夏の登山を快適に楽しむためには、正しい服装選びが欠かせません。特に初心者の方は、「何を着ればいいの?」と悩むことも多いはず。
本記事では、暑さ対策や汗冷え防止、突然の天候変化に対応するための服装選びを分かりやすく解説します。レイヤリングの基本やおすすめアイテムも紹介しているので、これを読めば登山準備はバッチリ!安全で楽しい登山デビューを目指しましょう!
夏場でも、どの標高の山に行くかで服装を考える

登山の行動着を考える際、2000m以上の高所登山か、2000m未満の中低山登山かで気を付けるポイントが変わってきます。ポイントは高所登山の場合は森林限界以上の場所を歩く可能性があり、木々など風を遮るものがなくなるため、風の影響を受けやすくなります。
また標高が100m高くなると0.6度下がる事も考慮すると、登山開始地点から頂上までどれだけの標高差があり、頂上で気温が何度になっているか想定するように心がけ、それに見合ったウインドブレーカーや防寒着、レインジャケットを持ち歩く必要があります。
例えば、東京(標高0m)の8月の平均気温を基準に、1,000m高くなるごとに気温を計算してみると以下の表になります。この表中の3,000mの気温と実際に槍ヶ岳山荘のHPに載っている測定気温を比較してみるとほぼ同じ値になっていることが確認されます。計画する山の標高から、ぜひ参考にしてみてください!
標高 | 8月の平均最高気温 | 8月の平均最低気温 | 例えば | 東京だと |
0m | 31℃ | 27℃ | ||
1,000m | 25℃ | 21℃ | 妙義山【相馬岳】(1,104m) | 5月並み |
2,000m | 19℃ | 15℃ | 雲取山(2,017m) | 4、10月並み |
3,000m | 13℃ | 9℃ | 槍ヶ岳(3,180m) | 3、12月並み |
夏場の登山における服装を総まとめ!
まずは、必要になるウェアを体の部位ごと簡単に表にまとめましたのでチェックしてみてください。
この後、アイテムごとに詳しく解説とおすすめ商品の紹介をしていきます!気になるアイテムが見つかったら、ぜひ下へスクロールしてみてください。また、より詳しい解説やおすすめ商品は別記事で詳細に解説していますので、そちらも合わせてご覧ください!
アイテム | イメージ | 春秋の登山における使用シーン | 求める性能 | 備考 | |
①ヘッドウェア(頭・顔) | 登山キャップ | ![]() | 常に | 遮光性 | 基本の登山装備 |
②アイウェア | サングラス | ![]() | 常に | 紫外線カット | 基本の必携装備 |
③トップス | ドライレイヤー | ![]() | 汗処理に特化 | 吸湿速乾性 | 汗をかきやすい方はあると快適 |
ベースレイヤー | ![]() | 常に、汗処理 | 吸湿速乾性 | 最高気温に合わせて、半袖or長袖を選択 | |
ミドルレイヤー(ソフトシェル) | ![]() | 寒いときや休憩時 | 保温性 透湿性 動きやすさ | フリースやソフトシェルなど。春秋はこれが基本のアウターになる。 | |
レインウェア | ![]() | 荒天時備えて携行 | 撥水性能 | 雨により体を濡らしてしまうことを防ぐ 雨ならレインウェア、雪が予想されるならハードシェルを携行 | |
④グローブ | 登山グローブ | ![]() | 岩場などで | 通気性 耐久性 | 岩場や鎖場にける手の保護とグリップ強化に |
⑤パンツ (下半身) | ドライレイヤー | ![]() | 汗処理に特化 | 吸湿速乾性 | 汗をかきやすい方はあると快適 |
タイツ | ![]() | 気温の低下が予想される場合 | 保温性 吸湿速乾性 | トレッキングパンツだけでは寒い場合に着用 | |
ショーツ (ハーフパンツ) | ![]() | 暑い時に | 通気性 速乾性 | タイツや長めの靴下と合わせて | |
トレッキングパンツ | ![]() | 常に | 吸湿速乾性 動きやすさ | 気温に合わせた厚さのものを | |
レインパンツ | ![]() | 荒天に備えて携行 | 撥水性能 | 急な荒天に備えて携行 | |
⑥靴下 (足) | 登山ソックス | ![]() | 常に | クッション性 | 靴との相性を考慮 |
ゲイター | ![]() | ぬかるみ対策 | 防水性 | ぬかるみが予想されるなら着用 |
では!各部位ごとに詳しく解説していきます!
1. ヘッドウェア(頭・顔)
~登山の基本アイテム~ 『キャップ』

・ 特徴: 日差しを遮り、紫外線対策に優れたアイテム。メッシュ素材や吸汗速乾性のあるものが多く、蒸れを防ぎます
・ 用途:頭部を守り、熱中症予防や視界確保に役立ちます。軽量で携帯性も高いものがおすすめ。
2. アイウェア(目)
~登山の必須装備~ 『サングラス』

・ 特徴: 紫外線カット機能を持つレンズが目を保護し、まぶしさを軽減します。偏光や調光レンズが登山向き。
・ 用途:目を紫外線や風、砂ぼこりから守り、視界をクリアに保つための必需品です。
3. トップス(上半身)
トップスの使い分け(レイヤリング)について
夏の登山では、トップスを「ドライレイヤー」「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー(アウター)」の3層で構成するレイヤリングが基本です。これにより、汗冷え防止や体温調節がしやすくなり、快適で安全な登山が可能になります。
ドライレイヤーは、肌に直接触れる層で、汗を素早く弾き外へ逃がす役割があります。撥水性の高い化学繊維製がおすすめで、汗冷えやベタつきを防ぎます。
ベースレイヤーは、ドライレイヤーの上に着用する吸汗速乾性に優れた層です。汗を吸収して外へ拡散し、肌をドライに保つことで快適さを維持します。薄手で通気性の良い素材が最適です。
ミドルレイヤーは、気温変化や休憩時の寒さ対策として活用します。フリースや薄手のウインドシェルなど、保温性と通気性を兼ね備えたものがおすすめです。
~汗処理特化型ベースレイヤー~ 『ドライレイヤー』

・ 特徴: 肌に直接触れる撥水性の高いインナーで、汗を素早く外層へ逃がします。
・ 用途: 汗冷えやベタつきを防ぎ、休憩時の体温低下を抑えるために使用します。
~保温性能と汗処理~ 『ベースレイヤー』

・ 特徴: 吸汗速乾性に優れた化学繊維製が主流。肌触りが良く快適なものを選びましょう。
・ 用途: 汗を吸収し、体表面をドライに保つことで快適な登山をサポートします。
~常に活躍する万能な一着、保温性と吸湿速乾性を~ 『ミドルレイヤー』

・ 特徴: 保温性と通気性があり、フリースやソフトシェル素材が一般的。ただし、夏場は荒天時のアウターとしての機能、また保温性をあまり必要としない状況が多いためソフトシェルの方がおすすめ。
・ 用途: 体温調節や寒暖差対策として使用。行動中でも動きやすいデザイン、いつでも簡単に着脱できるものがおすすめ。
万が一の荒天に備えて雨具や防寒着を携行しましょう
夏の登山においてレインウェアは、突然の雨や風から身を守るための必須装備です。防水性により雨の侵入を防ぎ、透湿性で汗による蒸れを軽減することで、快適さと安全性を確保します。
特に山では天候が急変しやすく、濡れた状態が続くと体温低下や低体温症のリスクが高まります。また、防風機能も備えているため、稜線など風が強い場所でも体温を維持できます。適切なメンテナンスで性能を維持し、必ず携行することが重要です。
~もしもの荒天に備えて携行必須~ 『レインウェア』

・ 特徴: 防水透湿性が高く、コンパクトに収納可能なものがおすすめ。
・ 用途: 雨天時だけでなく、防風シェルとしても使用可能。もしくは、ウィンドブレーカーをレインウェアとしても活用可。
4. グローブ(手)
~岩場などで手の保護に~ 『登山グローブ』

・ 特徴: 通気性とグリップ力に優れた素材で作られています。着用中にもスマホを操作できるようにタッチスクリーン対応モデルがおすすめ。
・ 用途: 手の保護や滑り止めとして使用。特に、岩場や鎖場で手を守ること、手を滑らせないために使用します。
5. パンツ(下半身)
夏の登山では、ショーツ(ハーフパンツ)とトレッキングパンツを使い分けることで快適性と安全性を確保できます。
ショーツは通気性が良く、暑い日や軽登山で快適に動けるのが特徴です。ただし、肌の露出が多いため、虫刺されやケガ、日焼けのリスクが高まります。
一方、トレッキングパンツは足全体を覆うため、防風性や耐久性に優れ、岩場や藪こぎなどで足を保護します。また、薄手で速乾性のある素材なら夏でも快適です。登山ルートや天候に応じて選びましょう。
~汗処理特化型インナー~ 『ドライレイヤー』

・ 特徴: 肌に直接触れる撥水性の高いインナーで、汗を素早く外層へ逃がします。
・ 用途: 汗冷えやベタつきを防ぎ、休憩時の体温低下を抑えるために使用します。
~着圧や筋力サポートに~ 『タイツ』

・ 特徴: 吸汗速乾性とストレッチ性があり、筋肉サポート効果も期待できます。
・ 用途:動きやすさを確保しつつ、足全体の疲労軽減にも役立ちます。
~暑い時に大活躍~ 『ショーツ(ハーフパンツ)』

・ 特徴: 肌に直接触れるインナータイツやレギンス。吸汗速乾性と保温性を兼ね備えた素材(メリノウールや化学繊維)が一般的。フィット感が高く、動きやすさを損なわない設計。
・ 用途: 活動中は常に肌と接触して着用。登山中の汗を吸収して蒸発させ、肌をドライで暖かく保つ。
~環境に適した保温性と動きやすさを~ 『トレッキングパンツ』

・ 特徴: 軽量で速乾性があり、防風性も備えた素材が多いです。夏場の使用では、通気性と速乾性に優れた製品がおすすめです。
・ 用途: 動きやすさと耐久性を兼ね備えたうえで、夏場の通気性や速乾性から快適に過ごせるメッシュ素材を使用したモデルを選びましょう。
~もしもの荒天に備えて携行必須~ 『レインパンツ』

・ 特徴: 防水透湿性に優れた軽量タイプがおすすめ。雨天時だけでなく、防風にも役立つ。
・ 用途:雨天時や草木による足元の濡れ防止として使用。
6. 靴下(足元)
~保温性とクッション性を~ 『登山ソックス』

・ 特徴: 吸汗速乾性とクッション性に優れた素材。抗菌防臭機能付きも多いです。
・ 用途:長時間歩行時の足の疲労軽減や靴擦れ防止に役立ちます。
~足元の安全と快適を~ 『ゲイター』

・ 特徴: 防水・防汚機能があり、足首から膝下まで覆うデザイン。
・ 用途:足元を守りながら、悪天候時でも快適な歩行をサポートするため使用します。
まとめ
夏山登山では暑さ対策だけでなく、寒暖差や急な天候変化への対応も重要です。それぞれの部位ごとに適したアイテムを揃え、安全かつ快適な登山を楽しみましょう!
初心者の方はまず基本的な装備を揃え、経験者とともに少しずつ経験値を積むことがおすすめです。安全第一で楽しい夏山登山ライフをお楽しみください!