八ヶ岳登山には実に様々なルートが存在します。八ヶ岳は3,000メートル近い標高がありながら、登山口から稜線までの行程が比較的短く本格的な登山を楽しむことができることから人気があります。八ヶ岳で楽しめる山と、主要な登山ルートを紹介します。
北と南で魅力が異なる八ヶ岳
本州のほぼ中央に位置することから、関東・関西方面からもアクセスしやすく多くの登山者に人気の登山スポットとして知られる八ヶ岳。登山をする際は大きく北と南に分けることができます。
鬱蒼とした原生林に池が点在する北八ヶ岳
比較的なだらかな山容を見せる北八ヶ岳は初心者登山者にも人気の登山コースが多くあることで知られています。一般的に北八ヶ岳は大河原峠から南の夏沢峠までを指します。
夏沢峠から西に降りるとオーレン小屋と夏沢鉱泉があり、右に降れば本沢温泉と、温泉の多いエリアです。山小屋では温泉を利用することができ、八ヶ岳の水の豊富さを物語ります。
更に北に向かうと根石岳・天狗岳があり初心者にも登りやすい山として人気があります。更に北にはクロユリヒュッテ・高見石小屋・白駒池があり、それぞれに特徴的な景色で登山者の目を楽しませてくれます。
明るくアルペン的山容をみせる南八ヶ岳
稜線の美しいエリアで岩稜帯も多いことからクライマーにも人気のエリアです。八ヶ岳の最高峰赤岳を起点に東西南北に登山ルートが伸び、様々な方法で南八ヶ岳にアクセスすることができます。
赤岳から北に伸びる縦走路は北アルプスの縦走登山に挑戦する前の練習場としても人気があり、素晴らしい景色を楽しむことができます。この稜線の西側には登山基地として多くの人が利用する赤岳鉱泉、行者小屋があります。
麦草峠から北は池の多いエリアとなり「北八ヶ岳池巡り」とよばれるような、北八ヶ岳に点在する池を巡りながらの登山を楽しむことができます。
南八ヶ岳の主な山とモデルコース
八ヶ岳は赤岳を最高峰に持ち、全て合わせると30近くの山々で成り立っています。八百万(やおよろず)=たくさんという意味の由来から「八ヶ岳」と名付けられと言われています。
ここでは八ヶ岳の登山で人気の山をピックアップし、山の紹介と共にモデルコースを紹介します。テント泊、日帰り登山は八ヶ岳の山によって異なるので注意が必要だ。
八ヶ岳の最高峰『赤岳(標高:2,899m)』
八ヶ岳の赤岳はオールシーズン登山者に人気の山として知られています。赤岳への登山ルートは様々で南八ヶ岳の縦走、ピークハントなど登山目的も多種多様です。
高山植物の宝庫『横岳(標高:2, 829m)』
南八ヶ岳にあり、幾つかの峰を持つ岩稜の山です。諏訪側には大同心、小同心がそそり立っている。稜線のお花畑は、全国でも有数の種類と規模を誇り7月はこの高山植物を見に多くの登山者が訪れます。
八ヶ岳の主峰を見渡せる『阿弥陀岳(標高:2, 805m)』
長野県諏訪郡原村と同茅野市との境にあたる山。阿弥陀岳という名前からもわかる通り、山岳宗教に由来した山です。山頂には阿弥陀如来像をはじめとして、多くの講中碑が奉じられています。阿弥陀岳の山頂からの眺望は赤岳の西壁が観察できると共に、南アルプス方面の開けた素晴らしい景色を堪能できます。
爆裂火口の激しい景色が魅力『硫黄岳(標高:2, 760m)』
八ヶ岳の硫黄岳はオールシーズン登山者に人気の山で、テント泊や山小屋泊初心者の登山者にも目指しやすい山として知られています。迫力ある爆裂火口(爆裂火口である証拠はなく山体崩壊によって形成されたとされています)も見ることができ、雄大な景色を楽しむことができます。
荒々しい景色を堪能できる『権現岳(標高:2, 715m) 』
南八ヶ岳は北八ヶ岳と異なり急峻な場所が多く、荒々しい雰囲気の多い登山道が多いことで知られています。権現岳周辺は最たるもので、権現岳に直接向かう富士見高原からの登山道、天女山からの登山道、観音平からの登山道といずれも鎖場やロープ、はしごがある登山道を通ることとなります。このため難易度は高い山とされているが、北アルプスのより難易度の高い登山前の練習の場としても登山をしている人も多い山です。
正面に南アルプスの景色を楽しめる『編笠山(標高:2, 524m)』
名前の通り編笠を伏せたような形で、山頂付近は岩石が積み重なっています。八ヶ岳最南端にある山で、甲斐駒ヶ岳を正面に鳳凰三山、北岳など南アルプスの山並みを楽しむことができる静かな山です。
北八ヶ岳の玄関口『蓼科山(標高:2, 530m)』
八ヶ岳連峰最北端に位置する円錐形で均整の取れた独立峰です。諏訪富士などの呼び名があるほどに美しい山容は町から眺めることができます。山頂は広く岩石が積み重なり噴火口跡があり、諏訪側の山腹には幾つかの帯状の縞枯れ現象が見られ、自然現象を楽しむことができる山です。
冬の八ヶ岳の気温
気温は1月、2月が最も下がり-10度~20度を記録します。稜線は強風が吹き、立って歩くのに苦労することもあるほどです。積雪は年にもよりますが多くは2月~3月に深さを増し雪崩の危険が増大します。赤岳鉱泉、行者小屋を登山基地にしてトレースのしっかり付いた登山道を歩くことは難しく、北八ヶ岳の樹林帯などはトレースがつかず、ワカンを履いても苦しいラッセルになることも多いです。
八ヶ岳周辺の温泉
八ヶ岳には、山行を終えて疲れを癒す事が出来る温泉、鉱泉が数多くあります。八ヶ岳のどの登山口付近でも容易に入浴ができ疲れを癒してくれます。また八ヶ岳の山小屋でも湯量の多い温泉を楽しむことができます。
奥藝科温泉郷
天狗岳、高見石への登山口。バスの終点渋の湯までの渋川沿いに4軒の宿があり、どの宿も日帰り入浴ができます。
唐沢鉱泉
天狗岳、黒百合平の登山口です。武田信玄の隠し湯といわれており雰囲気のある温泉を楽しめます。駐車場も広く、登山者の駐車も無料で利用できます。
夏沢鉱泉
諏訪側からの夏沢峠への登山口です。水力と太陽光で発電し、いち早くトイレの水洗化をしたことで知られる過ごしやすい場所で初心者の登山者にも人気です。入浴のみも可能で、山の行き帰りに利用も可能です。
本沢温泉
佐久側から夏沢峠への登山道、硫黄岳の直下の標高2150mにある日本第二の高所温泉です。近くで自噴する60度の湯を引いており男女別の大きな浴槽で疲れをいやすことができます。建物から220mほどの湯川上流の河原に野天風呂があり、脱衣場などはなく浴槽1つの混浴ですが本沢温泉に来たのならば是非とも浸かってもらいたい温泉です。
稲子湯
創業は明治12年という歴史を持つ古い温泉宿です。春から秋まではJR小海線小海駅から町営バスが運行しており、冬期は宿泊者のみ松原湖駅から送迎してもらえます。上で紹介した本沢温泉への登山口としても有名です。
その他の温泉
八ヶ岳にはほかにも沢山の温泉地があります。佐久側に海ノ口温泉、蓼科山の北側に春日温泉、南側には横谷温泉、蓼科温泉などがあり日帰り入浴も可能です。南八ヶ岳の山麓には小淵沢や甲斐大泉などで露天風呂を楽しむことができます。また霧ヶ峰にも温泉があります。
八ヶ岳の登山口案内
八ヶ岳山麗は開発が進みかなり奥まで車が入れるようになっています。これによって日帰り登山を楽しむことができるようになったり、初心者にも登りやすい山として紹介されていますが、事故や遭難の多い一面も忘れずに計画をもって登山を楽しみましょう。
夢科山方面
竜源橋、蓼科山登山口、七合目登山口、梦科牧場、大河原峠
北横岳方面
ピラタス蓼科ロープウェイ
天狗岳方面
唐沢鉱泉、奥蓼科温泉、稲子湯、本沢入口、ゲート前、唐沢橋
赤岳、横岳、硫黄岳方面
美濃戸口、美濃戸、桜平、海ノ口自然郷横岳登山口