これから登山・ハイキングを始めてみようと考える方へ。まず初めに購入すべき登山の道具と服装、山に関する基本的な知識、山の選び方と最後におすすめの山を紹介します。登山初心者の方が、これをきっかけに定期的に登山に足を運べるようにサポートできれば幸いです。
登山・ハイキングを趣味にすると良いことがたくさん
登山歴15年の僕も最初は何から購入するべきか、どこの山に行ったらいいのか、全然わからなくて不安だらけでした。私がまず初めにしたことはプロショップと呼ばれる登山専門店に出かけて、まずはじめに購入するべき登山の道具と服装について教えてもらうことでした。
質問したことは以下の通りです。
- 初心者がまず初めに購入するべき最低限の登山道具
- 低い山でも高い山でも使える登山の服装
- 初心者向けの山はどこか?(最終的には北アルプスの登山をしたい)
このように登山ショップに在籍している登山経験者から聞いた情報は今でも活きています。そんな私が今までの登山経験をもとに、登山初心者の方が不安に感じるポイントをお伝えしていきます。
初心者がまず初めに購入するべき最低限の登山道具
登山やハイキングで必ず必要な登山道具を例えて『三種の神器』と呼びます。この3種類の道具は日帰り登山でもハイキングでも必ず必要になるので用意しましょう。
三種の神器①:レインウェア
山の天気は変わりやすく、風も強いため体が濡れると低体温症の危険があります。日帰り登山でもレインウェアは必ず持ち歩くようにしましょう。
レインウェアを選ぶ時のポイント
- 防水性(耐水圧)に優れていること
- 透湿性に優れていること(体からでた湿気は外に排出する性能)
- 登山用と言われる軽量な素材を使用していること
- ジャケット、パンツ共に必要
- 手首、足首を覆うサイズを選ぶこと
防水性、透湿性、軽量性を両立させたゴアテックスと呼ばれるメンブレン素材(防水透湿素材)は価格は高いですが、何を買って良いかわからない場合の選択肢としておすすめです。
三種の神器②:登山靴
登山道は滑りやすく岩や木の根などで歩きづらく滑りやすいです。登山中に転倒を防ぎ歩きをサポートする登山靴は山の難易度によって登山靴を変えるようにしましょう。
登山靴を選ぶ時のポイント
- 防水性に優れていること
- 自分の足の形に合っていること
- ソールに硬さと登る山の難易度が合っていること
登山靴は多種多様なため登山道具の中でも悩む装備の1つです。500m以下の難易度が低い山であればローカットモデル、500〜森林限界以下の中級登山であればミドルカット、北アルプスなどの高所登山であればハイカットがおすすめです。
ソールは岩稜帯が多い高所登山であれば硬いタイプを選ぶことで安定した歩行をサポートしてくれます。登山靴の選び方は奥が深いので登山靴の選び方について詳しく紹介している記事も合わせてご覧ください。
三種の神器③:ザック
登山に持っていく必要のある道具を収納し、登山中は背負いやすく疲れづらいように設計され、道具の出し入れがしやすく設計されているのが登山用ザックです。登山スタイルによって持っていく必要のある道具の容量が変わるので、登山スタイルに合わせて登山ザックを変えるようにしましょう。
登山ザックを選ぶ時のポイント
- ザックの容量は【大は小を兼ねる】という考えは駄目
- 肩、腰、背中全体で背負えるタイプ
- トルソーと呼ばれる背中のサイズに合っていること
- ポケットの使いやすさが自分の好みであること
登山ザックの容量は登山道具の軽量化によって一昔前の考え方から徐々に変わっています。例えば日帰り登山であれば20〜30リットルサイズが良いとされていましたが、コンパクトで軽量な道具を揃えることで10〜20リットルサイズのザックでも十分であることがあります。
初心者の方の多くが日帰り登山から始めるため、まずは最低限必要な道具を整理して登山ザックの容量を決め、自分の体のサイズに合ったフィット感に優れた登山ザックを選びましょう。
低い山でも高い山でも使える登山の服装
登山の服装はレイヤリングと言って重ね着を基本とします。服の着脱が可能なことで体温調整が容易になり汗をかかないように登山をすることができます。
登山で着用するアイテムの主なものを挙げると11種類あります。それぞれに役割があるので登山をする季節(気温)に合ったモデルを選ぶようにしましょう。
※横スクロールで表がスクロールできます。服装 | 役割 |
---|---|
ベースレイヤー | 速乾性・保温性 |
ミドルレイヤー | 軽量性・保温性 |
アウターレイヤー | 耐候性 |
防寒着 | 保温性・コンパクト性 |
パンツ | 歩きやすさ |
ソックス | クッション性・通気性 |
登山靴 | グリップ性・防水性 |
ザック | 容量・フィット感 |
サングラス | 偏光・UVカット |
グローブ | 保温性・耐久性 |
帽子 | 透湿性・通気性 |
上の表にある役割に即していない乾きが遅い綿素材のTシャツや、ストレッチしないジーパン、ユニクロのヒートテックなどに混紡されている、汗をかくことで暖かくなるレーヨンは登山では不向きなので注意しましょう。
それぞれの服装について選び方を紹介している記事も合わせてご覧ください。
初心者向けの山はどこか?
まずはじめに行うことは自分の体力が登山に対してどれだけのものなのかを知ることです。
初心者向けの山を考える場合、登山ルートの難易度を確認するようにしましょう。1つの山でも登山ルートは様々あり難易度も様々です。手始めに最もスタンダードな登山コースで自分の体力を知ることから始めましょう。
東京であれば高尾山や大山、大阪であれば金剛山や国見山などから始めてみましょう。最初は無理をせず途中で引き返すことも念頭に入れて挑戦してみましょう。
登山初心者向けのルートを選ぶ時のポイント
次のステップは実際に登山を楽しむことです。徐々に登山の難易度を上げていくことで登れる山が増えていきます。最初は以下の3つのポイントを重視して登る山を選ぶようにしましょう。
日帰りできるコースタイムか
登山口から下山口までのコースタイム(登山をする時間)に休憩時間とランチタイムを追加して総時間が日帰りができるかを確認しましょう。寒い季節は日が短いこと、初めての登山道は道に迷う可能性があることを踏まえて余裕を持ったコースタイムを設定しましょう。
累積標高が自分の体力に見合っているか
累積標高とは登山口から下山口までのルートにおいて登り、または降りの標高差の積算値のことを言います。例えば登り100m下り50m、その後登り100m下り200mだった場合は、登り100m+登り100mなので累積標高は200mとなります。
累積標高が多いということは、それだけ体力が必要とシンプルに考えることができるため、300mぐらいから始めて50mづつ累積標高を増やしていきながら体力と知識を付けていきましょう。
標高の高さは何メートルか
高い木が育たなくなる森林限界と呼ばれる境界線があります。北海道では約1000-1500m、北アルプスでは約2500m前後が目安とされています。
高い木がないと風を遮るものがないため体温低下のリスク、日差しを遮るものがないため直射日光を浴びることによる熱射病など考えなくてはいけない要素が増えます。初心者のうちは森林限界を超えない山を選んで体力と知識をつけ、その後に標高の高い山に挑戦するという順番にしましょう。
- 風速1メートルにつき気温が1度下がる感覚
- 100メートル標高が上がると-0.6度下がる
登山初心者におすすめの山
初めての登山・ハイキングにおすすめの山はたくさんあります。この記事で全てをまとめることはできないので、それぞれ別の記事で紹介しています。
初心者向けの登山コースと山の選定基準は以下の通りです。
- 岩場やロープが少なく危険が少ない登山コース
- 景色が楽しめて登山をこれからも続けたいと思える
- 日帰りで楽しめ無理の無いコースタイムを組み立てられる
関東近郊の山
都内から車や電車でアクセスしやすく、日帰り登山を無理なく楽しめる初心者向けの山です。富士山の景色が雄大な山から、山上湖を楽しめる山などバリエーションも豊富です。低い山ならではの縦走登山もおすすめしています。
東北エリアの山
本州の中でも個性ある雄大な景色を楽しむことができるのが東北の山の特徴です。東北には多くの百名山があり優しい雄大な景色を楽しむ山から、険しく厳しい山と多種多様です。2,000以上の山は、2,356mの燧ヶ岳、2,236mの鳥海山、2,133mの会津駒ヶ岳、2,105mの飯豊山、2,060mの帝釈山、2,038mの岩手山、2,035mの吾妻山の7座です。
中国・四国エリア
中国エリアで最も標高が高い山は、大山(剣ヶ峰)の1,729m(鳥取)、四国エリアで最も標高が高い山は、石鎚山の1,982m(愛媛)で、2,000mを超える山はありません。このエリアの多くの山が海に近いことから眺めが素晴らしいのが特徴です。
絶景を楽しめる高所登山
アルプスなどの標高が高い山でも、ゴンドラを利用することで一気に標高を上げて雄大な景色を楽しむことができます。しかし片道コースタイムが短く容易に感じるかもしれませんが、標高が高い山なので、防寒着、天気の変化に伴うレインウェアやウィンドブレーカーなど、持ち歩く服装やエマージェンシーキットに注意しましょう。また標高に体が慣れていないと、高山病になりやすいので、眠気、頭痛などの軽度の高山病に見舞われたら、直ぐに標高を下げて下山の開始を怠らないようにしてください。
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