず、エアマットの栓を開けて空気を抜きながら縦半分に折り、その上に寝ることで体重をかけ、さらに空気を抜いていきます。空気が抜けたら足元の方から体重をかけつつ巻いていき、しっかりと空気が抜けてからたたみます。たたんだエアマットをザックの背中側に入れます。
シュラフはきちんとたたまなくても、スタッフバッグにぎゅうぎゅう詰め込んでいくだけでOKです。コンパクトにまとまったシュラフ入りスタッフバッグを雨が降っても濡れないよう防水袋に入れ、バックパックの底にしまいます。
マットとシュラフが収納できたら、後は残りの荷物をザックに入れていきます。この時、テント、フライシート、ポール、ペグを収納するスタッフバッグ類は、テント撤収作業時に使うためザックにしまわず、すぐに取り出せるよう服のポケットなどに入れておくといいでしょう。
テントを撤収して出発します。
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テント泊は山小屋泊と違ってやることがたくさんあるといいましたが、それは食事まで。食事が終わると後は寝るだけです。しかし、せっかくの山の夜。いつもとは違うゆったりとした時間を楽しみたいものです。山の先輩たちが実践した、お酒やコーヒータイム以外のおすすめの過ごし方を紹介します。
テントから、あるいはテントを出てから満天の星空を眺める。これぞテント泊登山の醍醐味といえるのではないでしょうか。大自然と直に触れ合っている喜びを感じられるはずです。なお、星空観察に行く時は、ヘッドライトと防寒着は必須です。
山でのオーソドックスな娯楽の代表です。
今日歩いた行程をたどったり、明日のルートを確認したり。最も実践的な過ごし方といえます。
今日歩いたルートの距離や時間、出会った高山植物などの記録をつけたり、山行の感想を書いたり。メモ程度であっても、書き溜めたノートはきっと宝物になるはず。
星空、日没、日の出、雲海など、ここでしか見られない自然の風景を切り取った写真は貴重です。仲間や食事の写真も大切な思い出の一部に。
絵を描くのが好きな方は、簡単なスケッチをしたり、登山者のイラストを描いたりするのもおすすめです。同じ風景でも写真とはまた違う味わいの一枚になります。
敢えて何もせず、ぼんやり時間をつぶすのもテント泊登山ならでは。早めに到着して昼寝をする方もいます。日頃の忙しさから解放されてください。
今回紹介したテント内の整理整頓の仕方、テント場での自由時間の過ごし方などは、あくまでも一例にすぎません。経験を重ねるうちに、自然と「マイスタイル」が築かれていきます。テント泊登山ならでの自由な過ごし方を楽しみましょう。
里山歩きが好きなおばさんソロハイカーです。たどり着いた山頂でいただくコンビニの梅干しおにぎりが大好き。登りはいいけど下りがニガテで、無事に下山できるとお山の神様に「ありがとうございました」と一礼。帰りはあたりをブラブラして、プチ旅気分を満喫。運転できないので鉄道、バス利用ですが、もともと鉄分高めなのでそれもまた楽しみ。膝と足首に痛みを抱えつつ、神奈川および近郊の山をえっちらおっちら歩いています。
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